『 日々是好日  〜 フランソワ−ズ嬢の一日 〜 』   

 

 

「 う〜〜ん・・・。 」

カンパニ−( バレエ団 )の廊下でフランソワ−ズは思わず深い溜め息をもらしてしまった。

蒼い瞳が熱心に見詰める先は 掲示板に張り出されたリハ−サル予定表。

「 ・・・ けっこう・・・・ キツイ、かも・・? なるべくN..( no good, ここでは欠席の意 )はナシ、か。」

 

「 な〜に悩んでるのぉ? 一緒、初めてよね、ヨロシク〜 」

「 メグミ・・・ 」

バ−の場所が隣りだった縁で 親しくなっためぐみという女の子が声をかけた。

黒目勝ちの大きな瞳をくりくりさせて フランソワ−ズに微笑んでいる。

「 ってか、ココに入って初めてね、フランソワ−ズ。 楽しみ〜 」

「 楽しみって。 わたしは怖いわ、嬉しいけど・・・。 わたし、付いてゆけるかしら・・・ 」

「 なあに、ソレで暗くなってたの? 」

「 ・・・う、ううん。 ソレもあるけど・・。結構ハ−ド・スケジュ−ルだな、って。 」

二人は肩を並べて スケジュ−ル表を覗き込んだ。

 

「 そう? 普通よ、いつもこんなカンジよ、ウチのカンパニ−は。 」

「 そうなんだ・・・。 」

「 ・・? ああ、 フランソワ−ズ、あなたお家の事があるのよねえ。 知ってるわよ、すってきな彼氏♪ 

 この前、迎えに来てるの、みちゃった〜 一緒に住んでるんでしょう? 」

「 あら・・カレシだなんてそんな・・・・。」

真っ赤になってモジモジしているフランソワ−ズに めぐみはちょっと驚いた顔をした。

「 フランソワ−ズ、あなた本当にフランスの人? 日本のコだって同棲してるの、沢山いるじゃない? 」

「 ど、同棲って。 あの・・・ 」

「 あは、ごめん、ごめん。 とにかく一緒で嬉しいわ、頑張ろうね〜」

まだモジモジしてるフランソワ−ズの肩をちょん・・・っと突付いてめぐみは屈託なく笑った。

 

 

悪夢のような、とありきたりの言葉ではとても言い表せない日々が なんとか終わりを告げて。

海に近いこの洋館での暮らしも ようやく軌道に乗ってきた。

研究三昧の当主の老人と眠ってばかりいる赤ん坊。 そして 若いふたり。

そんな 四人だけの静かな生活に みな、それぞれのペ−スで馴染んで来たようだった。

 

 

バスにゆられての帰路、フランソワ−ズは忙しく今日の予定をあれこれと思いをめぐらせていた。

故国へ戻った者も 新天地をもとめてこの国に留まった者も 仲間たちは

皆、平凡なしかし穏やかな日々を送っているらしい。  

便りの無いのはよい便り、をみな実地でいっているとみえる。

イベントもしばらく計画に無い。

 

− とにかく。 他の皆が来る時期じゃなくてよかったわ。

 

それに、そうだわ、確か。 博士は明日から学会だって仰ってたわ。

イワンも、まだしばらく<夜の時間>だし。

ちょうど よかった・・・!

 

 − あ 、ジョ−。 う〜ん・・・・・ だいじょうぶ、かなあ・・。

 

いつの間にか もっとも近しい人となった穏やかな笑顔がふいに浮かびあがる。

 

ジョ−は コズミ博士の紹介で車のエンジン・システム開発の研究所に

勉強を兼ねてアルバイトに通っている。

もともと興味があった分野だったのだろう、彼はたちまち歳相応の生き生きとした表情(かお)を

見せるようになった。

毎日 熱心に通い、休日も朝から一日中ガレ−ジに篭っていたりしていた。

 

あの泥と油まみれの作業着の洗濯には泣かされるけど。

でも。子供じゃないんだし。 <ひとりで遊んで>いてくれれば・・・。 

そうね、・・・大丈夫。 なんとか、なる・・ なんとかするわ!

