Familiar










使い魔とは魔法使いや魔女たちに仕える下級悪魔や動物たちだ。

本来セバスチャンやウルスたち、魔法使い見習いはまだ使い魔は持てない。
が、セバスチャンは使い魔を持っていた。
セバスチャンと仲がいい錬金術師に作ってもらった人工生命体がそれだ。

足は動物だったが、錬金術師そっくりの姿。
手のひらサイズに縮小したそれの背中には蝙蝠の羽が生えていた。
それに悪魔の尻尾・・・。
よく見ると愛嬌もある。

セバスチャンの代わりに毎日毎日ウルスに手紙を届けていた。

゛今日は遊べる?"
使い魔が運ぶウルスからの返事はいつだって NO・・・

真面目なウルス少年は自分の仕事が終わるとそれから夜遅くまで勉強をしていた。
覚えなければならないことはたくさんある。
この世のすべて、始まりと終わり
急がないと、間に合わない。  

意地の悪い太っちょ魔女の下で仕事をサボってばっかりのセバスチャンとは違う。

それでも彼は毎日毎日ドキドキで
使い魔のカバンの中から小さな薫煙玉を取り出すのだ。

たま〜に遊べる日があるから。
例えば薬草の材料が切れて魔女の大鍋をかき混ぜなくてもいい日とか、
紅尖晶石を採りに西の山にお弁当を持っていく日とか。

だから、ほんの僅かの確率だってゼロじゃないならドキドキだ。

取り出した薫煙玉を陶器の皿に入れ下から燻す。
煙がすうっと上がっていき、ほんの一瞬ウルスの面影をとり、流れていった。

煙の香りがリンゴならYes 桜ならNo

くんくん匂いを嗅いでそれから少し離れたところにいる使い魔を呼んだ。
使い魔は主人の顔をちらりと見た。

ああ、そんな顔をしても事実は変らない。
縋るような目はやめて欲しいと使い魔は思った。

煙の臭いは誰が嗅いでも同じだ。

「・・・・・・・・・桜ですな」

はい、セバスチャンの一日の始まり。
ほら、太っちょ魔女が下から叫ぶ。

「さっさと掃除をするんだよ、セバスチャン。サボったら折檻だからね!」

「クソババア・・・!」と小さく悪態をついて慌てて下に下りていく魔法使い見習の主人を見送って、
使い魔は彼のベッドで一眠りをすることに決めた。
それから本当のご主人様のところに久しぶりに行こうと思った。

いろいろ報告することがある。

セバスチャンとウルス、
二人の魔法使い見習について。










カルロスって何者なんでしょうかね・・・・・・