月と少年とラプンツェル



やけくそで少年が走っている。
大好きな2つ年上の娘にフラれたショックで町を飛び出した。
真夜中、月の光だけが冷たく輝く。
少年の黒い髪が闇に溶ける。

「畜生・・・!」
涙がこぼれて惨めったらしかった。

思うのは彼女よりもいい女を捕まえて見返してやるということだ。

少年は噂の塔を目指して走った。



その塔に閉じ込められた絶世の美女。
金の髪、ばら色の頬、天使の心、

絶対にカチュアよりもいい女だとヴァイスは思っていた。



そして、噂の塔の下
ときめく胸の高鳴りを抑え、ヴァイスは呪文を唱えたのだ。

「ラプンツェル、ラプンツェル、髪をたらしておくれ・・・」

月が笑う。また一人、馬鹿が来たと。

塔のてっぺんの窓から髪がしゅるしゅるとおりてきた。

ヴァイスは上る。

けれど・・・、何かおかしい髪の毛だ。
ごわごわするし、ちょっと臭い。金色のはずなのに、白灰色だし。
おかしいなあと思いつつ、ヴァイスは髪を伝って上っていく。

美しい姫君との逢瀬が待っているはずだった。

そして窓から塔の中に入って固まった。

そこにいたのは

「・・・ガン・・・・・・プ?」

ビーストテイマーの彼だった。
髪はガンプのひげだった。

オブダとベルタの黒い影。
月の光を遮って夜が更けていく。



インチキ童話シリーズ?
ラプンツェルの話、忘れたので適当です。すみません。
(2003.5.18)