『 00X ・ 後悔   − のちのおもい −  』

    

   

 あの時 僕は。

 

 目も眩むような綺麗なきみの身体に夢中で

 理性もなにもかも 吹っ飛んで貪るようにきみを 求めてしまったけれど

 

 きつくシ−ツを握り眉をよせ それでも一言ももらさずに耐えていたきみ

 そんなきみの涙に 気付いたのは なんとかやっときみの身体から離れた後だった

 

 ごめん、ごめんね  本当はすごく辛かったんだね

 ごめん、ごめんね  本当にすごく幸せだったんだ

 

 僕が知ってる、どの女性(ひと)よりも 華奢で儚げで 壊れてしまいそうだって思ったけど

 だから やさしく そうっとって 思ってたけど

 きみに そっと触れた瞬間(とき)  きみに 一歩踏み入った時

 僕のすべてに 火が点いてしまったんだ

 

 − 燃え上がった炎が どうにかおさまったとき

 僕は やっときみのなみだに 気がついた  散らした花跡に 気がついた

 

 ごめん、ごめんね    ありがとう・・・

 こんな しあわせ、初めて知ったよ

 こんな しあわせ 初めて味わったよ

 

 

 

 あの時 わたしは。

 

  なによりもなによりも自分自身に驚いていて

 恥ずかしいっていう気持ちなんかすぐに消えてしまってそのこともまた恥ずかしくて

 

 羽毛のような微風のようなあなたの優しい愛撫にぼうっとなってしまって

 そんなあなたの繊細な指にどんどん反応してゆく自分の身体が恐ろしくて

 

 やわやわと掌に包まれた胸はその中心を口に含まれれば痛いくらいに頭を持ち上げ濃く色付き

 指よりも遥かに繊細な舌先でその先をなぞられたとたんに背筋に稲妻がはしったわ

 

 全然脚にちからが入らなくっていとも簡単にあなたの意のままに全てをさらけだして

 恥ずかしいって思うより先に自分の奥底から熱いモノが湧き出し満ち溢れてきたのに慌てて

 

 あなたの長くしなやかな指に翻弄されどんなにきつく口を結んでも声がほとばしり

 披かれた痛みに呻く間もなくわたしの中であなた自身はわたしに金色の輪を爆ぜさせたわ

 

 こんな きもち 初めてしったの

 こんな 自分  初めてみつけたわ

 ・・・・・ ありがとう、 しあわせ よ

 

 

                     − でも。

 

 

   きみを きみの身体を 求めて  触れて 包まれて いいのは 僕だけ

   きみが あの顔を 見せてもいいのは 晒してもいいのは 僕だけ

   僕以外を見ないで、僕以外に笑いかけないで

   できれば きみを閉じ込めて 誰にもみせたくない きみは僕だけのもの

 

   僕は きみを満足させてあげているのだろうか・・・?

 

 

 

   恥ずかしくてたまらないんだけど でも もっともっとほしくなる

   わたしだけ見て わたしだけに触れて わたしだけを・・・・抱いて

   あなたが 他の女といると胸がつぶれそう わたし以外をみないで わたし以外に微笑まないで

   こんな・・・うろこが生えてきそうな、身を焼かれるような 気持ち・・・はじめてよ

 

   わたし あなたを満足させている・・・? 

 

 

 

                                       知らなければ よかった ・・・・・ ?

                                         味わわなければ よかった ・・・・ ?

                                         出会わなければ よかった ・・・・ ?

 

 

                              めくるめく 悦びは 底なしの後悔を連れてやって来た。

 

 

    ( 了 )  Last updated : 8,28,2003.         top