阪神大震災で猛火を浴びた樹木たち

あの朝、テレビの映像から映し出される光景は忘れることができません。
瞬く間に黒煙があがり、街をひとのみにしてしまいました。崩れた家屋の下に多くの方々が埋まっていると思うと早くなんとかしなければ、どうにかならないものか、と胸が締め付けられました。
被災された多くの方々のご冥福と、明日に向かって歩んでゆく勇気に対して心より敬意を申し上げます。


1997.05.17 朝日新聞より

阪神大震災で猛火を浴びた神戸市の樹木が、驚異的な生命力で樹勢を回復。
新緑に輝いている。            

鷹取駅そばの大黒公園。クスノキの緑の塊から無数の枯れ枝が突き出している。木が一回りほど小さくなった感じだ。幹の片側は黒く変色、ところどころ、かさぶたが取れるように皮がはがれ、すべすべした木質部がのぞく。この公園には、住民や病院の入院患者が一時避難してきた。1997年にできた震災記念碑には「当公園は延焼を防ぎ、被災後の援助活動の拠点として活用された。この経験は、公園や樹木の防災的な役割を再認識しました。」とある。
新長田公園。ナンキンハゼは全身黒こげだったが、根元ちかくから赤い芽を吹いていた。菅原通公園。クスやイチョウは生き残っていた。国土緑化機構報告によりますと火災に強い木は、ウバメガシ、カナリーヤシ、中程度は、クスノキ、ケヤキ、イチョウ、弱い木は、ナンキンハゼ、サトザクラ、シラカシ、など
以上抜粋です


樹木はすごい! 感動です。防風林、防砂林、防火林、避難林?、災害に対して獅子奮迅の活躍です。
人口密度や人工密度の高い都市部では重要なパートナーです。
都市部では毎年緑地が少しずつ公園や宅地に形を変えています。
自然に近い緑地が狭くなってゆくのは寂しいのですが、時代の流れ、時代の要請でしょうか。
近未来都市のイメージに、ドームの中に住居や生活空間が描いてあります。
もうすでに始まっているような気がします。
都市部の樹木は自然からすこし距離をおいた形に変えられ私達と共生してゆくのでしょう。

カナリーヤシ

別名 フェニックス、雌雄異株、幹は太く高さ10mを超える。公園、街路樹に利用。

ウバメガシ
ブナ科の常緑小低木、海岸近くに多い、公害に強い、葉は小さく、なめし皮質でひくい波状の鋸歯がある。
実のドングリは長さ1〜2cm、はかまは横輪がなくコナラのように鱗片がつく。
富成忠夫 著 「樹木2」 山と渓谷社

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