『  きみの願い  ぼくの望み  』


ぼくは いつでも思ってた。
ぼくは ずうっと願ってた。

ぼくは なんにも持ってなかったけど、 ぼくは なんにも出来なかったけど。
だから そうなんだ、だから、さ・・・

今 ここにあるものを大事にしたい。
今 ぼくにあたえられた全てを まもってゆきたい。

初めて きみと出逢ったあのとき
逆光で顔かたちなんか よく見えなくてさ。
でも、きみの髪が金のオ−ラのようになびいてて・・・
そのオ−ラと澄んだ声に ぼくは惹き付けられたんだ

きみは しゃんと顔をあげ、仲間たちに微笑んでいた。

ぼくが きみ達にむかえいれてもらってから
ぼく達が 一緒に闘いに身を投じるようになって
息を顰めた海底の潜水艦でも 鬱蒼としたジャングルでも
星々の彼方の空間をゆくときも 

きみは かっきりと眼を見開き ぼく達に微笑んでいた。


・・・そんな きみが。
時には俯いて 伏せた濃い睫毛の影に露をやどし
ひっそりと唇を噛み 豊かな髪で涙をかくし
それでも 微笑もうと一生懸命に努めていることに

ぼくは 気がついてしまったんだ・・・・


 − きみってヒトは



ぼくは いつでも思ってる。
ぼくは ずうっと願ってる。

ぼくは なんにも持ってないけど、 ぼくは なんにも出来ないけど。
だから そうなんだ、だから、さ・・・

今 きみの微笑みを大事にしたい。
今 こころからきみが微笑むことの出来る日々を まもってゆきたい。

もう ひとりで泣かないで。
きみの涙の半分を ぼくにください。

もう だまって我慢しないで。
きみの溜息の半分を 一緒に吹き飛ばそうよ。

だから。 だから、ね・・・・


そんな顔しないで。 

笑ってごらん、フランソワ−ズ。 
・・・・ ぼくはいつも ここにいるよ

いつからだったのかしら・・・
涙をこらえるために唇をかみしめることを覚えたのは。
いつからなのかしら・・・
涙がこぼれるのをこらえるために、にらみつけるようになったのは。
いつからだったのかしら・・・
悲しみは飲み込むのよって・・・自分に言い聞かせるようになったのは。

わたしは、どうしてここにいるの?
わたしはなぜ戦わなくてはいけないの?
・・・どうしてわたしだけが・・・女なんだろう・・・

こんなところで死にたくなんかないわ。
みんなの足手まといになんて、なりたくなかったわ。

そう思ったら・・・
そう構えたら・・・
私の心は鎧をまとった・・・。

そうして・・・生き抜くんだって・・・
みんなと戦っていくんだって・・・
決心したのに!
・・・やっと心に決めたはずだったのに・・・。

なのに、どうして?
どうしてそんなに優しく包んでくれるの?
どうしてそんなに暖かな眼差しをくれるの?

あなたは、ただ単に・・・最後に加わった私達の仲間でしょ?
最後のひとり・・・にすぎない・・・はずだったのに・・・。


わたしに触れる貴方の手が、暖かい・・・。
ジョー・・・貴方が触れたそこから、なにか暖かいもの流れ込んでくるわ・・・。
貴方の瞳が、声が、わたしに触れるその手が・・・私の心の殻にヒビを入れるのね。
わたしの凍り付いた心の殻を溶かしてくのね・・・。
堅い堅いはずの私の殻が・・・変化していく。

泣いてもいい?
唇をかみしめないで・・・声を上げて・・・。
涙を流しても・・・いい?

笑ってもいい?
貴方の側で・・・。
貴方に包まれて・・・。

ジョー・・・。
貴方が、003をフランソワーズに戻してくれるのね?
貴方のぬくもりが、わたしを抱いてくれるのね?

貴方が側にいてくれれば、きっと私は・・・笑っていられる・・・。
ジョー・・・あなたにココにいて欲しい・・・。
ジョー・・・貴方を感じていたい・・・。

ジョー・・・わたし、この腕の中にいてもいいのね・・・。



イラスト  :   ジョ−とフランソワ−ズ by  繭さま ☆  彩色  by  なっつ様
テキスト :   ジョ−編  by  ばちるど ☆ フランソワ−ズ編  by BARA 

********   FIN.

* 窓を閉じてお戻りください。