自分の口から漏れた甘い声にアロセールは泣きたくなった。彼に聞かれたかと思うと恥ずかしい。思わず手で自分の口を抑える。その手を男がやんわりと掴み頭の上に縫いとめて言った。声を聞かせて欲しいと・・・、耳元で熱く。

 途切れそうになる感覚の中、アロセールは彼に縋った。息が出来ないくらいに口付けられ身体の中の彼が熱く動く・・・。

 指が絡められる。

 その時、アロセールは彼の指に指輪があるのに気がついた。指輪だけがひんやりとしていた。思わず口にする。

 「・・・指・・・輪・・・・・・?」

 レオナールが動きを止め、深い眼差しで恋人を見つめた。汗で顔に張り付いた髪を愛しげに梳き耳元で何かを呟いた。

 「・・・・・・?」

 アロセールは聞き取ることができなくて、彼が開始した律動とともに再び意識が白くなっていった・・・。










 アロセールは目覚める。

 今はもういない恋人の夢を見た。夢の中で愛された余韻がまだ甘く身体に残っている気がした。

 死者の宮殿にいた、かつて彼であったもの。反魂の術で死者を甦らせても完全はないのだ・・・。

 不死も、ない・・・。

 アロセールは一人、声を立てずに泣いた。





すみません、すみません、すみません・・・!
魔が差したんです。
なんかどれもこれもパターン化してるから
ちょっと毛色の変わったのをと思ったら
こうなったんです・・・。
(2004.3.30)



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