『 そ〜らは青空
いい天気 ♪ 』
たったったっ ・・・・ とっとっとっ ・・・・・
二つの足音が < エリア内 > に入ってきた。
「 ・・・ ん? やれやれ やっとご帰還のようね。 少し早くなったかな・・・ 」
フランソワーズは キッチンで一人、にっこりした。
そしてエプロンで手を拭いつつ <スイッチ> をオフにした。
こんな能力 ( ちから ) なんて いらない。 わたし この能力 ・・・ きらい。
彼女は 己に付与された能力を忌み嫌っていた。
ミッションの間は仕方ないが 日常生活でそのチカラを使うことを頑として拒んでいた。
そうしなければますます <普通の人間> から離れてしまう気がしたからだ。
彼女は、日常生活では <耳> も <眼> もガンとして封印していた。
・・ しかし。 ジョーとの間にふたつの命を授かったときから 彼女は変わった。
「 わたし。 この子たちのためならなんだって ― するわ! 」
以来、彼女は嫌っていたはずの能力 ( ちから ) を最大限に使うようになった。
― 我が子たちを護るために。
崖っぷちに建つこの邸は 街はずれの辺鄙な土地・・・ 子供たちは幼稚園の頃から
相当な距離を歩くのには慣れていた。
幼稚園時代は 母が自転車で送り迎えをしていたが小学校入学以来二人は徒歩通学になった。
園よりもかなり距離が縮まったとはいえ ― ちいさな脚にはなかなかの距離だ。
「 ・・・ 大丈夫かのう・・・ よければワシが <お迎え> を引き受けるがの・・・ 」
博士も可愛い孫たちのことが 心配でならない。
「 大丈夫だと思います。 お使いとかはこなしていましたし。
それに < 学校には一人で行って帰る > が小学生の目標ですから。 」
「 しかし・・・ 車も心配じゃし・・・ 」
「 海岸通りの商店街までは集団下校でお友達と一緒です。
国道は 交通指導員さんが渡してくださいますわ。
あの子たちだけで頑張らなくちゃいけないのは ウチの前の坂だけです。 」
「 しかしのう・・・ 万が一、があってはならんのだし。 コドモは何をするかわからんし・・・ 」
「 博士、あまりご心配なさならないで・・・ 当分の間、 わたし ・・・ カバーしますから。 」
「 ― フランソワーズ ・・・ お前・・・ 」
「 はい。 わたし。 あの子たちのためならなんだってできます。 」
決然として微笑むフランソワーズは しっかりと母親の顔 になっている。
「 ・・・ すまん ・・・すまん な ・・・ 」
「 まあ 何を仰います・・・ わたし、今はこの能力 ( ちから ) に感謝しています。
あの子たちをしっかり護ってゆけますから。 」
「 ・・・・・・・・ 」
「 おじ〜〜ちゃま〜〜〜 たばこやさん〜〜 でしょ〜 」
「 おつかい〜〜 おじ〜ちゃま〜〜 」
玄関からのキンキン声に 博士の心配顔はイッキに吹き飛んだ。
「 おお そうじゃった そうじゃった・・・ 下のタバコ屋まで行く約束じゃった・・・
お〜〜い すぴか すばる。 待っておくれ・・・ 」
博士も大声で応えると にこにこ顔で出ていった。
「 ふふふ・・・ 博士が一番心配性かな? ま 新一年生諸君、 頑張ってくれたまえ♪ 」
― そんな訳で 島村さんちの双子の姉弟、 すぴか と すばる はでっかいランドセルを
背負って毎日 うんしょ ・・・ うんしょ・・・と急坂と登って帰ってくるのだ。
「 た だ いま〜〜〜〜 お母さん!! すぴかよ〜〜〜 」
「 ・・・いま ァ ・・・ おか〜さん ・・・ すばるぅ〜〜 」
ドアの前でコドモたちが怒鳴っている。
「 はいはい ・・・ あらら・・・ ぴんぽん、はどうしたのかしら・・・ 」
<お母さん> は 慌てて玄関に飛んでいった。
― がちゃ。
「 お帰りなさい すぴか すばる。 ぴんぽん、はどうしたの? 」
「 あのね!! えんそく なの!! 」
「 えんそく なの! 」
母の言葉なんぞどこ吹く風?? コドモたちは ばん! とプリントを両手で掲げてみせた。
「 ・・・ えんそく?? ( ・・・ ああ 遠足 ね。 ) 」
「 うん! これ ぷりんと。 えんそく のおしらせ、 だって! 」
「 だって! 」
学校からギッチリにぎって来たのだろう、 プリントはシワシワになり汗が浸みてヨレていた・・・
・・・ あちゃ〜〜 ・・・ 読めるかしら・・・
「 はい、ありがとう。 すぴか すばる。 じゃ ランドセルを置いて。 お手々洗って 」
「 ウガイでしょ! おかあさん。 」
「 そうよ〜 すぴかさん。 すばるもいっしょにね。 」
「 はあい。 すばる、いこ。 」
「 う ・・ うん ・・・ 」
姉は同じ日に生まれた弟の手をひいて バスルームにトテトテ歩いていった。
やれやれ・・・ えっと? 何のお知らせ、かな?
