上海南京囲碁の旅 2001

浅井 忠

 囲碁同好会ファンファン会の中国遠征囲碁の旅2001に参加させて頂きました。
期間は3月2日(金)から3月8日(木)で、今年の親善対局は上海(3月3日)と
南京(3月5日)の二日行いました。
毎年行われる囲碁同好会による自作自演の旅ですが、
伊藤忠OBが中心の同好会ですので、海外の旅は慣れたもので安心できます。
囲碁ファンで中国囲碁旅行でもとお考えの方には、この囲碁旅行記が少なからず参考になるのではと思います。
                                                          
総括
囲碁親善公式対局の結果は上海(3月3日)の女流アマ高段者方芳(ファンファン)さんの選抜チームには
4勝6敗1分け、南京での江蘇棋院の倹k中九段棋院長の選抜チームには6戦全勝でした。
今回の好成績には中国側が対戦相手に、必要以上の配慮があったのではないかとおもいます。
我が遠征チームは6名で、岩月主将が中国四段、副将の佐々木さん、
三将の小林さん、四将の浅井、五将の秋谷さんの4名は中国三段、六将の佐波さんは中国初段で申請しました。
南京での対局は倹k中九段棋院長の配慮で中国二段から三段を選抜して頂いたチームで、
社会的地位のある方を揃えて頂きました。
また上記公式手合いのほか、宿泊ホテルやホテル近傍の碁会所での参加者6名のリーグ戦も行いました。
こちらは優勝岩月さん、準優勝秋谷さん、三位は佐々木さんでした。

3月6日は観光日として、参加者全員で南京観光を楽しみました。
ファンファン会の中国遠征は今回が5回目ということですが私は去年と今年参加させて頂きましたが、囲碁好きで且つ年恰好も近いもの同士の旅行ですので、気楽で楽しく旅ができました。
旅行の企画から実行まで終始お世話を頂いた岩月幹事、ファンファン会の佐々木会長、さらに旅行中の会計の世話を頂いた佐波事務局長には深く感謝します。
俳句も趣味とされている小林守克さんは、今回の囲碁の旅の俳句十句の作品と寸評による紀行文をまとめられました。このページの後半に掲載しますので読んでください。

遠征日程

3月2日(金) 中国東方航空MU524便( 13:50 成田発 16:15 上海着)        上海国際貴都大飯店(Equatorial Hotel)
3月3日(土) 市体育倶楽部 方芳さん編成チーム と公式対局                   上海国際貴都大飯店(Equatorial Hotel)
3月4日(日) 上海→南京 ノンストップ特急     所要時間2時間30分                                                南京古南都飯店
(Grand Hotel)
3月5日(月) 江蘇棋院対局室 親善チームと公式対局 南京古南都飯店
(Grand Hotel)
3月6日(火) 市内観光 南京古南都飯店
(Grand Hotel)
3月7日(水) 南京 上海 特急列車 所要時間3時間10分 上海国際貴都大飯店(Equatorial Hotel)
3月8日(木) 中国東方航空MU523便
(9:10上海発 12:50 成田着 成田にて自由解散
      .

 費用
FF会の会員は海外体験の豊富な方が多いので、今回の旅行もすべて自作自演で実行されました。
企画から実行までは全面的に岩月さんがやってくれました。
毎度のことながら深く感謝します。
それでは今後このような囲碁旅行を考えておられるグループや個人のために、遠征費用について下記します。
総費用概算(親善チームへの謝礼と飲食会の費用など総てをふくむ)約12万円
主要項目費用は、航空券代:5730円 ホテル代:27300円 現地食事代と親睦経費:3000円 であった。
なおホテルはツインベットの二人使用でコストを下げた。旅行書では4つ星ホテルにランクされているが、どちらも5つ星に近いホテルで快適であった。
いずれのホテルも市内中心部に位置しており、
市内散策には大変便利です。
とくに南京では囲碁ができる喫茶店がとなりにある古南都飯店は囲碁ファンには格好のホテルです。
市内の物価は非常に安いがホテルでの飲食物は異常に高いので、
できればビール、酒、水などはホテルを出て購入してきたほうが良い。

第5回日中囲碁交流会戦績
於:上海市体育倶楽部(南京東路)
          

           200133日(土)

                 

