「 きれいねえ ・・・・ 」

初めて日本の秋をむかえた時
きみは 散りしきる落ち葉に 嘆声をもらし目をみはっていた。

 − うん。 日本の秋は紅葉がきれいんなだよ。

それまで 紅葉なんて関心もなかったんだけど
一緒にならんで 梢を見上げるフリをして 
僕はきみのひときわ白い横顔を そっとぬすみ見ていた。
それで それだけで精一杯だった。

出遭って はじめての 秋。


あれから
何回ともに秋をむかえただろう。

硝煙たなびく 戦場で
秋とは名ばかりの 
灼熱の地で
白いものが ちらちらと風に混じる北の果てで

ゆっくり 紅葉を眺める日々でなくとも
きみは 僕に寄り添って  僕は きみの傍に佇み
手を携えて ふたりの秋をすごしてきたね。


そうして。

僕達は ここまでやって来た
ここまで 来てしまった。

新しい能力 ( ちから ) に 翻弄される僕たち
自分自身が 自分のちからに振り回されて悲鳴をあげる。
自分の能力 ( ちから ) が 自分を壊してゆく。

そんな 嵐の中で
きみは あの 紅葉に見とれていた頃と すこしも変わらずに
その頬にひときわあざやかな微笑をうかべ
おだやかに たおやかに 
手を差し伸べる。


ジョ−。

わたしに見えるものは 
わたしが知りえる未来( あす )に 見えるのは

ジョ−。

あなただけ。

わたしのちからで知ることは
わたしの未来 ( あす ) に在るものは


ジョ−。

あなただけ。


いきましょう。 さあ、わたし達の運命( さだめ )のままに。
いきましょう。 さあ、いつまでも あなたとともに。

『 抱擁  − きみと ぼく − 』

( 了 )

*** ひとこと ***
ともちゃんから先に頂きました【課題絵】です。
某サイト様のトップ絵でもあり・・・うううう・・・
ありがたくも・もったいなくも・・・<(_ _)>
つよいフランちゃん、大好きです♪
(特にともちゃんのフランちゃんが☆)

Last updated: 2,7,2004.

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