・・・ あんまり難しい漢字がないといいだけど ・・・
「 ・・・えんそくのおしらせ。 まあ もう遠足? どこへ行くのかしら ・・・ 」
幼稚園時代に 日本の教育現場の<定番行事>については大方体験した。
心構えは出来ているはず・・なのだが ― 異国人の母は どきどきしつつ
たのしいえんそくのおしらせ を辿り始めた。
・・・ えっと ・・・ すいぞくかん にゆきます。
すいぞくかん ・・・? す い ぞ く か ん ・・・?
知らない単語の登場だが 母はこっそり自動翻訳機を稼働させる。
小声で発音してみれば aquarium (m) と即座に脳裏に投影された。
「 あ そうなんだ? ・・・ふふふ やっぱり便利よねえ・・・ ちょっとズルだけど ・・・ 」
母がこっそりに〜んまりしていると ―
ドタドタドタ ・・・・ タタタタタ ・・・・
「「 おてて あらった〜〜 うがい もした!! 」」
「 はい 見せて? ・・・ よし、それじゃオヤツにしましょ。 」
「 わあ〜い♪ 僕 ちょこ ほしい〜〜 」
「 ねえねえ お母さん、 えんそく、 でしょ。 」
すばるはオヤツに関心が向いてしまったようだが
さすがに お姉ちゃん、すぴかはちゃんと えんそく について聞いてきた。
「 そうなのよ。 〇日 に遠足ですって。 江ノ島水族館 ですって。 」
「 すいぞくかん ・・・? なに それ 」
「 え〜とねえ ・・・ お魚さんがた〜〜〜くさん いるところよ。 」
「 ・・・ おさかなやさん? しょうてんがいにもあるよね。 」
「 あ ・・・ お魚屋さんとはちょっと違うの。 まあ 楽しみにしていらっしゃい。
あとはねえ・・・ え〜と・・・先生からのお知らせではねえ ・・・ 」
「「 なに なに なに〜〜〜 お母さん!! 」」
ふたごたちは母の両側から ぷりんと を覗き込む。
「 持ってゆくもの。 ・・・ ふうん ・・・ ( お弁当 水筒 オヤツ か。 )
ねえ? 二人とも。 お弁当のリクエスト ある?
好きなもの、作ってあげるわよ。 」
「「 アタシ! ・ 僕! のり さんど ま いっ き ち!!! 」」
「 ・・・ はい??? 」
「「 だ〜から! の さん り どいっ まき ち!!! だってば! 」」
「 え・・・? もう一度言ってくださ〜〜い 」
「「 お母さんってば! だから〜〜 さん のど ・・・ 」」
「 ストップ! 一人づつどうぞ。 まずは すぴかさん? 」
「 だから〜〜 アタシ、 のりまき!!! ふとまき がいい〜〜〜 」
「 すばるクンは? 」
「 僕ぅ〜〜〜 さんどいっち。 ジャムと〜ま〜まれ〜どとち〜ずをいっしょくたにいれて! 」
「 ・・・・ 太巻き に サンドイッチ・・・ どっちか、じゃだめ? 」
「「 やだ!! 」」
「 ・・・・ わかったわ。 ( ひえ〜〜〜・・・選りにも選って面倒くさいモノを・・・ )
あとは〜 ・・・ あ、 オヤツ、一緒に買いに行きましょうね。 」
「「 うわ〜〜〜〜い♪ アタシ みやここんぶ と らむね と あげせん と〜〜
僕ぅ〜〜 びっくりまんちょこ と ぐみ と ちろるちょこ と〜〜 」
「 はいはい・・・ 土曜日に一緒にスーパーに行きましょうね。 」
「「 うわ〜〜〜い♪ えんそく えんそく〜〜〜 」」
「 じゃ・・・オヤツはキッチンのテーブルに出してあるから・・召し上がれ。 」
「「 はあ〜〜〜い♪ 」」
ドタドタドタ −−−−− パタパタパタ ・・・・
色違いの小さな頭はキッチンに消えた。
― やれやれ・・・・
フランソワーズはよいしょ・・・っと転がっているランドセルをふたつ、持ち上げた。
・・・ 結構な重さだ。 小さな子がよく毎日背負っていると少しばかり感心した。
「 この国にコドモは大変ねえ・・・ わたし・・・小学生のころって・・・
ママンが縫ってくれた布のバッグだけ持っていたような・・・ あ。 」
彼女の脚が ぴたり、と止まった。
リュック。 ・・・ 新しいのが 必要だわ!
「 今までのじゃ・・・ お弁当に水筒にオヤツに・・・濡れたタオルにノートに筆箱にくれよん・・・は
入らないわ。 もう古くなってるし・・・ 」
コドモたちは母のお手製のリュックを持っていて、 < おつかい > の時には
それぞれ分担して < おかいもの > を詰めて帰ってくるのだが・・・
「 ・・・ 買う? ・・・でも コドモ用だってバカにならない値段よね。
それにウチはなんでも ×2 だし ・・・ 」
― 縫うわ! わたしが縫ってあげる!