日本側 第一回戦 中国側 第二回戦 日本側
岩月 泰  四段(先) × 方 芳 五段 .
佐々木康夫 三段(互先) × 姜連根 三段 × 小林守克 三段(互先)
小林守克  三段(向先) × 徐柏華 二段 × 浅井 忠 三段(向先)
浅井 忠  三段(3子) × 沈 興 六段 ジゴ 秋谷達司 三段(3子)
秋谷達司  三段(向先) × 徐志華 二段 × 佐波治彦 初段(先)
佐波治彦  初段(向子) × 徐志偉 2級 × 佐々木康夫三段(向4子)
           
南京親善対局の棋譜


中国遠征俳句紀行(俳句十句)                 小林守克
3月2日(金)上海着
  出迎へる少女の笑顔白牡丹
昨年のツアーで訪ねた「緑島」へ行く。亭主に料理と囲碁で歓待されたので再訪する。
ところが亭主は行方不明、経営者はかわり、碁の当てがはずれるが、
日本ではもうお目に掛かれない素朴な少女の笑顔に出会う。白牡丹のような色白、しかし商売上手。

3月3日(土)上海で恒例の碁会
  朋友(ぽんゆう)と囲む碁盤や木の芽吹く
ファンファンさんという楚々とした美人囲碁ライターがこの会の世話人で、
会の名前の由来である。回を重ねるたびに親しさが増し、碁を楽しんでいる。季節は芽吹きの時。

3月4日(日)南京へ向かう汽車で
  巨手拡げ大枝春天支うかに
南京の街路樹は鈴懸け。日本のものとは異なり大樹となり、天にむかって大きな枝を拡げている。
古代中国に天が落ちてきたらと.心配した杞の国の話し「杞憂」を思い出し、
中国は天を支えるように植樹していると詠んでみた。

3月6日(火)南京市内観光
日中戦争での日本軍の南京虐殺を記念した記念館を訪れる。
  頭垂れ歩む白鳩春寒し
スクリーンに映し出される画面に全員言葉なし。贖罪の心で唯唯頭を下げて見学する。
犠牲者30万人と大書し、前の庭に白鳩が群れ、無心に頭を下げて餌を啄んでいる。早春の朝、
吹く風は寒く肌をさす。

長江大橋へ
  長江の沖天に融け柳絮人飛ぶ
塔の上は風当たりが強い。下流の沖は春霞に融け込み、空との見分けはつかない。柳の木は開発が進み見かけなかったが、長江沿の公園にあった。この橋はロシアの技術陣が引き上げた後、
中国の自前の技術で完成したとのこと。

紫金山公園への梅林へ
  梅散るや馬の石像正座して
梅林の入口に正座する馬の石像が一対、他に象、駱駝等々延々と並んでいる。
見渡す限り紅白の梅は満開、散り始めたものもある。紫金山は遠霞の中。

孫文の眠る中山陵へ
 中山陵三百九十二段八つ手の実
中山は日本亡命時の名前、紫金山に陵がある。三百九十二段の段上に眠っている。当時の人口、三億九千二百万人にちなむ。参道の両側に延々と八つ手が植えられ、花から実になろうと
している。発展中国を象徴するように、そして創建の父孫文は永遠に見つめている。
雨花台の烈士の碑へ
  緋に染めて辛夷が囲む烈士の碑
日本の靖国神社に当たる記念碑、革命に命を捧げた戦士、十万人の記念碑である。折がら周囲の紅白の辛夷が満開、赤い辛夷は珍しい。犠牲者の血の象徴か。
南京市の南、中華門へ
  鎧着て門守る兵傭月朧
日中戦争で南京を占領し、司令官が入場した門、明の太祖が築城、戦火と水害と開発により、
残るは三分の一に。日本のボランティアによる修復が行われている。
門には鎧を着て槍を持った立派な兵傭が番をしている。まだ明るいそらに朧月があった。
 シャレのめすガイド車窓の山笑う
日本語が上手、且つ諺を知り、駄洒落も入れての観光ガイド、一日楽しく南京市内を観ることができた。腕の良いガイドに恵まれる。一期一会の醍醐味。紫金山も春めいて見える。
皆さんお世話になりました。


 佐々木康夫 FF会会長作(平成八年自宅にて)
  碁仇の肩越しに梅白きかな 
 
碁敵を白梅に寄せたところが秀句、
肩越しで写生が出来て、座敷で碁仇と二人で碁を楽しんでいるイメージが良く出ている。(小林さんの評)
「春燈」同人の鈴木真砂女氏から、
肩越しに梅白きかなが情景を表し秀句との評価を頂いた自慢の句です。(佐々木さん談)