ウツギ(空木) ユキノシタ科ウツギ属

落葉低木、変化が多く多数の品種が栽培される。卯の花の名でよく知られる。
材は堅く木釘や爪楊枝などに利用される。
ウツギ20080518
バイカウツギ20110521
フサウツギ20080625
ハコネウツギ20070503
ノリウツギ20080601

 万葉集
1259 佐伯山卯の花持ちし愛(かな)しきが手をし取りてば花は散るとも
1472 霍公鳥来鳴き響(とよ)もす卯の花の共(むた)やなりしと問はましものを
1477 卯の花もいまだ咲かねば霍公鳥佐保の山辺に来鳴き響もす
1482 皆人の待ちし卯の花散りぬとも鳴く霍公鳥吾(あれ)忘れめや
1491 卯の花の過ぎば惜しみか霍公鳥雨間(あまま)も置かずこよ鳴き渡る
1501 霍公鳥鳴く峯(を)の上の卯の花の憂きことあれや君が来まさぬ
1755 鴬の 卵(かひこ)の中に 霍公鳥 独り生れて 己(し)が父に 似ては鳴かず 己が母に 似ては鳴かず 卯の花の 咲きたる野辺よ 飛び翔り 来鳴き響(とよ)もし 橘の 花を居散らし ひねもすに 鳴けど聞きよし 幣(まひ)はせむ 遠くな行きそ 我が屋戸の 花橘に 住みわたり鳴け
1899 春されば卯の花くたし吾(あ)が越えし妹が垣間(かきま)は荒れにけるかも
1942 霍公鳥鳴く声聞くや卯の花の咲き散る岡に葛引く乙女
1945 朝霞八重山越えて霍公鳥卯の花辺(はなへ)から鳴きて越ゆなり
1953 五月山卯の花月夜霍公鳥聞けども飽かずまた鳴かぬかも
1957 卯の花の散らまく惜しみ霍公鳥野に出山に入(り)来鳴き響もす
1963 かくばかり雨の降らくに霍公鳥卯の花山になほか鳴くらむ
1975 時ならず玉をぞ貫ける卯の花の五月を待たば久しかるべみ
1976 卯の花の咲き散る岡よ霍公鳥鳴きてさ渡る君は聞きつや
1988 鴬の通ふ垣根の卯の花の憂きことあれや君が来まさぬ
1989 卯の花の咲くとはなしにある人に恋ひやわたらむ片思(かたもひ)にして
3978 妹も吾(あれ)も 心は同(おや)じ たぐへれど いやなつかしく 相見れば 常初花(とこはつはな)に 心ぐし 目ぐしもなしに  愛(は)しけやし 吾(あ)が奥妻 大王の 命畏み  足引の 山越え野行き 天ざかる 夷治めにと  別れ来(こ)し その日の極み あら玉の 年行き返り 春花の うつろふまでに 相見ねば 甚(いた)もすべ無み  敷布(しきたへ)の 袖返しつつ 寝る夜おちず 夢には見れど  うつつにし 直(ただ)にあらねば 恋しけく 千重に積もりぬ 近くあらば 帰りにだにも うち行きて 妹が手枕  差し交へて 寝ても来(こ)ましを 玉ほこの 道はし遠(どほ)く  関さへに 隔(へな)りてあれこそ よしゑやし よしはあらむそ  霍公鳥 来鳴かむ月に いつしかも 早くなりなむ  卯の花の にほへる山を 外(よそ)のみも 振り放け見つつ  近江路(あふみぢ)に い行き乗り立ち 青丹よし 奈良の吾家(わがへ)に 鵺鳥(ぬえとり)の うら嘆(な)げしつつ 下恋に 思ひうらぶれ 門に立ち 夕占(ゆふけ)問ひつつ 吾(あ)を待つと 寝(な)すらむ妹を 逢 ひて早 見む
3993 藤波は 咲きて散りにき 卯の花は 今そ盛りと 足引の 山にも野にも 霍公鳥 鳴きし響(とよ)めば 打ち靡く 心も撓(しぬ)に そこをしも うら恋しみと 思ふどち 馬打ち群れて 携はり 出で立ち見れば 射水川 水門(みなと)の渚鳥(すどり) 朝凪に 潟に漁りし 潮満てば 嬬(つま)呼び交す 羨しきに 見つつ過ぎ行き 澁谿の 荒磯の崎に 沖つ波 寄せ来る玉藻 片縒(よ)りに 蘰(かづら)に作り 妹がため 手に巻き持ちて うらぐはし 布勢の水海に 海人船に 真楫(まかぢ)掻い貫(ぬ)き 白布(しろたへ)の 袖振り返し 率(あども)ひて 我が榜ぎ行けば 乎布(をふ)の崎 花散りまがひ 渚には 葦鴨(あしがも)騒き さざれ波 立ちても居ても 榜ぎ廻り 見れども飽かず 秋さらば 黄葉(もみち)の時に 春さらば 花の盛りに  かもかくも 君がまにまと かくしこそ 見も明らめめ 絶ゆる日あらめや
4008 青丹よし 奈良を来離れ 天ざかる 夷(ひな)にはあれど 我が背子を 見つつし居(を)れば 思ひ遣る 事もありしを 大王(おほきみ)の 命畏み 食す国の 事執り持ちて 若草の 脚帯(あゆひ)手装(たづく)り 群鳥(むらとり)の 朝立ち去なば 後れたる 吾(あれ)や悲しき 旅にゆく 君かも恋ひむ 思ふそら 安くあらねば 嘆かくを 留めもかねて 見わたせば 卯の花山の 霍公鳥 音のみし泣かゆ 朝霧の 乱るる心 言に出でて 言はば忌々(ゆゆ)しみ 礪波(となみ)山 手向(たむけ)の神に 幣(ぬさ)まつり 吾(あ)が乞ひ祈(の)まく 愛(は)しけやし 君が直香(ただか)を 真幸(まさき)くも 在り廻(たもとほ)り 月立たば 時も易(か)はさず 撫子が 花の盛りに 相見しめとそ
4066 卯の花の咲く月立ちぬ霍公鳥来鳴き響めよ含みたりとも
4089 高御座(たかみくら) 天(あま)の日継(ひつぎ)と すめろきの 神の命(みこと)の  聞こし食(を)す 国のまほらに 山をしも さはに多みと 百鳥(ももとり)の 来居て鳴く声 春されば 聞きのかなしも いづれをか 別(わ)きて偲はむ 卯の花の 咲く月立てば めづらしく 鳴く霍公鳥 あやめぐさ 玉貫くまでに 昼暮らし 夜わたし聞けど 聞くごとに 心うごきて 打ち嘆き あはれの鳥と 言はぬ時なし
4091 卯の花の咲くにし鳴けば霍公鳥いやめづらしも名のり鳴くなべ
4217 卯の花を腐(くた)す長雨の始水(みづはな)に寄る木糞(こつみ)なす寄らむ子もがも
 卯の花→ユキノシタ科の落葉低木 うつぎの花

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