フランソワーズは ぐ・・・っと拳を固め 中空を睨んでいた。
翌日 ―
フランソワーズはバレエ団の稽古場を大急ぎで飛びだし ― 我が家の方向とは少し違った
方面へと電車を乗り継いでいった。
「 ・・・ えっと。 こっちだったわよね・・・ 」
観光地として名高い駅を降りると 駅前をうろうろしている観光客の間をすりぬけてゆく。
「 う〜〜ん ・・・一度 この街をゆっくり歩いてみたいわ ・・・
でも今日はともかく ― あの店へ! 」
大きなバッグを抱え フランソワーズは駅前からどんどん外れる道を歩いていった。
そろそろ 潮の香りも飛んでくるか・・・という地に 目的の店がある。
彼女は一層脚を速め ― やっと店の看板の一部が見えてきた。
「 あら。 春ものバーゲン ですって♪ やった〜〜 」
― そこは布地を専門に扱う店なのだ。
「 うふふ・・・ こらならポケットとか別の生地を使えそう・・・ ふふ〜ん ・・・ 」
フランソワーズはバーゲン品の棚から あれこれ生地を取り出しながめている。
「 え〜と ・・・・ すぴかは水色、 すばるは茶色、だっけ・・・
ああ ・・・ しかしなんだってそんな色がいいわけ??
女の子なのよ?? ピンクと赤で オシャレに布のお花とレースをつけて、って思ったのに〜
弟といえども 男の子なのよ?! ブルーに車の模様、とかじゃないわけ?? 」
昨日 フランソワーズは子供たちに聞いたのだ。
「 ねえ 二人とも。 お母さん ね、新しいリュックを縫うわ。 前のだともう小さいでしょう?
それで好きな色を教えて? 」
「 りゅっく? アタシ! あお!! みずいろ も すき! 」
「 ・・・ 僕ぅ ちゃいろがすき。 」
「 え。 すぴかさん ・・・ピンクはどう? おリボン、つけてあげるわよ? 」
「 アタシ。 あお がいいの。 ひこうきのえ、つけて。 」
「 ― ひこうき?? 」
「 ウン。 ひこうき。 へりこぷた〜 でもいいや。 」
「 ・・・わかったわ。 探してみるわね。 すばるは? 車の絵がいい? 」
「 ・・・ 僕。 ちょうちょさんかとりさん。 すずめさんとかぺんぎんさんもすき。 」
「 ・・・ よ〜くわかりました。 ・・・ さあ 遊んでいらっしゃい。 」
「「 うわ〜〜〜い♪ 」」
「 アタシ! てつぼう〜〜〜 れんぞくさかあがり〜〜♪♪ 」
「 僕。 JRのしゃしんしゅう、みてもいい? お父さんの、みたい。 」
「 ・・・ わかりました。 すぴかさん。 ズボンを破かないでね。
すばるクン ・・・ はい、これでしょ。 きれいに見てね。 」
「「 うわ〜〜〜い♪ 」」
なんだってこんなに違うのよ???
・・・ まあ 二卵性の双子だけど ・・・ それでも一応ふたごなのに・・・
すぴか すばる ・・・ 生まれてくるとき、どっかでなんか間違えた??
ふう・・・・っと溜息の一つも出てしまう母である。
「 でも ま・・・ 二人とも丈夫で元気なんですものね。 感謝しなくっちゃ・・・
そうよ! 明日はあのお店へ行って生地を買ってくるわ! 」
双子の母は 力強く頷くのだった・・・!
その店は輸入もの生地も多く扱っていて なかなかしゃれたものも多い。
ただし・・・その手のものはそれなりの値段なのだ。
「 う〜〜〜ん ・・・ あの生地、素敵だけど ・・・高いなあ・・・
あ これもシックでいい色〜〜 ・・・ だめ、この値段だったらわたしが縫う意味がない・・・
あらら・・・ この模様、ビアズレー? いいなあ・・・ うひゃ・・・高い・・・ 」
フランソワーズはどうしても輸入生地に目が行ってしまうのだが・・・
「 こら フランソワーズ。 こっちのから選ぶのよ。
お転婆・すぴかが振り回しても擦り切れない布を!
すばるが欲しい とりさん の模様がついてる布〜〜さがすの! 」
ごそごそごそ・・・・ 彼女は生地の棚の間を行ったり来たりしていた。
トン ・・・ 気をつけていたのだが 大きなバッグが他のお客さんに当たってしまった。
すぐ後ろに反対側の棚を見ていた銀髪の老婦人がいたのだ。
あ・・・!っと咄嗟に フランソワーズの口からは飛び出したのは―
「 pardon! ( ごめんなさい! ) 」
「 pas de mal. ( 大丈夫ですよ ) 」
「 ・・・ あら? 」
「 Ah?
