ウメ(梅) バラ科(サクラ属)

2002.06.05.
ウメは落葉小高木で高さ6mぐらいまで。
花は白、紅色、淡紅色があり、一重咲き、八重咲きともにみられます。
葉は互生、卵型、縁に細かい鋸歯があります。
園芸品種は約300種大きく野梅系(やばいけい)、紅梅系、豊後系、杏系の4つに分かれます。

         講談社「樹木たちの歳時記」より
特徴
葉は互生、葉の半分から先ほどに鋸歯があります。
実は手にとりよく見ますが、葉を改めて見る機会はなかなかありません。思ったより柔らかいものです。


チェーンソーの音が林の中から聞こえます。音のする方へ近づいてみました。
男性がチェーンソーで倒木を切っています。婦人が枝から実をもいでいます。
「こんにちは」 声をかけると気持ちよく 「こんにちわ」 と返って来ました。
「チェーンソーの音がするので来て見ました。ちょっと見せてください」 と言うと
「どうぞ どうぞ」 と男性が答える。
自分より少々年配だ。地下足袋を履いて上手にチェーンソーを操作している。
一見してプロだと判る。どうやら倒れた木は梅の木らしい。相当に大きい。
「50年ぐらいですか」
「いや〜100年近くの大木だよ」
「なかなかこれくらいの木はお目にかかれないよ」
倒れた木が作業道に覆い被さっている。上向きの太い木から切り落としているところだった。
実がたくさん付いている。収穫するにはすこし早いかもしれない。
「ホワイトリカーには使えるの」
「梅酒にはちょっと無理かもね」
「でも本当にたくさん付いてるね」
「今年はカキもウメもビワも豊作だよ」
「去年はちょっと悪かったからね」
婦人は農家のことを良く知っている。今年はジャガイモを植えているとのこと。
「ジャガイモは市場に出荷するの」
「いや〜市場は安くてね」
「自分達で食べたり直接売ってるよ」
男性は枝を切り落とし幹を切るようだ。婦人に声をかけ注意を促す。
ちょうど真ん中ほどにチェーンソーをいれる。瞬く間に2等分になる。それを30cmほどの胴切りにしてゆく。
「写真をとっていい」
根の部分が半分ほど土から出ている。半分はまだ土の中だ。切り口と残された根の部分を写真にとる。
「材木は何か使い道ないの」
「置物加工ぐらいかな」
「材は堅いですよね」
「うん堅いよ。なべしきにどう」
3cmほどの輪切りにしてくれる。
心材と辺材の区別が鮮明だ。辺材はまだ十分に水分を含んでいて薄茶色、心材は淡紅色。
ありがたくいただく。
「これほどのウメの木を切ってしまうにはもったいないよ」
地下足袋の男性が責任者の人に声をかけている。知った仲らしい。
「残りはいつでも切ってあげるから、邪魔にならない程度に残しておこうよ」
「来年新芽がふいてくるから」
どうやら通じたらしい。1時間ほどの会話をし作業を終える。
「ウメもよかったらどう?」
勧めてくれるが3年程前の梅酒が残っているので丁寧に辞退する。
「良い仕事を見せてもらいました」
御礼を述べ別れる。
画像追加
2008.02.10
2008.02.10
2008.02.10 2008.02.10
2008.02.10
児童公園にて

