『 007・たわごと 』
ああ・・・・いい天気だなあ・・・・。
こんな風に カ−ンと晴れ上がった日って、なんか、こう。 柄にもなくウェットな気分になるんだ、俺。
俺はよ、 いっぺんはホンマジで死に損なってあのもっと上から、この地上に落っこちて来ちまったけどよ。
いつか・・・ 本当にもう、ヤバくなったら。
・・・・・そん時は。
今度こそどこまでもどこまでも 宇宙(そら)へ上がってゆくんだ。
そう、そして今度こそ、 宇宙で燃え尽きて・・・・宇宙に同化して。 のんびり漂っていきたいぜ・・・・
あん時。
俺は、死んだ。
それまでの俺は 死んだんだ。
誰のせい、とか・・・仲間のため、とか・・・・ そんなんじゃないんだよな、多分。
俺が。 俺自身が・・・・ そうしたかっただけ、 だと思う。
− 宇宙の花火は、とてつもなくキレイだったぜ。
− ヤツの手は 信じられないくらい温かかったぜ。
− 俺らを包む空気は むちゃくちゃに熱かったぜ。
ソレで・・・キレイさっぱり。 the end になるつもりだったんだ。
ソレで・・・いい、 ソレが、この俺さまにふさわしい ラスト だと思ってた。
・・・・どこに落ちたいかって・・・・ 俺は。
何処だってかまわねえってちらっと思ったね。
こうやって また地上に戻って来たっていうのも、もちろんラッキ−だけど。
ただ・・・・・なあ。
俺ってヤツは。 やっぱり空が似合ってるんだなって。
なんつ−か。
こう・・・・ぽ〜んとたった独りで放り出されてるってのが気に入ってるんだよな。
な・・・・・んにも無え。 な・・・・にも 俺を捕らえるモノは・・・・無え。
上も 下も みんな一緒くたで、さ。 落っこちてくんだか、 昇ってくんだかも よくわらからねえ。
・・・・そんな・・・ 空、が気に入ってるんだ。
だから、 さ。
いつかは・・・そうやった挙句、宇宙(そら)のチリになって、地上を見守るってのも、オツな生き方かなあってさ。
ああ、ははははは・・・・ 生き方、じゃねえな、死んでからのハナシだもんな。
− ふん・・・・何でもないって。 気にすんなよ、ただの戯言、ジョ−クさ、ジョ−ク。 このジェットさまの、な。
( 了 )
Last update
: 7,13,2003
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