」
すぐ目の前でライト・ブラウンのベルベットの瞳が 微笑んでいた。
「 あ あの・・・? 」
「 うふふふ ・・・ やっぱりね、フランスの方ですのね? 」
「 はい。 あの ・・・ アナタも ですか。 」
「 私は半分だけ、ね。 亜麻色の髪のマドモアゼル・・・ あ ごめんなさい、マダム ね? 」
老婦人はフランソワーズの指輪に気がついたのだろう、にこやかに言い直した。
「 あ はい。 ジョ・・・いえ しゅ、主人は日本人なのです。 」
「 まあそうなんですか。 それでこちらにお住いなのね。 」
「 はい。 カマクラではないですけれど・・・このお店にある生地がちょっと懐かしくて・・・
よく来てしまいます。 でも高くてあまり手がでないんですけど・・・ 」
苦笑する若いミセスに 老婦人は軽くうなずく。
「 そうですね。 でも ・・・ ほら、あのコーナーでしたら少しはお手軽なお値段ですよ。 」
「 あ ・・・ カットクロスですね。 」
「 ええ。 パッチワーク用らしいですけど ・・・ 」
「 わたし ・・・ リュックを縫うのです。 子供たちの遠足用なんです。 」
「 まあ それはいいわね。 ママンのお手製、なんて幸せなお子さんたちですね。 」
「 うふふ・・・ 本当は新品を買うのはちょっとキビシくて・・・ウチは双子なんでなんでも二倍で 」
「 あらあらそれは大変ね。 でもママンの喜びも二倍、でしょう? 」
「 ・・・ はい。 今日は丈夫そうな生地を買ってかえります。
あ ・・・ 素敵なリュックですね〜〜 この生地は皆色合いもシックでいいですねえ 」
老婦人はお手製らしい小振りはリュックを背負っていた。
「 私が縫いました。 この部分は父のクラバットでした。
父はフランス人の貿易商で 横浜で仕事をしていたのですよ。
こちらには別荘を構えて日本を愛していました。
このクラバットは母がずっと お父様の香りがする・・・と大切にしていたのですけれど・・・
ふふふ 持ち出して切り刻みました。 母が生きていたらすごく怒ったでしょね。 」
「 そんなこと ・・・ こんなに素敵に使ってもらって・・・クラバットも喜んでいますわ きっと
あの ・・・ 触ってもいいですか? 」
「 どうぞ どうぞ・・・・ ほら。 」
老婦人は気軽にリュックを降ろすと フランソワーズに差し出した。
「 ・・・ すてき ・・・ ! 」
何の変哲もない簡易リュックだが、 所々に使われた模様色の生地が
鮮やかなアクセントになっている。
「 ・・・・・・・・・ 」
フランソワーズはそっと・・・ その部分に触れてみる。
この方のお父様って ・・・ きっとわたしのパパと同じくらい よ ね・・・
・・・ ああ パパもこんなクラバットを持っていたっけ・・・
お出掛け用に大切にしていたわ ・・・
年月を超えて 同郷者に巡り合った気がした。
「 あのカットクロスを使って工夫すれば 洒落たものができますよ、きっと。
あなた・・・ パリジェンヌでしょう? 」
「 ありがとうございます。 そうですね、 あのカットクロスだったら
わたしにも手が出るお値段です。 」
「 私のパパもお得意でしたよ、 たしか ・・・ チープ・シック って。 」
「 ・・・・・・・ 」
フランソワーズは 滲んできた涙をさり気なく払った。
― チープ・シック 彼女の年代の象徴のような言葉だったのだ。
「 こ ・・・ 子供たちのリクエストを叶えるように頑張ってみます。 」
「 ちょっとの工夫でいいのよ。 ほら・・・ この布でアップリケにしてもいいし。 」
「 まあ・・・ ホント、すてき・・・! 」
老婦人は簡単なアドバイスをいくつか教えてくれた。
フランソワーズは予定の予算内で 必要な布地と洒落たカット・クロスをいくつか買うことができた。
ふんふんふ〜〜ん♪ ・・・
フランソワーズはハナウタ交じりに観光地を巧みにすり抜けてゆく。
「 素敵な方と知り合えたし♪ お買い物も ボン♪ 素敵な午後になっちゃった♪ 」
さあ〜〜 帰ってこれを縫い上げなくちゃ・・・と軽い足取りで彼女は家路についた。
さ〜て・・・? なんの模様にしようかな?