 

 

 − もう一度 踊りたい。

 

迷ったすえに 決心しやっと足がかりを見つけ ようよう手にいれた馴染みの世界への切符。

新しい第一歩にフランソワ−ズは夢中になっていた。

それは決して楽なみちのりではなかったから それだけに、彼女には大切な宝物なのだ。

 

わたしも、博士やジョ−みたいに。 自分だけの世界を、また築けるんだわ!

わかってる、前とは違うんだって・・。 

でも。 もう一度、 夢を追ってみたいの。 できるところまで、できるかぎり・・・!

−ええと。

明日っから帰りが遅くなるんだから。 冷凍食品を買い足しておかなきゃ。

そうよ、野菜類も火を通してフリ−ジングしておけば便利ね。 あと・・・日用品のストックも・・・

 

うきうきと弾むこころで足取りまでも 軽やかに。

フランソワ−ズは本日これからの計画を大急ぎでまとめあげ、バスを降りると小走りにギルモア邸へと向った。

 

「 ただいまもどりましたァ・・・。」

「 おお お帰り、フランソワ−ズ。 今日は早かったのう。 」

 

相変わらずヨレヨレの白衣を引っ掛けて ぼさぼさアタマの博士が地下の研究室から上がってきた。

 

「 あら・・・? ジョ−は・・・? あ、博士、ジョ−はまだ帰ってきてませんか? 」

「 うん? ああ、さっき一旦戻ったが、また出たようだぞ。 ガレ−ジへ降りてゆくのをみたからの。 」

「 そうなんですか・・・。 ( うん、もう〜。買出し、手伝ってもらおうと思ってたのに!)

 あ、博士。 わたし、これから買出しにいってきますからイワンのこと、お願いできます?

 多分、まだ今日は起きないとは思いますけれど・・。」

「 ああ、引き受けたよ。 まあ、一休みしてからにしたらどうじゃ? 」

「 大丈夫ですわ。 ついでに行ってくる方が楽ですもの。 じゃあ、行ってきます。 」

大きなバッグを玄関の隅に置いて、フランソワ−ズはそのまま、また出かけていった。

「 やれやれ・・・。 元気なお嬢さんだの。 なにやら張り切っているようで・・結構なコトじゃ。」

勢いよく閉まったドアに博士は 微笑を送って呟いた。

 

 

両手いっぱいの買出し荷物を ( それでも嵩張るモノはデリバリ−・サ−ビスに頼んだのだが )

よいしょっと持ち直し。 研究所への坂道の途中で フランソワ−ズは首をかしげた。

 

 − あら・・? イワンが泣いてる・・・・ へんねえ・・・

 

フランソワ−ズは立ち止まってそっと溜め息をつく。

特に能力など使わなくとも かなり派手な泣き声が聞こえてきている。

 

だから 博士にお願いしていったのに・・・。 ああ、きっとまた研究に没頭して忘れてしまったのね。

・・・この泣き方だと。 まだ ちゃんと目が覚めたってワケじゃあないのね、イワン。

 

 − やれやれ・・・

 

もういちど。 そして今度はかなり大きな溜め息が漏れた。

完全に覚醒していない時のイワンは 時々ものすごく手こずらされる。

どういう加減なのか 誰にも、博士にすらわからないのだが、一度泣き出すとなかなか停まらない。

みんなで 交代であやしたり 抱いたりしてなんとか機嫌をとろうとするのだが 一騒ぎである。

たいてい最後は、なぜか子守の上手いジョ−が ぐずるイワンを連れて下の海岸へと出かける。

そして 10分もするとぐっすり寝入った赤ん坊を抱いてジョ−は平然ともどってくるのだった。

 

 −う〜ん! こんな時にかぎってジョ−がいないなんて・・!

玄関のドアを明けると 案の定大音声の泣き声があふれて出てきた。

声をたよりに大急ぎで居間にかけこみ、フランソワ−ズは真っ赤になって泣き喚いている

イワンを ク−ファンからそっと抱き上げた。

 

「 ねえ・・・お願いよ、イワン。 泣き止んでったら・・・ いそがしいの、ねえ、お願い。」

 

あやしても 抱いてやさしく揺すってみても。

なんとしても泣き止まない彼を、仕方なくフランソワ−ズはク−ファンに寝かせて キッチンへ連れてゆく。

抱き上げていれば いくらか泣き声のト−ンは下がるのだが、今はそうもしていられない。

夕食の準備に加え ストックしておく食料の調理も同時進行しなければならないのだ!

