| 草木塔より 樹木に関係ある句です。 |
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| 松風に明け暮れの鐘撞いて | |
| 木の葉散る歩きつめる | |
| ほろほろ酔うて木の葉ふる | |
| 木の芽草の芽あるきつづける | |
| 雨の山茶花の散るでもなく | |
| しきりに落ちる大きい葉かな | |
| それでよろしい落葉を掃く | |
| また逢へた山茶花も咲いてゐる | |
| 見すぼらしい影とおもふに木の葉ふる | |
| 枝をさしのべてゐる冬木 | |
| ふるさとは遠くして木の芽 | |
| はや芽吹く樹で啼いてゐる | |
| 笠へぽつとり椿だつた | |
| ゆふ空から柚子の一つをもらふ | |
| 茶の花のちるばかりちらしておく | |
| いつしか明けてゐる茶の花 | |
| 冬が来てゐる木ぎれ竹ぎれ | |
| 落葉の、水仙の芽かよ | |
| 茶の木も庵らしくひらいてはちり | |
| 誰か来さうな空が曇つてゐる枇杷の花 | |
| 落葉ふる奥ふかく御仏を観る | |
| 落葉あたたかうして藪柑子 | |
| 茶の木にかこまれそこはかとないくらし | |
| 椿ひらいて墓がある | |
| 音は朝から木の実をたべに来た鳥か | |
| 人が来たよな枇杷の葉のおちるだけ | |
| もう明けさうな窓あけて青葉 | |
| 松風すずしく人も食べ馬も食べ | |
| 若葉のしづくで笠のしづくで | |
| 松かぜ松かげ寝ころんで | |
| 花いばら、ここの土とならうよ | |
| 山路はや萩を咲かせてゐる | |
| ここにふたたび花いばら散つてゐる | |
| いちじくの葉かげあるおべんたうを持つてゐる | |
| 風の枯木をひろうてはあるく | |
| 手がとどくいちじくのうれざま | |
| やつと郵便が来てそれから熟柿のおちるだけ | |
| 散るは柿の葉咲くは茶の花ざかり | |
| 空のふかさは落葉しづんでゐる水 | |
| 水音のたえずしていばらの実 | |
| 落葉を踏んで来て恋人に逢つたなどといふ | |
| ぽきりと折れて竹が竹のなか | |
| なんといふ空がなごやかな柚子の二つ三つ | |
| 焚くだけの枯木はひろへた山が晴れてゐる | |
| よびかけられてふりかへつたが落葉林 | |
| 酒をたべてゐる山は枯れてゐる | |
| 藪柑子もさびしがりやの実がぽつちり | |
| 椿のおちる水のながれる | |
| 汽車のひびきも夜明けらしい楢の葉の鳴る | |
| 草や木や生きて戻つて茂つてゐる | |
| 病みて一人の朝がゆふべとなりゆく青葉 | |
| 柿の若葉のかがやく空を死なずにゐる | |
| ひとりひつそり竹の子竹になる | |
| 日ざかり落ちる葉のいちまい | |
| 柿の木のむかうから月が柿の木のうへ | |
| 寝床へ日がさす柿の葉や萱の穂や | |
| 何か足らないものがある落葉する | |
| たより持つてきて熟柿たべて行く | |
| 百舌鳥のさけぶやその葉のちるや | |
| 柳があつて柳屋といふ涼しい風 | |
| うらに木が四五本あればつくつくぼうし | |
| 道がなくなり落葉しようとしてゐる | |
| 木の葉ふるふる鉢の子へも | |
| 柳ちるそこから乞ひはじめる | |
| 梅もどき赤くて機嫌のよい目白頬白 | |
| 春寒のをなごやのをなごが一銭持つて出てくれた | |
| いつとなくさくらが咲いて逢うてはわかれる | |
| 先生のあのころのことも楓の芽 | |
| 樹が倒れてゐる腰をかける | |
| もう逢へますまい木の芽のくもり | |
| あすはかへらうさくらちるちつてくる | |
| 柿が赤くて住めば住まれる家の木として | |
| 日かげいつか月かげとなり木のかげ | |
| 残された二つ三つが熟柿となる雲のゆきき | |
| なんぼう考へてもおんなじことの落葉ふみあるく | |
| 落葉ふかく水汲めば水の澄みやう | |
| 寝たり起きたり落葉する | |
| 落葉ふんで豆腐やさんが来たので豆腐を | |
| 竹のよろしさは朝風のしづくしつつ | |
| 枯木に鴉が、お正月もすみました | |
| どこからともなく散つてくる木の葉の感傷 | |
| あたたかなれば木かげ人かげ | |
| 住みなれて藪椿いつまでも咲き | |
| ぬくうてあるけば椿ぽたぽた | |
| 風がほどよく春めいた藪と藪 | |
| ゆらいで梢もふくらんできたやうな | |
| 山から白い花を机に | |
| ある日は人のこひしさも木の芽草の芽 | |
| 枇杷が枯れて枇杷が生えてひとりぐらし | |
| 空へ若竹のなやみなし | |
| 青葉の奥へなほ径があつて墓 | |
| 木かげは風がある旅人どうし | |
| 鎌倉はよい松の木の月が出た | |
| 花が葉になる東京よさようなら | |
| からまつ落葉まどろめばふるさとの夢 | |
| 山のふかさはみな芽吹く | |
| 青葉わけゆく良寛さまも行かしたろ |
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| 何おもふともなく柿の葉のおちることしきり | |
| 柚子の香のほのばの遠い山なみ | |
| にぎやかに柿をもいでゐる | |
| 落葉の濡れてかがやくを柿の落葉 | |
| 月からひらり柿の葉 | |
| 何を待つ日に日に落葉ふかうなる | |
| 澄太おもへば柿の葉のおちるおちる | |
| 冬木の月あかり寝るとする | |
| 落葉ふみくるその足音は知つてゐる | |
| 落葉してさらにしたしくおとなりの灯の | |
| 葉の落ちて落ちる葉はない太陽 | |
| 何事もない枯木雪ふる | |
| みぞるる朝のよう燃える木に木をかさね | |
| かうして生きてはゐる木の芽や草の芽や | |
| ひらくよりしづくする椿まつかな | |
| ならんで竹の子竹になりつつ | |
| 窓にしたしく竹の子竹になる明け暮れ | |
| そこはかとなくそこら木の葉のちるやうに | |
| 枯枝ぽきぽきおもふことなく | |
| おのれにこもる藪椿咲いては落ち | |
| しづけさ、竹の子みんな竹になつた | |
| をなごやは夜がまだ明けない葉柳並木 | |
| その土蔵はそのままに青木の実 | |
| ふつとふるさとのことが山椒の芽 | |
| 投げ挿しは白桃の蕾とくとくひらけ | |
| 桃が実となり君すでに亡し | |
| たまたまたづね来てその泰山木が咲いてゐて | |
| 日が山に、山から月が、柿の実たわわ | |
| 萩が咲いてなるほどそこにかまきりがをる | |
| 空襲警報るゐるゐとして柿赤し | |
| このみちいくねんの大栃芽吹く | |
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