その夜 子供たちが寝静まってから彼女は買い物包みをあけた。
「 ふんふんふ〜〜ん♪ いいわあ〜〜 この布。 ああこれで夏のワンピース、ほしいな。
・・・・ と。 まずは本体の布は・・・っと 」
子供たちのリクエストになるべく沿った布を広げフランソワーズは裁断してゆく。
「 えっと〜〜 これとこれで・・・ 模様を入れたいわねえ・・・
なにか・・・二人が好きなモノはないかしら。 」
リビングを見回し、放り出してある絵本を拾い上げた。
「 『 きょうりゅうずかん 』 ・・・ これ、二人ともお気に入り、よねえ ・・・ 」
ぱらぱらとページを捲ってみる。
「 てぃらのざうるす はとてもおおきなきょうりゅうです か。
あ これもいいかも ・・・ ぷてらのどん はそらをとべます ふんふん 」
絵本を型紙替わりに 彼女は幾つかの模様を切り出した。
「 ・・・ これこれ・・・ これを使えば〜〜っと。 うふふふ ・・・わたしまで楽しくなってきたわ。
そうだ! わたしのレッスン・バックにもアップリケ、してみようかしら。 」
フランソワーズは楽し気に針仕事を続けるのだった。
「 ・・・ で きた・・・! 」
2〜3日の夜なべ仕事の後で フランソワーズはぽ〜〜んと二つのリュックを宙に放った。
「 すぴかの注文はブルーだったでしょ、 だから これ。 」
すぴかの背中では ブルーの花模様のティラノザウルスが咆哮するのだ。
「 ・・・ う〜ん やっぱり少しは可愛くしたいわね〜 おしっぽにリボンつけとこ♪ 」
針箱の中をひっくり返し 衣裳の飾りにした残りを見つけ縫い付けた。
「 すばるはね〜 茶色って言ってたし、飛ぶものが好きらしいのね。
だから〜 ほら。 すばるのにはプテラノドンが滑空しているの。
少しは勇ましくしましょ このビーズを目にすれば〜 うふん
… 強そう〜
」
・・・ きらり、と鋭い眼光のプテラノドンは 茶色のビアズレ−生地だ。
双子の母はに〜んまり・・・満足していた。
翌日。 母はわくわく・・・子供たちの帰りを待っていた。
「「 ただいま〜〜〜 おか〜さ〜ん !! 」」
今日もでっかいランドセルに背負われているみたいな恰好で 一年坊主のご帰還だ。
「 おかえりなさい。 すぴか すばる ねえねえ いいものがあるのよ〜 」
「 なに〜〜 」
「 なに おか〜さん 」
「 ・・・ コレよ、ほら。 遠足用のリュック♪ お母さんが縫いました。
はい、これはすぴかさん。 こっちはすばるクンの。 」
「「 ・・・・ わ ・・・? 」」
二人は手渡されたリュックを じ〜〜〜っと見ている。 じ〜〜〜〜っと見てなんだか固まっている。
え。 ・・・ やっぱり市販のモノがいいのかなあ・・・
「 あの・・・ どう かしら? 」
すぴかがリュックから目を上げて母を見つめた。
「 …
おかあさん。 アタシのにも 目、 きらりして! 」
「 え?? め きらり?? 」
つんつん・・・ 今度はすばるが母のスカートを引っ張る。
「 おか〜さん 僕ぅ〜
・・・この目 こわい〜 僕も おリボン ほしい〜 」
「 え。 おりぼん?? 」
「「 うん!! 」」
―
結局 すぴかのティラノザウルスは鋭いビーズの眼光を煌めかせ
すばるのプテラノドンにはお洒落な蝶ネクタイ ・・・ ということになった。
「 うわ〜〜〜〜い♪♪ きょうりゅう・りゅっく〜〜〜 がお〜〜〜って
強いんだよね、 てぃらのざうるす〜〜〜 がお〜〜〜!! 」
「 うへへへ・・・ とぶんだよ〜〜 ぷてらのどん がとびま〜〜す♪ 」
二人は新品のリュックを背負って大はしゃぎだ。
う〜ん ・・・ ちょこっとわたしの予想とは違ったけど・・・・
二人とも大喜びだし 予算内で済んだし。 ま いっか・・・
「 ・・・ チープ・シック はパリジェンヌのお得意ですもん。
ふふふ あのおばさまとまたお話がしたいな。 」
フランソワーズにとっても カマクラ行きは楽しい <遠足 > だったらしい。
「 遠足 ・・・? へえ ・・・ こんな時期だっけか。 」
ジョーは遅い晩御飯のあと、今日の子供達の様子を聞いている。
彼には妻との語らいが、それも我が子たちの話題が疲れを癒す最高の妙薬なのだ。
「 ええ そうなの。 江ノ島水族館 ですって。 」
「 ふうん・・・ まあ ここいらの小学校の定番だな。 」
「 そうなの? それでね〜 うふふ・・・えっへん、頑張って二人のリュックを縫いました♪ 」
「 へえええ?? きみのお手製? うわ〜〜〜 いいなあ〜 みせて、 みせて。 」
「 あ ちょっと待ってね。 二人とも毎晩枕元に置いて寝てるのよ。 」
「 ひょ〜〜 そりゃもうお気に入りなんだな。 ・・・持ってきて大丈夫? 」
「 二人とももうぐっすり・・・だから。 そう・・っと持ってくるわね。 」
「 頼む 〜〜 」
フランソワーズはくすくす笑いつつ子供部屋へ行った。
「 ・・・ ほら これです。 」
「 うわ〜〜〜〜 ・・・ 恐竜が吼えてる〜〜 こっちは飛んでる〜〜 すげ〜〜 」
「 うふふふ・・・ 二人のリクエストにお応えしてみました♪ 」