 

 −うん、もう・・・!

 

ジャガイモを剥きながら。ブロッコリ−をゆでながら。玉ねぎスライスに泣きながら。

BGMは耳障りな 赤ん坊のぐずり声。 高くなったり低くなったり。

時々 フランソワ−ズは足先でちょいちょいと足元ちかくに置いたク−ファンを揺する。

 

ちょっと不公平よねえ・・?

アルベルトみたいに自前のナイフがあれば断然便利だし。

張大人並に火力を操れたら随分楽だわ・・・。誰も見てないならグレ−ト流に手が4本くらいあれば

何でもできそう。 加速装置、ねえ・・。お掃除とかお洗濯とか短時間でできるかも。そうだわ、今度から

ジョ−にやってもらおう! 重たい買い物もジェロニモみたいに力があったら楽々よねえ。

あ〜あ・・ 遠くが見えても聞こえても。

普段の暮らしには何の役にもたたないじゃない・・・!

 

 − あれもこれも。 あとは・・・・っと・・・。 え!? なに?? なんの音?!

 

キッチンの中を飛び回っていると 納戸の方からなにやら大きな音がはでに響いてきた。

「 ・・・・・どうなさったんですか?! まあ・・・ 」

びっくりして飛んで行ったフランソワ−ズは 納戸の前で目を見張った。

そこいら中に散らばった予備のリネン類の真ん中に 博士が困惑の態でつったっていた。

「 ・・・・ああ・・・ すまんなあ・・。 あの、わしは明日から学会で・・・ 新しいワイシャツが。

  自分で荷物を準備しようと・・きみは忙しそうじゃったから  それで・・・  」

こぼれ落ちそうに見開かれた蒼い瞳に 博士はどぎまぎと 極まりが悪そうにつぶやいた。

 

「 ああ! そうでしたわね! すみません、お荷物はわたしが整えますから・・・ 」

お願いよ、博士。 余計な手間は掛けないで・・・!

いくぶんか ひきつった微笑の影にフランソワ−ズは溜め息をのみこんだ。

「 イワンをお願いしますわ。 」

「 ・・・あ、ああ。 おや・・そういえば泣き声がきこえるなあ・・・? 」

・・・決してとぼけているのではなく。 本当にたった今、気が付いたのだろう・・・・

もう、なにも言いたくない。 きゅっとかんだ唇を見られたくなくて、彼女は足早にキッチンへもどった。

 

下ごしらえした野菜や ドミゴラス・ソ−スのフリ−ジングを終え、夕食をつくり。

ほっとする間もなく。 あらあら・・・・もうこんな時間だわ。  

 

「 博士、遅くなりました、お夕食にしませんか。 」

いまだに ぐずぐず言っているイワンを抱いて博士はちょっと疲れ気味の顔を現した。

「 ・・・・いやあ・・・どうしたんじゃろうなあ、イワンは。 耳栓をしていても、かなりの泣き声じゃ。 」

あきれ半分の疲れた顔を見合わせて、二人は思わず苦笑してしまった。

「 さあ。 とにかくお食事にしましょう。 」

 

 −  それにしても、ジョ−はどこまで行ったの・・・?!

 

やれやれとまだ ぐずぐず言うイワンをあやしつつ 夕食の席に付けば。

「 あ、 いい匂いだねっ〜 」

明るい期待に満ちた声と共にホコリとマシン・オイルにまみれたジョ−が 上機嫌で食堂のドアを開けた!

 

 − ・・・・ じょ−・・・ いたの・・・・?

 

「 え? 僕? ず〜っとガレ−ジにいたよ? 車の整備と掃除をしてたんだ。 言わなかった?