2008.04.12
団地敷地内
実が付きました。

 万葉集 20110625更新
0392 ぬば玉のその夜の梅を手(た)忘れて折らず来にけり思ひしものを
0398 妹が家(へ)に咲きたる梅の何時も何時も成りなむ時に事は定めむ
0399 妹が家(へ)に咲きたる花の梅の花実にし成りなばかもかくもせむ
0400 梅の花咲きて散りぬと人は言へど我が標結ひし枝ならめやも
0453 我妹子が植ゑし梅の木見るごとに心咽(む)せつつ涙し流る
0657 思はじと言ひてしものを唐棣(はねず)色の移ろひやすき我が心かも
0786 春の雨はいやしき降るに梅の花いまだ咲かなくいと若みかも
0788 うら若み花咲き難き梅を植ゑて人の言しげみ思ひそ吾(あ)がする
0792 春雨を待つとにしあらし我が屋戸の若木の梅もいまだ含(ふふ)めり
0657 思はじと言ひてしものを唐棣(はねず)色の移ろひやすき我が心かも
0786 春の雨はいやしき降るに梅の花いまだ咲かなくいと若みかも
0788 うら若み花咲き難き梅を植ゑて人の言しげみ思ひそ吾(あ)がする
0792 春雨を待つとにしあらし我が屋戸の若木の梅もいまだ含(ふふ)めり
1423 去年(こぞ)の春いこじて植ゑし我が屋戸の若木の梅は花咲きにけり
1426 我が背子に見せむと思(も)ひし梅の花それとも見えず雪の降れれば
1434 霜雪もいまだ過ぎねば思はぬに春日の里に梅の花見つ
1436 含(ふふ)めりと言ひし梅が枝今朝降りし沫雪にあひて咲きぬらむかも
1437 霞立つ春日の里の梅の花あらしの風に散りこすなゆめ
1438 霞立つ春日の里の梅の花花に問はむと吾(あ)が思(も)はなくに
1445 風交り雪は降るとも実にならぬ吾宅(わぎへ)の梅を花に散らすな
1452 闇ならばうべも来まさじ梅の花咲ける月夜(つくよ)に出でまさじとや
1485 夏まけて咲きたるはねず久かたの雨うち降らば移ろひなむか
1640 吾(あ)が岡に盛りに咲ける梅の花残れる雪をまがへつるかも
1641 沫雪に降らえて咲ける梅の花君がり遣らばよそへてむかも
1642 たな霧(ぎ)らひ雪も降らぬか梅の花咲かぬが代(しろ)にそへてだに見む
1644 引き攀(よ)ぢて折らば散るべみ梅の花袖に扱入(こき)れつ染(し)まば染むとも
1645 我が屋戸の冬木の上に降る雪を梅の花かとうち見つるかも
1647 梅の花枝にか散ると見るまでに風に乱れて雪ぞ降り来る
1648 十二月(しはす)には沫雪降ると知らねかも梅の花咲く含(ふふ)めらずして
1649 今日降りし雪に競(きほ)ひて我が屋戸の冬木の梅は花咲きにけり
1651 沫雪のこのごろ継ぎてかく降らば梅の初花散りか過ぎなむ
1652 梅の花折りも折らずも見つれども今夜の花になほしかずけり
1656 酒杯に梅の花浮かべ思ふどち飲みて後には散りぬともよし
1660 梅の花散らす冬風(あらし)の音のみに聞きし我妹(わぎも)を見らくしよしも
1661 久かたの月夜を清み梅の花心に開(さ)きて吾(あ)が思(も)へる君
1820 梅の花咲ける岡辺に家居(を)れば乏(とも)しくもあらぬ鴬の声
1833 梅の花降り覆ふ雪を包み持ち君に見せむと取れば消(け)につつ
1834 梅の花咲き散り過ぎぬしかすがに白雪庭に降りしきりつつ
1840 梅が枝に鳴きて移ろふ鴬の羽白妙に沫雪ぞ降る
1841 山高(だか)み降り来る雪を梅の花散りかも来ると思ひつるかも
1853 梅の花取り持ち見れば我が屋戸の柳の眉(まよ)し思ほゆるかも