「 すげ〜・・・ こっちの恐竜は目が光ってるし こっちは・・・あは オシャレ恐竜だな〜
蝶ネクタイのはすぴかのだろ? 」
「 ・・・・ そっちはすばる。 おリボンつけて〜 はすばるのリクエスト。
目がぴかり、もすぴかのお願い なの。 」
「 ・・・ ははは・・・ 相変わらずだねえ・・・ウチのお嬢さんと坊ちゃんは さ。 」
「 ええ。 そりゃ まだいいけど・・・ 将来 」
「 大丈夫だよ、年頃になればそれぞれちゃんと < らしく > なるさ。 」
「 ・・・だと いいのだけれど ・・・ あ そうだわ〜 ジョー、土曜日はお休みでしょ。 」
「 うん。 あ どこか出かけるかい。 」
「 ううん ううん。 あのね 疲れているところに悪いんだけど・・・
あのコ達の <おやつ> 買いに付き合ってやってくれない? 」
「 あは♪ 喜んで〜〜 ふふふふ・・・・どうせ 〇〇円以内、 とかなんだろ。 」
「 そう! そうなのよ〜〜 それでね、オーツ・ビスケットを焼いてあげる・・・って言ったんだけど 」
「 ・・・ びっくりまん・ちょこ のがいい! とか言ったんだろ〜 」
「 そう! そうなのよ。 幼稚園の遠足には大喜びで持っていってくれたのに・・・
あ! そうそう・・・ジョーに聞きたくて。 あの ・・・ バナナは 」
「 バナナはオヤツに入るのですか だろ〜〜 ぷっくくくく・・・ 」
「 そう! そうなの。 ・・・・ なんで笑うのよ。 」
「 ごめん〜 あのな、 ソレって日本の小学生の永遠の問題 なんだ。 」
「 え ・・・ そうなの?? 」
「 ああ。 ぼく達のころだって同じだったもの。 答えはね、多分 <バナナは別> だろ。 」
「 そうなの? じゃ 別に持たせるから。 二人のオヤツ、お願い・・・ 」
「 了解〜〜 ふふふ・・・駄菓子ばっかなんだろ、アイツらのリクエスト。 」
「 ・・・ 中り。 お願いします。 」
「 O.K.〜〜♪ うふふふ・・・こりゃ最高の楽しみだあ〜〜
あ・・・土曜の晩飯、リクエストしてもいいかな〜 」
「 ええ なあに。 」
「 ・・・ 久々に カレー、 食べたい〜〜 きみのカレー〜〜〜 」
「 はいはい ・・・ 甘口、がいいのでしょ。 」
「 ウン。 ・・・またすぴかに あま〜〜い・・・って言われるかなあ・・・ 」
「 いいのよ。 子供のくせにあんまり辛いモノなんか ダメです。 」
「 じゃ 頼むね〜 さあて・・・と。 それじゃ駅前のでっかいスーパー行って
駄菓子売り場にハマってくるか〜 ふんふんふん♪ 」
ハナウタまじりに片付けまで手伝ってくれる夫に フランソワーズはちょっと複雑な想いだ。
・・・ こんな家庭の雑事が 好きなのね
それは ・・・ あなたの憧れ、だったから・・・?
ひとりぼっちの少年 は 今やっと還るべきホーム を見つけたのだろう。
「 ふんふんふん♪ でもって ・・・ カレーの前にもっと甘いモノがほしいのですが・・・ 」
「 え・・・ スウィーツ・・・今なにもないのよ。 あ 庭の苺なら・・ 」
「 ぶっぶ〜〜〜♪ ぼくのほしい 甘いモノは ・・・ 」
「 ええ なあに。 」
「 ― コレ です♪ 」
「 え? あ・・・! きゃ ・・・・ んんん ・・・・・・ 」
二人は深夜のキッチンで 甘ァ〜〜〜いキスを交わした。
そして それは今夜の激甘タイムへの食前酒なのだ・・・
「 おとうさん〜〜 こっち こっち〜〜〜 ! 」
「 こら〜〜 すぴか。 そんなに走るな。 」
「 だって〜〜〜 おとうさんもすばるもおそいんだもん〜〜 」
土曜日の午後、 ジョーは子供たちと大型スーパーのお菓子売り場にむかった。
「 ね〜 はしっちゃいけないんだよね〜 おとうさん 」
ジョーの側でしっかり手を握って 彼の息子が真剣な眼差しで 言う。
「 あはは ・・・ そうだねえ〜 すぴかはきっとわくわく・どきどき〜〜で一杯なのさ。 」
「 僕も! わくわく〜〜だよ? 」
「 そっか。 え〜と ・・・ すばるのリクエストはナンだっけ? 」
「 僕ぅ〜〜 びっくりまん・ちょこ でしょ ぐみ でしょ ちろるちょlこ でしょ〜 」
「 あはは・・・相変わらず甘党だなあ すばるは。 」
「 ・・・ あまとう? 」
「 甘いモノが好きってことさ。 」
「 ウン♪ 僕ね〜〜 と〜すとにじゃむとま〜まれ〜ど いっしょにぬるのがすき。 」
「 ・・・ うへ・・・ そ そっか〜〜 」
「 すぴかはねえ いちばんすきなのは ふりかけ・とーすと なんだって。 」
「 へえ・・・ あ ここだろ。 お〜い ・・・ すぴか? どこだ〜 」
「 ここ! 」
大きなカートを押してすぴかが反対側からやってきた。
「 お・・・ すごいなあ すぴか。 よく一人で押して来れたね〜 」
「 えへへ・・・いつもおてつだいしてるもん、へっちゃら。 」
「 えらいぞ〜 さあ お菓子を選ぼう、 どれがいいのかな。 」
「「 アタシ・僕 ね!! 」」
二人はてんでにお気に入りの駄菓子を取ってきた。
「 ふんふん ・・・ じゃあ 計算してごらん?