 わあ、美味しそう〜 お腹ぺこぺこなんだ♪  」

明るい茶色の瞳は相変わらず何の屈託もない。

 

・・・ああ、そう・・・。 聞いたかもしれなけど・・・・ 忘れてたわたしが悪いのね、きっと。 あ〜

 

食事の手も止め、フランソワ−ズはくったりと椅子によりかかった。

なんだか どっと疲れの波が押し寄せて来た・・・・

「 あれえ・・? イワン、機嫌がわるいねえ?  よいしょっと。 」

汚れた作業着のまま ジョ−はひょいっとイワンを抱き上げる。

「 ・・・ア、ジョ−。 あの、あなた、服が・・・」

「 うん? ああ、背中は汚れてないから大丈夫がよ。 な〜イワン? 」

「 背中? 」

目をまるくしてるフランソワ−ズの前で ジョ−は器用にイワンをその背中にのせた。

 

そのまま とんとん・・・と軽くオシリをたたいてやると イワンはすぐに大人しくなった。

「 ・・・まあ、すごいのねえ。 ジョ−。 」

「 そうかな? ああ、イワンはオンブが気に入ってるみたいだよ。 」

「 おんぶ? 」

 

フランソワ−ズはジョ−から ヒモをつかったいわゆる<バッテンおんぶ>を教わることになる。

 

「 ・・・ほらね、こうしていると。両手は自由になるし便利だろ? 」

「 まあ、ほんとうね。 あら、イワンったらもうぐっすり眠ってるわ、さっきまであんなに・・・ 」

「 初めはイワンも不思議そうだったんだけど。 すぐに慣れてお気に入りになったみたいだよ。

 ねえ、きみの国ではおんぶってしないんだ? コレって世界共通だと思ってた。 」

「 キャリッジみたいのを背負ってベイビ−を入れることはあるみたい、旅行なんかで。

 でも・・・こうゆうヒモを使うのは 初めてみたわ、わたし。 」

ジョ−は笑ってすっかり寝入ったイワンを背中からおろして そっとク−ファンに寝かせた。

 

「 ああ、それならワシにでもできそうじゃの。 背中が広い方がイワンも気持ちがいいじゃろう。」

 − やった! 明日っからイワンの定位置は、博士の背中だわ。

「 ほんとうに そうでわね。 」

博士の申し出にフランソワ−ズは会心の笑みで応えた。

 

 

 − やっぱり。 お食事はみんなが揃うと楽しいわ。

さっぱりとシャワ−を済ませてきたジョ−をむかえ、三人はテ−ブルを囲んだ。

 

博士はフランソワ−ズの料理の味をとても好んでいたし、ジョ−は相変わらず何でもよく食べる。

つぎつぎと空になってゆく皿、小鉢を見ているのは作り手としても気持ちのよいものなのだが。

 

 − アア、博士。 お塩はなるべく控えてくださいネ。 お歳を考えて・・・

でも、口にはださずに にっこりとくし型に切ったレモンを渡す。 

「 これはレモンをかける方が 美味しいですわ。 」

 

 − ジョ−。お願い、一口食べてからマヨネ−ズをかけて! 味つけは、ちゃんとしてあるのよ!

明日から マヨネ−ズは冷蔵庫の奥に隠匿して置くわ、と固く決心する。

 

あれこれ・あれこれ思い巡らし、口数も少ないフランソワ−ズに さすがにジョ−は怪訝な顔をむけた。

「 どうしたの。 あんまり食べないんだね、 疲れちゃった? 」

「 ・・・え? ああ、ううん。 ちょっと・・・いろいろ、そうなの、明日の予定とか考えてたから。 」

「 ふうん?  あ、じゃあ、食器は僕が洗っておくから。 ゆっくりしてなよ? 」

 

 − ああ、やっぱりジョ−は優しいわ・・・ こうゆうヒトと結婚したら すご〜く楽かも・・・♪♪

自分のコトバにひそかに頬を染めて、でも、フランソワ−ズはそれまでの疲れも吹き飛ぶ気分だった。

あとは。 明日の朝、ぱぱっとサンドイッチを作っておけばいいわね・・・・

 

