万葉集(巻第十一) 青空文庫 ―鹿持雅澄『萬葉集古義』による
参考図書 解説万葉集―佐野 保田朗 藤井書店 木の名の由来―深津 正・小林義雄著 日本林業技術協会 万葉集―日本古典文学全集 小学館 |
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巻第十一(2351〜2840) | |
2353 | 泊瀬の斎槻(ゆつき)がもとに吾(あ)が隠せる妻あかねさし照れる月夜(つくよ)に人見てむかも |
2444 | 白真弓石辺(いそへ)の山の常磐なる命なれやも恋ひつつ居らむ |
2519 | 奥山の真木の板戸を押し開きしゑや出で来ね後は如何にせむ |
2521 | かきつはた丹頬(にづら)ふ君をいささめに思ひ出でつつ嘆きつるかも |
2616 | 奥山の真木の板戸を音速み妹があたりの霜の上(へ)に寝ぬ |
2617 | あしひきの山桜戸を開き置きて吾(あ)が待つ君を誰か留むる |
2417 | 石上(いそのかみ)布留(ふる)の神杉(かむすぎ)神さびて恋をも吾(あれ)は更にするかも |
2453 | 春柳葛木山に立つ雲の立ちても居ても妹をしそ思(も)ふ |
2456 | ぬばたまの 黒髪山の 山菅に 小雨降りしき しくしく思ほゆ 山菅→緑黒色の実のなるゆり科の多年草→ヤブラン?他 山に生える菅の類とする。 |
2457 | 大野らに小雨降りしく木(こ)のもとに時々寄り来(こ)吾(あ)が思ふ人 |
2469 | 山ぢさの白露繁みうらぶるる心を深み吾(あ)が恋やまず 山ぢさ→エゴノキ ハイノキ科エゴノキ属 落葉小高木 |
2473 | 菅の根のねもころ君が結びてし吾(あ)が紐の緒を解く人はあらじ |
2478 | 秋柏(あきかしは)潤和川辺の小竹(しぬ)の群(め)の人に忍(しぬ)へば君に堪(た)へなく |
2480 | 道の辺のいちしの花のいちしろく人皆知りぬ吾(あ)が恋ふる妻 いちし→ヒガンバナ、ギシギシ、イタドリ、イチゴ、エゴノキ(難解で学者で分かれる) |
2484 | 君来ずは形見にせよと吾(あ)と二人植ゑし松の木君を待ち出ね |
2485 | 袖振るが見ゆべき限り吾(あれ)はあれどその松が枝に隠(かく)りたるらむ |
2486 | 茅渟(ちぬ)の海の浜辺の小松根深めて吾(あ)が恋ひ渡る人の子ゆゑに |
茅渟の海の潮干の小松ねもころに恋ひや渡らむ人の子ゆゑに | |
2488 | 磯の上(へ)の立てるむろの木ねもころに如何で深めて思ひそめけむ |
2500 | 朝づく日向かふ黄楊櫛(つげくし)古りぬれど何しか君が見るに飽かざらむ |
2505 | 梓弓引きてゆるさずあらませばかかる恋には逢はざらましを |
2630 | 結へる紐解きし日遠み敷妙の我が木枕(こまくら)は苔生しにけり |
2639 | 葛城の襲津彦(そづひこ)真弓荒木にも頼めや君が吾(あ)が名のりけむ |
2645 | 宮材(みやき)引く泉の杣(そま)に立つ民の憩ふ時なく恋ひ渡るかも |
2650 | 殺板(そぎた)もち葺ける板目の合はざらば如何にせむとか吾(あ)が寝そめけむ |
2653 | 馬の音(と)の轟(とど)ともすれば松陰に出でてぞ見つるけだし君かと |
2656 | 天飛ぶや軽の社の斎槻(いはひつき)幾代まであらむ隠(こも)り妻そも |
2666 | 妹が目の見まく欲しけく夕闇の木の葉隠れる月待つごとし |
2711 | 奥山の木の葉隠りて行く水の音に聞きしよ常忘らえず |
2752 | 我妹子を聞き都賀野辺(つがぬへ)のしなひ合歓木(ねぶ)吾(あ)は忍ひ得ず間無くし思へば |
2753 | 波の間よ見ゆる小島の浜久木久しくなりぬ君に逢はずして |
2761 | 奥山の岩本菅の根深くも思ほゆるかも吾(あ)が思(も)ふ妻は |
2767 | あしひきの山橘の色に出て吾(あ)は恋ひなむを人目忌ますな |
2786 | 山吹のにほへる妹がはねず色の赤裳の姿夢に見えつつ 翼酢色→ニワウメ→庭梅・小梅・林生梅・古名→ハネズ(常棣花(じょうていか)、翼酢(はねず)、唐棣花 英名 Japaneze Bush Cherry 中国原産のバラ科、サクラ属、ユスラウメ節の落葉小低木 |
2830 | 梓弓弓束巻き替へ中見判さらに引くとも君がまにまに |
2834 | 大和の室生(むろふ)の毛桃本繁く言ひてしものをならずはやまじ 毛桃(けもも)→バラ科サクラ属の落葉樹→1358、1889 |
2839 | かくしてや猶や成りなむ大荒木の浮田の社の標(しめ)ならなくに |
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