学校での約束は一人 〇〇円以内、 なんだろ? 」
「 ウン。 ・・・ えっと ・・・ すばる、アンタ暗算得意だよね、やって! 」
「 え うん。 え〜と ごはさんでねがいましては〜〜128円な〜り 55円な〜り 98円な〜り ・・・ 」
すばるはそろばん教室に通っているので ソラでソロバンを弾ている。
「 ・・・と 〇〇円 です。 あ〜〜〜 ダメだあ〜〜 」
「 え・・・だめじゃん それじゃ やくそくのきんがくより上だよ〜 」
「 ウン ・・・どれか やめる? 」
「 ・・・え〜〜 アタシてきにはァ〜 みやここんぶ はひっすだし らむね にあげせんも
ほしいなあ〜〜 」
「 僕だって びっくりまんちょこはいる! ぐみ も ちろるちょこ も〜〜 」
「「 おとうさ〜〜ん ・・・」」
二人は泣きべそっぽい顔で ジョーを見上げる。
「 ふふふ ・・・ そうか〜 それじゃね、 中身を半分にしていったらどうだい。 」
「「 え。 はんぶん?? 」」
「 そうさ。 中身が半分なら値段も ÷2、でいいんだろ? 」
「「 あ〜〜〜 そっかァ〜〜〜 」」
お父さん すご〜〜い♪ と子供たちはジョーに尊敬の眼差しを向ける。
「 ははは・・・ 半分はウチに置いて行けばいいさ。
さ〜あ・・・ これは精算して。 あとはお母さんからの <お使い> をしよう! 」
「 うん! おとうさん、なにをかうの。 」
「 え〜と な・・・ ちょっと待ってくれよ。 メモ メモ・・・っと あれ・・? 」
ジョーは慌ててポケットをさぐる。
「 おとうさん。 めも、わすれたの? 」
「 いやあ 確かにポケットに入れた はず ・・・ あれ ? 」
「 おとうさん。 こんばん、なに。 」
それまで姉の側に大人しくたっていたすばるが 口を開いた。
「 え〜と・・・ うん? 晩御飯かい? うん、お父さんのリクエストでカレーなんだけど・・・ 」
「 じゃ、 おとうさん。 じゃがいも でしょ〜 にんじん でしょ〜 たまねぎ でしょ〜
にんにく に せろり もいるよ。 」
「 わ〜〜 すばる、すごいね〜 ねえ お父さん、すばるのいうこと、きいた? 」
「 う うん ・・・ それじゃ その他にはサラダの材料も買うか。 え〜と ・・・ 」
「 アタシ!! ぷちとまと に〜 きゅうり に れたす に あすぱら ! 」
「 お ありがとう〜 うん、メモがなくてもお前たちのおかげで買い物できるよ〜 」
「「 えっへっへ〜〜 」」
「 それじゃ・・・ お父さんからのご褒美で お母さんへのお土産・・・ってことにして
ケーキ、買ってゆこ。 」
「「 うわ〜〜〜〜い〜〜〜 ♪ ちー ちょ ず こ け〜き がいい!! 」」
「 ・・・ はい? 」
「「 だから〜〜〜 ちょ ち〜 こず けーき だってば、 お父さん!! 」」
「 ・・・ わかった。 ( ・・・ よくわかんね〜 しゅーくりーむ でも買ってゆくか ) 」
「 わ〜い わ〜い♪ こんばんはかれ〜♪ かれ〜 かれ〜〜ですぅ〜〜 」
「 そんでもって もうすぐえんそく〜〜 」
「 ウン♪ そ〜らはあおぞら〜〜♪ 」
「 〜〜〜 〜〜 いいてんき 〜〜♪ 」
すぴかとすばるは手をつなぎ すきっぷしつつ歌ってる。
そんな二人を 周囲のスーパーの客たちも にこにこ・・・ 眺めている。
あは ・・・ 楽しそうだな ・・・
うん ・・・ なんかぼくまで うきうきしてきたぞ?
ジョーは子供たちの側までゆくと荷物をえいや、と片手に持ち、娘と息子の手を取った。
「 おとうさん? 」
「 うん ・・・ お父さんもなんだか楽しくなってきた!
