山頭火

草木塔より
樹木に関係ある句です。

画像 松風に明け暮れの鐘撞いて
画像010 木の葉散る歩きつめる
画像009 ほろほろ酔うて木の葉ふる
024 木の芽草の芽あるきつづける
雨の山茶花の散るでもなく
しきりに落ちる大きい葉かな
画像011 それでよろしい落葉を掃く
また逢へた山茶花も咲いてゐる
見すぼらしい影とおもふに木の葉ふる
画像012 枝をさしのべてゐる冬木
ふるさとは遠くして木の芽
はや芽吹く樹で啼いてゐる
笠へぽつとり椿だつた
ゆふ空から柚子の一つをもらふ
029 茶の花のちるばかりちらしておく
いつしか明けてゐる茶の花
冬が来てゐる木ぎれ竹ぎれ
落葉の、水仙の芽かよ
茶の木も庵らしくひらいてはちり
誰か来さうな空が曇つてゐる枇杷の花
落葉ふる奥ふかく御仏を観る
落葉あたたかうして藪柑子
茶の木にかこまれそこはかとないくらし
椿ひらいて墓がある
画像017 音は朝から木の実をたべに来た鳥か
人が来たよな枇杷の葉のおちるだけ
画像003 もう明けさうな窓あけて青葉
松風すずしく人も食べ馬も食べ
若葉のしづくで笠のしづくで
松かぜ松かげ寝ころんで
花いばら、ここの土とならうよ
画像004 山路はや萩を咲かせてゐる
ここにふたたび花いばら散つてゐる
画像005 いちじくの葉かげあるおべんたうを持つてゐる
030 風の枯木をひろうてはあるく
手がとどくいちじくのうれざま
やつと郵便が来てそれから熟柿のおちるだけ
散るは柿の葉咲くは茶の花ざかり
空のふかさは落葉しづんでゐる水
水音のたえずしていばらの実
画像016 落葉を踏んで来て恋人に逢つたなどといふ
ぽきりと折れて竹が竹のなか
なんといふ空がなごやかな柚子の二つ三つ
焚くだけの枯木はひろへた山が晴れてゐる
よびかけられてふりかへつたが落葉林
酒をたべてゐる山は枯れてゐる
藪柑子もさびしがりやの実がぽつちり
椿のおちる水のながれる
008 汽車のひびきも夜明けらしい楢の葉の鳴る
草や木や生きて戻つて茂つてゐる
病みて一人の朝がゆふべとなりゆく青葉
画像013 柿の若葉のかがやく空を死なずにゐる
025 ひとりひつそり竹の子竹になる
日ざかり落ちる葉のいちまい
画像002 柿の木のむかうから月が柿の木のうへ
寝床へ日がさす柿の葉や萱の穂や
020 何か足らないものがある落葉する
たより持つてきて熟柿たべて行く
画像のページへ001 百舌鳥のさけぶやその葉のちるや
柳があつて柳屋といふ涼しい風
うらに木が四五本あればつくつくぼうし
道がなくなり落葉しようとしてゐる
木の葉ふるふる鉢の子へも
柳ちるそこから乞ひはじめる
019 梅もどき赤くて機嫌のよい目白頬白
春寒のをなごやのをなごが一銭持つて出てくれた
031 いつとなくさくらが咲いて逢うてはわかれる
先生のあのころのことも楓の芽
樹が倒れてゐる腰をかける
もう逢へますまい木の芽のくもり
あすはかへらうさくらちるちつてくる
018 柿が赤くて住めば住まれる家の木として
日かげいつか月かげとなり木のかげ
残された二つ三つが熟柿となる雲のゆきき
なんぼう考へてもおんなじことの落葉ふみあるく
落葉ふかく水汲めば水の澄みやう
寝たり起きたり落葉する
落葉ふんで豆腐やさんが来たので豆腐を
竹のよろしさは朝風のしづくしつつ
枯木に鴉が、お正月もすみました
どこからともなく散つてくる木の葉の感傷
032 あたたかなれば木かげ人かげ
住みなれて藪椿いつまでも咲き
ぬくうてあるけば椿ぽたぽた
風がほどよく春めいた藪と藪
ゆらいで梢もふくらんできたやうな
画像006 山から白い花を机に
ある日は人のこひしさも木の芽草の芽
枇杷が枯れて枇杷が生えてひとりぐらし
画像007 空へ若竹のなやみなし
青葉の奥へなほ径があつて墓
木かげは風がある旅人どうし
021 鎌倉はよい松の木の月が出た
花が葉になる東京よさようなら
からまつ落葉まどろめばふるさとの夢
033 山のふかさはみな芽吹く
028 青葉わけゆく良寛さまも行かしたろ
何おもふともなく柿の葉のおちることしきり
柚子の香のほのばの遠い山なみ
014 にぎやかに柿をもいでゐる
落葉の濡れてかがやくを柿の落葉
035 月からひらり柿の葉
何を待つ日に日に落葉ふかうなる
澄太おもへば柿の葉のおちるおちる
冬木の月あかり寝るとする
落葉ふみくるその足音は知つてゐる
落葉してさらにしたしくおとなりの灯の
葉の落ちて落ちる葉はない太陽
何事もない枯木雪ふる
みぞるる朝のよう燃える木に木をかさね
かうして生きてはゐる木の芽や草の芽や
ひらくよりしづくする椿まつかな
026 ならんで竹の子竹になりつつ
窓にしたしく竹の子竹になる明け暮れ
そこはかとなくそこら木の葉のちるやうに
枯枝ぽきぽきおもふことなく
022 おのれにこもる藪椿咲いては落ち
しづけさ、竹の子みんな竹になつた
をなごやは夜がまだ明けない葉柳並木
その土蔵はそのままに青木の実
023 ふつとふるさとのことが山椒の芽
投げ挿しは白桃の蕾とくとくひらけ
桃が実となり君すでに亡し
たまたまたづね来てその泰山木が咲いてゐて
日が山に、山から月が、柿の実たわわ
萩が咲いてなるほどそこにかまきりがをる
015 空襲警報るゐるゐとして柿赤し
027 このみちいくねんの大栃芽吹く


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