「 じゃあ、明日からわたし、忙しいから。 先に寝るわね? 」

「 うん、お休み。 あ、あの・・・・さ。 あの・・・明日、お弁当、つくってくれる・・・? 」

「 ・・・!  ええ、 なにがいいの、サンドイッチでいいかしら。 」

「 う〜〜ん、 あの、できたら。 おにぎりがいいんだけど、 」

ちょっと遠慮ぎみの、それでも満開の笑顔でジョ−はフランソワ−ズを見上げた。

 

 ( おにぎり、ですって?! ゴハンたべるはジョ−、あなただけだから・・・これから炊かなきゃ

   ならないじゃない・・・! いいわ、炊飯器にタイムマ−をかけて・・・ ああ・・もうっ・・・)

 

「 あとね、 火星人のウィンナ−と。 色ちがいのうずらのゆで卵を入れてほしいんだ・・・。

  それでね、できれば海苔で包んでほしいな〜 」

 

 − 火星人?! 色ちがい?! のり・・・?

 

・・・やっぱり。 考え直した方がよさそう・・・。 わけの判らないモノを食べたがるヒトとの結婚は・・・・

フランソワ−ズはすっかりフリ−ズして にこにこと嬉しそうなジョ−の顔をまじまじと見ていた。

 

 

 

 − わあ・・・! いいお天気♪ すっきり晴れて、え〜と、<日本晴れ>っていうのよね?

稽古場への道すがら、フランソワ−ズは大きく深呼吸をして空を見上げた。

秋たけなわの ちょっと冷たいけれど 澄み切った大気がさわやかだ。

 

「 おはよう! メグミ 」

「 お早う〜 フランソワ−ズ。 なんかすごく元気ねえ? 」

「 そう? う〜ん、緊張してハイになってるのかも。 とにかく、よろしくね〜メグミ♪ 」

「 こ・ち・ら・こ・そ! 」

めぐみと並んで 朝のレッスンの準備をしながら。 

フランソワ−ズはもう一度、秋の空気を思いっきり吸い込んだ。

 

 − なんとか、なる。 そうよ、なんとかするんだわ・・・! 

 

新しい一日に フランソワ−ズは軽くウィンクをしてみせた。

 

 

 < おまけ >

 

その一

学会で。 人工臓器学会の権威、I.ギルモア博士はその背中に銀髪の赤ん坊をおんぶしたまま

最近の研究成果についてのプレゼンテ−ションの真っ最中である。

 

「 お孫さんですかね・・? 」

「 どうも そうらしいですよ? ほら、以前連れてらしたお嬢さんの・・・ 」

「 ほうほう・・・あの蒼い目の美人さんですな・・、お嫁にいかれたんですか。 」

「 いや・・・それが、どうも・・・ 」

「 え・・・ ふんふん・・・・ ああ、知ってます、茶髪の。 カンジのいい青年ですよね 」

 

博士の心血を注いだ研究発表よりもなによりも。 ウワサ話が会場を席巻していた。

 

その二

ランチ・タイム。

アルバイトの島村君はみんなの注目のマトだった。

「 ・・・・くすくす・・・ あれを本当に齧るのかしら・・・、彼。」

「 しぃ・・・・・。 あ、ほら! うふふふ・・・大口あけてかぶり付く彼も可愛いわねえ・・・!」

 

周囲の視線に気付くことなく ジョ−はかたく、かたく握り締められたテニス・ボ−ル大のお握りに 

果敢に挑戦していた。 海苔のラッピングは芸術的ですらあった。

 

中味、ですか?   ・・・・ ウィンナ−とうずらの茹卵が固めて押し込んでありました。

ジョ−君のリクエストはちゃんと聞き入れてもらっていたのです。

 

  注* 火星人のウィンナ− ・・・ 別名、ウィンナ−のタコ。

      色ちがいのゆで卵  ・・・ 普通のと出汁で煮込んだ茶色のと。

 

 

        ****** Fin. ******

        Last updated : 10,8,2003.            index

 

                *****  後書き by ばちるど *****

        某サイト主様の日記からネタを頂戴いたしました。<(_ _)> 

        なんともしまらないハナシで、どうも・・・。何気無い?フランソワ−ズの日常を

書いてみたかったのです。彼女から元気を貰いたくて・・・・