その歌、知ってるぞ〜〜 お父さんも小学校で習ったよ。 」
「 わあ〜〜 ほんと? 」
「 うん! 」
・・・でも 遠足は ちっとも楽しくなんかなかった・・・
だってお弁当は菓子パン で お菓子は教会のオヤツを
そのまま持ってきただけ だったものなあ
「 さあ〜 ウチに帰ろう。 お母さんが待ってるよ! 」
「「 うん!!! 」」
きょ〜〜うは えんそく たのしいな〜〜♪
大小三つの影が ぴんこぽんこ跳ねつつ ・・・岬の端っこのある我が家へと帰っていった。
「「 いってきま〜〜す!!! 」」
「 はい 行ってらっしゃい。 すぴかさん! ちゃんとお帽子、被るの!
すばる〜〜 ほら ほら 水筒、しっかり持って ・・・ 」
フランソワーズは 最後まで小言を言いつつ門の外まで子供たちを見送った。
はあ〜〜〜〜〜 ・・・ なんとか お弁当 クリア〜〜〜 ・・・
太巻き に サンドイッチ なんて同時に作るもんじゃない・・・
フランソワーズは盛大に溜息を吐いた。
「 ま ・・・ ジョーのお弁当にもなったし ・・・ いっか♪
さ〜て♪ 今日 もう一度あの生地屋さんに行ってこようかな〜♪
わたしのお稽古バッグ、新調したくなっちゃったんだもん。 」
う〜ん・・・ ! と伸びをして。 フランソワーズは軽い足取りで引き返して行った。
知らず知らずに ハナウタなんぞを歌いつつ ―
きょ〜〜うは えんそく うれし〜〜い な〜〜 ♪
「 お弁当 来たよ〜〜 頼んだひと!! 」
「 は〜〜い 〜〜 」
「 買出し隊〜〜 出発します〜 」
「 あ あ ! 待って 待ってくれ〜〜 俺も ころっけ弁当〜〜 」
ジョーの勤める編集部、今日もランチ・タイムを迎えて大騒ぎだ。
ふんふんふ〜〜ん♪
そんな中、 島村氏は余裕の笑みでのんびりとお弁当の包みを鞄から取り出した。
「 ふふふ〜〜ん♪ 今日の弁当はな〜にかな♪ 」
わくわくと愛妻弁当のフタを開ければ ―
うわ ・・・・ ・・・!
ジョーは思わず箸をもったまま固まった。
「 わ〜〜〜〜 島村さんのお弁当、すごい〜〜にぎやか♪ 」
「 え どれどれ〜〜 うわ〜〜 可愛い♪ オモチャ箱みたい〜〜 」
たちまち同僚たちが寄ってきた。
「 ね? お祭り弁当 ですか? 」
「 あ ・・・ いやあの ・・・ウチのチビたちが遠足なもんで・・・ その余りが・・・ 」
「 遠足? サンドイッチを太巻き両方なんて豪華ねえ〜〜 」
「 アンドウ・チーフ・・・ あの ウチ・・・双子なんで ・・・ その・・・
アイツら好みが全然ちがってて・・・ 」
「 あ は〜〜ん ・・・ こりゃ奥さんの力作だよ〜〜 心して食せよ! 」
「 はい! 」
ジョーは に〜んまりしつつ ・・・
ハムの厚切り と ピクルス と 厚焼き玉子 と かんぴょう と かにかま の太巻き
と
厚焼き玉子 と ハム&チーズ と かんぴょう&ポテトサラダ と ジャム&マーマレード の
サンドイッチ を 大満足で平らげた。
うんうん これも我が家らしくていいさ・・・
ふふふ ・・・ きょ〜うはえんそく たのしいな♪
****** おまけ *****
きょうりゅう・りゅっく は すぴか達のクラスでも大好評だったらしい。
その日の夜に すばるのしんゆう・わたなべ君のお母さんから電話が掛かってきた。
「 ええ あのね ・・・ どうしても僕も欲しいってもう大変なんですの。
パパにも叱られて ・・・ それで買ったばかりのリュックはリサイクル店に出す、
もう二度とリュックを買ってくれっていわない、って約束しました。
・・・ それで縫い方を教えてくださいませんか? 」
そして わたなべ君の背中には ぷろんとざうるす が長い首を振上げることになった。
二匹の恐竜は持ち主と同じく さまざまなイベントの度に仲良く並んで出撃した。
― さらに20数年以上後のこと・・・
「 お〜い 待ってよ・・・ あ? うっぷぷぷ・・・・ 」
すぴかは 思わず脚を止め、吹き出してしまった。
ハイキングの最中、 夫と弟の後を追い駆けてきたのだが ・・・
前を行く < 元・男の子 > しんゆう・二人の背中には ― かなり年期モノのリュックが
ちょこなんとぶら下がっていた。
勿論 ぷてらのどん と ぷろんとざうるす も仲良く蝶ネクタイを揺らしている。
あははは ・・・ 二人とも ママのお手製 はタカラモノ なのかな♪
不意にすぴかの口から懐かしい歌がこぼれた ―
― そ〜らは おあぞら いいてんき 〜〜〜♪
遠足はいつだって あおぞら で たのしい のだ。
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Last updated
: 05,01,2012. index
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ひと言 ************
お馴染み・島村さんち・ストーリ ・・・・・
ですので! なにも起きません、の〜んびりした日常話です。
この生地屋さんは 実在のお店です〜〜♪