1854 鴬の木伝(こづた)ふ梅のうつろへば桜の花の時かたまけぬ
1856 吾(あ)が挿せる柳の糸を吹き乱る風にか妹が梅の散るらむ
1857 毎年(としのは)に梅は咲けども空蝉の世の人吾(あれ)し春なかりけり
1858 うつたへに鳥は食(は)まねど縄(しめ)延へて守(も)らまく欲しき梅の花かも
1862 雪見ればいまだ冬なりしかすがに春霞立ち梅は散りつつ
1873 いつしかもこの夜の明けむ鴬の木伝ひ散らす梅の花見む
1883 百敷の大宮人は暇(いとま)あれや梅を挿頭してここに集(つど)へる
1900 梅の花咲き散る園に吾(あれ)行かむ君が使を片待ちがてり
1904 梅の花しだり柳に折りまじへ花に手向けば君に逢はむかも
1906 梅の花吾(あれ)は散らさじ青丹よし奈良なる人の来つつ見るがね
1918 梅の花散らす春雨しきて降る旅にや君が廬りせるらむ
1922 梅の花咲きて散りなば我妹子を来むか来じかと吾(あ)が松の木ぞ
2325 誰が園の梅の花そも久かたの清き月夜にここだ散りくる
2326 梅の花まづ咲く枝を手折りてば苞(つと)と名付けてよそへてむかも
2327 誰が園の梅にかありけむここだくも咲きにけるかも見が欲るまでに
2328 来て見べき人もあらなくに我家(わぎへ)なる梅の初花散りぬともよし
2329 雪寒み咲きには咲かず梅の花よしこの頃はさてもあるがね
2330 妹がため末枝(ほつえ)の梅を手折るとは下枝(しづえ)の露に濡れにけるかも
2335 咲き出たる梅の下枝に置く露の消ぬべく妹に恋ふるこの頃
2349 我が屋戸に咲きたる梅を月夜よみ宵々見せむ君をこそ待て
2786 山吹のにほへる妹がはねず色の赤裳の姿夢に見えつつ
3074 はねず色のうつろひやすき心あれば年をそ来経(ふ)る言は絶えずて
3901 御冬過ぎ春は来たれど梅の花君にしあらねば折る人もなし
3902 梅の花み山と繁(しみ)にありともやかくのみ君は見れど飽かにせむ
3903 春雨に萌えし柳か梅の花ともに後れぬ常の物かも
3904 梅の花いつは折らじと厭はねど咲きの盛りは惜しきものなり
3905 遊ぶ日の楽(たぬ)しき庭に梅柳折り挿頭(かざ)してば思ひ無みかも
3906 御苑生(みそのふ)の百木の梅の散る花の天(あめ)に飛び上がり雪と降りけむ
4041 梅の花咲き散る園に我ゆかむ君が使を偏(かた)待ちがてら
4134 雪の上に照れる月夜に梅の花折りて送らむ愛(は)しき子もがも
4174 春のうちの楽しき竟(を)へば梅の花手折り持ちつつ遊ぶにあるべし
4238 君が旅行(ゆき)もし久ならば梅柳誰(たれ)と共にか吾(あ)が蘰(かづら)かむ
4241 春日野に斎(いつ)く三諸(みもろ)の梅の花栄えてあり待て還り来むまで
4277 袖(そて)垂れていざ我が苑に鴬の木伝(こづた)ひ散らす梅の花見に
4278 あしひきの山下日蔭かづらける上にやさらに梅を賞(しぬ)はむ
4282 言(こと)繁み相問はなくに梅の花雪にしをれて移ろはむかも
4283 梅の花咲けるが中に含(ふふ)めるは恋や隠(こも)れる雪を待つとか
4287 鴬の鳴きし垣内(かきつ)ににほへりし梅この雪にうつろふらむか
4496 恨めしく君はもあるか屋戸の梅の散り過ぐるまで見しめずありける
4497 見むと言はば否(いな)と言はめや梅の花散り過ぐるまて君が来まさぬ
4500 梅の花香をかぐはしみ遠けども心もしぬに君をしそ思ふ
4502 梅の花咲き散る春の長き日を見れども飽かぬ磯にもあるかも

30選にもどる ホームに戻る