白根山のダケカンバ食害30ヘクタール

1991、10、31、朝日新聞
栃木、群馬県境にある白根山でダケカンバが葉を食害されていることがわかった。
犯人はハバチの一種「ディネウラ.ビリディドルサータ」の幼虫と判明した。
1本のダケカンバに数万匹もたかって、葉を食べ尽くすために、数年で立ち枯れる恐れがある

10年ほど前の記事です。
日本全国、世界中で樹木の立ち枯れが注目をあびています。

その後ダケカンバの様子はどうなんだろうと調べてみました。
立ち枯れで無残な姿です。
原因がいろいろ追求され、議論もされています。
1983の台風、ハバチの食害、凍害、ナラタケ菌、縞枯れ、公害、いろいろ議論されました。
結論はなかなかこれと確定されないようですが議論の方向は見えました。
宮下 正次氏 森林(やま)の会事務局長)は 「立ち枯れの原因は酸性雨によるもの
立ち枯れは18年前におこったものではなかった」 と主張されています。

私もほぼも同感です。
大規模な森林悪化に影響を与える原因はもろもろですが樹木にとって「」は生死を隔てる重要な条件
ではないでしょうか。
樹木は葉っぱから二酸化炭素を吸収しエネルギーに変えて根から「」を通して養分を吸収する事で生命を維持しています。「食事に毒をもられた」例えがよくありませんが「」がキーワードになるように思えてなりません。
少々葉っぱが昆虫に食べられてもどうってことないような気がします。

樹齢数10年から数100年の樹木が一度に枯れると、再び元の様子にもどるのに大変な時間とエネルギーが必要です。
まだ十分に生きられるのに、そのうえ立ち枯れの木は材料として用途が狭くなりほとんど使えなくなります。
残念です。

ダケカンバ
カバノキ科、亜高山帯から高山帯に植生する落葉高木、樹皮は赤褐色か灰白色、花は5〜6月に咲く。
似ている木、シラカンバ

長野県衛生公害研究所に詳しいレポートが報告されています。以下抜粋です。


森林衰退と大気汚染  http://www.nagano-eikouken.or.jp/jyoho/h11/h11_2_1.html

              野溝春子(大気部)

1.2000年に日本で国際会議

 欧米では1950年以降、湖沼の酸性化による魚介類の死滅、森林の壊滅的枯損が社会的問題にまで発展し、原因究明のために1970年代初めから各国で研究が行われるようになりました。その情報交換と研究者の相互交流のために1975年から5年毎に酸性雨国際会議が開催されるようになり、現在41ケ国が参加しています。

 枯死の原因は一時、酸性雨と考えられていましたが、現在では汚染物質、気象、その他の複合影響と考えられるようになってきました。1995年にスウェーデンで開催された第5回の国際会議においては、酸性雨問題は地球酸性化による生態系への影響という観点で対処すべきであるとの考え方が主流となっています。

★北関東の大規模森林枯損

 日光連山の標高2000m前後の山岳地帯でオオシラビソやコメツガ等の針葉樹やダケカンバ等の落葉広葉樹が大量に枯れています(写真1)。被害面積は2200haで、立ち枯れは主に南東斜面に集中しており、原因としてオゾン、硫酸ミスト、酸性霧が挙げられています。

 関東平野の北西部に位置する赤城山では、標高 1000〜1400mでシラカンバ、カラマツ、モミ、ダケカンバ、ミズナラが枯れています。赤城山の南東斜面、標高1400mの地点では1984年から霧の観測が行われており、1990年には高濃度のO3(100ppb)の後、発生した霧の最終的なpHが2.96に達したと報告されています。



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