表紙へ

「タキオン」っていうか仕事のこと


正確には、ゲーム雑文では、ないかもしれん。
ゲーム紹介業界。まあ、「出版系」ってやつである。

この「タキオン」を取り上げたことで感じた話を、もろもろと。
ここを見ていただくと分かるが、私はこのゲームを仕事として取り寄せ、
記事を書くためにプレイをした。
ただ、このゲームに込める愛は、間違いなく、深かった。

というか、理不尽な思いがあったのだ。
「誰も大きく取り上げていないこと」に。

「スペースコンバットシミュレーション」
このジャンルに、私がふれたのは、「ウイングコマンダー」からだった。
まあ、より正確には「スターラスター」という偉大な先人があるのだが、
様々なストーリーに沿った任務。レーザーの飛び交う戦場、
話しかけてくる敵パイロット、一癖ありそうなウイングマン。
そして基地となる、宇宙空母とともに転戦。
 ゲームと世界観の両立。ここにショックを受けたのだ。
3D空間で自由に戦闘できるゲームシステム。
その完成度のすばらしさもさることながら、演出の見事さは、
日本ではできないのではないか。
敗残の、難民収容船が、ワープアウトしてくる。それを守れ。
というミッションがあった。
注意機に達するのとほぼ同時に姿を現す、茶色のみすぼらしい、巨大な船。
「よくきてくれた。ようやくたどり着いたよ」
疲れた声での通信。
その瞬間、無情にも敵の編隊がやってくるのだ。
僕は病院船を守るため、必死に機を操る。
海外ゲームと日本のゲームの大きな違いは、ここの病院船を守ること、というのが
徹底的にプレイヤーの手にゆだねられていることにある。
傷ついた難民船は、敵の攻撃に悲しいほど脆弱なのだ。
10回に8回は失敗するゲームバランス。
守れなくても、全然問題なく進むゲーム展開。
しかし、しかしである。だからこそうまくいったときの爽快感は格別なのだ。
敵を撃退し、難民船に併走する。
視点を切り替え、横を見る。いろいろなところから煙と炎が吹き上がる、
満身創痍の船だ。
しかし、いきている。
この俺が生き延びさせたのだ。
この爽快感!

・・・・・ここまで書くと、このゲームがとても人を選ぶゲームであることがわかる。
書けば共感してくれるかもしれない。
だけど、これがとんでもなく難しかったら、やっぱりプレイしてくれないだろう。
だいたい操作が難しい。
シールド、エネルギー残量。敵の進路を予測しての射撃、
アフターバーナーと、急停止を使いこなす、敵の弱点の捜索。
パイロットになりたい人以外を、徹底的に排除するゲームだ。

そして、そんなことをあまり自覚せずに、記事を書いた。
マイナーなゲーム、熱い世界観。
そして、結果は、クリック率のワーストという形で、
「笑い話」にされた。
しかし今は、納得がある。

現在、うちの編集部では、パソコンゲームを語れる人が、僕しかいない。
世の中の雑誌を見てみよう。大きなタイトルを取り上げていない商業誌は、皆無だ。
僕が仕事としてやっていると信じていた行動は、同人活動だったのだ。
「デスクリムゾンの攻略本」を作っている人たちと同じように、
非常に相対的、市場的に意味のないことなのだ。
僕は、サイトでの、PCゲーム担当だ。
それならば、みんなが知りたいゲームを取り上げなくてはならない。
第一弾を、「エイジオブエンパイヤ2拡張パック」、
第二弾を「シムピープル拡張パック」にするべく、仕事をしている。
エイジオブは「体質」があわないために、非常に苦痛だ。
ゲームの紹介としてはとても楽しいのだが(大好きな世界観だし)、
シナリオをうまくいくようにプレイをして記事にしなくてはならない。
がんばらねばならない。

そして、そんなマイナー根性な僕に希望の光が差した。
マイクロソフトから出るクリムゾンスカイ。
アクションと、飛行機へのこだわりと、明るさ、
そしてなによりメジャー性を持ったゲームだ。

まあPCゲーム自体、かなりマイナーなジャンルではあるが、
そこでさらにマイナーに走ってはいけない。
それを自覚させてくれたソフトだった。