IL DIVOについて真面目に語る・1

進化するIL DIVO





「ENCORE」の中に、IL DIVOの始まり・現在・そして未来を4人のメンバー自身や、「IL DIVO」の仕掛け人であるサイモン・コーウェルが語るドキュメンタリーが入っています。
その中で彼らは言います。
「生まれた国も言語も習慣も文化も性格も考え方も個性も表現の仕方も、何もかも違う4人が集まって、新しいものを生み出す。IL DIVOは一人の人間だ。4人の声が調和して素晴らしいハーモニーを生み出し、まるで一人の人間が歌っているように聞こえる。素晴らしいカクテルだよ。」
これがIL DIVOの本質でしょう。

サイモン・コーウェルのアイディア、ポップ音楽を男性オペラ歌手の声で歌うというコンセプトの元、集められた4人には見目好い外見がおまけでついていた・・・というのは置いといて。

ドキュメンタリーの中で「作られたもの」という言葉が何度か出てきます。成功した彼らを批判する(?)声があるとしたら、「所詮作られたもの」という声なのだろうかと思います。一度そんな日本語の感想を見たことがあったし。

例えば・・・、極端な例えなのですが。
スイスの山奥の谷間の村に幼馴染の4人がいて、正規の音楽教育も受けず、村の教会で素晴らしい声で歌っていて、牛や馬の病気も治し、人々の心を癒し、その歌声は自然と神の声とか呼ばれて、その噂が広まって、ついにはデビューとかだったなら、そりゃすごいセンセーショナルで、「作られたもの」という声も当然ながらないだろうけど、そんなことは映画か小説の世界だけ。それでも夢のような話の続きは一時のブームで終わり、それ以上の先はない・・・、そんなのだと思う。

集められた4人、「作られたもの」だからこそ、ここまで完成度が高いのだし、そしてさらに進化していく可能性を秘めているのだと思います。4人は完璧主義者だし。

ドキュメンタリーの中でカルロスは言いました。
「僕達は成長している。2枚目のアルバムは1枚目よりみんなの声が豊かになり、よくブレンドされて、洗練されている。」
これを見た時は「ふ〜ん・・・。ま、そうでしょうね。」くらいにしか思いませんでした。

わたしは家ではあまり音楽を聞くことはなく(聞いても家事をしながら・・・とかです。)もっぱら車を運転している時しか「IL DIVO」も聞かないし、セカンドアルバム(USを買ったはずがUK版・・・と思っていたらやっぱりUSだった。)を買ってからはそればっかりず〜っと何ヶ月も聞き続け(車の中のCDはそれだけ。IL DIVOの前は三味線のアルバムを何ヶ月か聞きつづけていたっけ。)、この頃たまにはファーストアルバムをと思い、聞いたら・・・・・・

「え・・・!?」
ざらりとした感じがしたんですよ。合わさった声の感じがまるで砂か荒塩かって。レグレサ・ア・ミもパセラもネッラ・ファンタジアもママもそれ以外の曲も全部。それぞれが「俺が」「俺が・・・」「俺様の声を聞け〜!」と主張しているみたいな感じがして、違和感を感じて、この時「これがカルロスが言っていたことか〜!」と思いました。けど、何度か聞くと、あれだけ感じたざらり感はどこへ?
わたしの感性の限界、全然感じません。感じないほうが聞く分には居心地いいから都合がいいんですけどね。



クラシック畑から3人、ポップス出身が一人という編成もきっとクラシック4人より親しみ、身近さを人々が感じられるのだろうということで。

セバスチャンが選ばれた理由はこれ。
デイヴィッドは高音、カルロスは重厚な声と、ラテンの感性、ウルスはピュアな感性。
絶妙の選ですよね。よくもまあ、この4人が選ばれたと。

カルロスは「IL DIVOの良さは4つの声のカラーがあること」だと言います。この場合のカラーは特色なんだろうけど、いや、本当に彼らの声には色彩というか自然を感じるんですよ。

この時も車の運転中。
歌のタイトルも歌詞の意味も知らない曲が未だに多い中、(すみません、ファンにあるまじきことで・・・。大体の意味を知っているのが「MAMA」と「パセラ」と「レグレサ・ア・ミ」と「ヒーロー」と・・・この頃知った「君が愛してくれるなら」)、
「O Holy Night」も例の如くタイトルさえも気にせず聞いておりました。何かクリスマスっぽい歌だな〜とは思っていたんですけど、ぼ〜っと聞き流していたんです。で、その時もアルバムの最初からぼ〜っと聞いていて、ピアノの調べで始まるそれが流れてきて「あ、ウルスの声だ。」と思った瞬間、目の前にぱ緑の木々、草原、豊かに稔る大地・・・そんなイメージが広がりました。こんなことは初めてで、新鮮な驚きだったです。その感覚のまま聞いてみると(運転しながらですが・・・)デイヴィッドは花が咲く草原の上を吹きぬける風のイメージ、カルロスは地球の生命の源の大海原、セバスチャンは自然というより人々の暮らし、上手く言えないけど人間の営み、そんな感じがしたのです。
クリスマス曲だと最初から知っていたらこんなイメージが湧いたかどうか判りませんが、今まで歌声で景色を感じることはなかったので、新しい発見でした。何か嬉しかった。

これは人それぞれ、聞く人によって彼らの声は無数の景色、イメージ、感覚に変化していくと思う。4つの声のカラーはそれこそ無限の広がりを見せていくのだと思います。1×4=∞

ネッラ・ファンタジアもそう。緻密に計算されて地球の鼓動を感じる歌声なんですよね。

ラブ・ソングは・・・よくわからないです。何となく照れがあるし・・・、歌詞知らないし。これに関してはいずれ。あ、でも「君が愛してくれるなら」の歌詞の意味を知った時も感動しましたよ。これはこんな歌だったのか〜って。(この時、歌っている彼らの表情とか視線の先とかいろいろ確認するのがオタクの性・・・・・・。)





秋から、サードアルバムの録音が開始されるそうで、公式のウェブサイトでは歌って欲しい曲のリクエストとかもされている模様です。
3枚目が1,2枚目より悪ければ、ファンの期待する以上のものでなければ4枚目はないし、それは彼らだってわかっています。プレッシャーとか、スタジオ内での努力とかも相当なものでしょう。
ワールドツアーもハードスケジュールだったし、けどツアーで得られたものも多いと思います。

「IL DIVO」という器が最初にあって、その中に入れる人間が選ばれて、シャカシャカ混ぜたら新しい音楽が完成しました。その完成度はアイディアをだした本人もびっくりする程の出来でした。そして彼らは世界中で受け入れられました。これからも大きくはばたいて欲しいと思います。



いつまでも幸せで歌いつづけて欲しい。






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付け加え

一番最初にIL DIVOを聞いた時全部同じ曲に聞こえました・・・。
わたしも進歩したと言えるのでしょうかね?