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ウルティマ・オフ会体験記+ウルティマというゲーム


  今回の雑記は、もー何も変哲もない日記になってしまう。
正直自分のパーソナルなだけの体験をべらべら吹聴するというのは、「読んでもらうものを創る」
という僕のページの趣旨とは確実に違うので、少し抵抗がある。
が、まあ、楽しかったんだから仕方がない。「墓場に持っていく」クラスの楽しさであったんですわ、ホント。
これは内輪の話なので、キャラクター名などは訳が分からない、と思うんですが、まだるっこしい
ので説明はしない。そのことをお断りしときます。
 それでも、ウルティマ・オンラインというゲームは、チャットとも違う、通信対戦のみのネット
ゲームとも違う特殊なゲームであることをまざまざと感じさせたオフ会であることは特筆しておきます。
奇妙で新しい体験であることは間違いがない。「何か新しい場所に居合わせている」と、僕は感じていましたよ。

 今回、オフ会を行うきっかけは、「Dが東京に来る」というジュナスの連絡からだったんだ。Dは香川の
人なんである。東京なんざ滅多に来ない。この機会に、是非オフ会をやろう。ということで話がぶち上がっ
たんだ。
 ウルティマはネットゲームだ。世界中の人が同一の世界で遊ぶことが可能である。愛知の人と、九州の人
が共に遊ぶことを可能にしてくれるゲームだ。
 僕は知人をつくるとべったりゲームで付き合っていくことが多い。ウルティマをはじめて5ヶ月、毎日の
ように付き合っている友人達が居る。顔を合わせて、時間を共有している友人が居る。現実の彼らに会って
みたい。そういう欲求が自分の中から出てきている。それは驚きだったんだ。
 ゲームを始めて一ヶ月頃、りんに「ライアンの顔見てみたいなぁ」って言われた時、僕は正直、「ネット
だけで付き合おうね」と心の中で思ってたんだ。実はね。
 ネットゲームで人と話すことは楽しい。「色々な人と同じ体験を共有している」というのは今までの
ゲームとは全く違う体験だった。ゲームの体験を人と話していると楽しい、対戦ゲームで隣の友人の喜怒
哀楽を受け止めてゲームをすることも楽しい。協力プレイで友人とコンピューターに立ち向かうのも楽しい。
 でもウルティマはそれだけじゃないんだ。多人数の人と同時につながっている。個人が勝手に生活している。
何かの偶然で付き合うようになって、遊び相手に指名して、どんどんつきあいを深くしていく、友人の友人と
知り合いになって、次の日にお互いの共通の友人を間に置かなくて冒険に行くときの興奮する気持ち、
突然他人の楽しみに付き合わされて不快な思いをする心の痛み。
 そうか、書いていて気がついたけど、野球などの集団のスポーツをする人の楽しさが分かってきたよう
な気がするよ。ゲームという僕にとっての劣等感のないフィールドにたつことによってようやく少し分かっ
たよ。好きなことを集団でやって思い出を作っていく。お互いの昔の思い出を語っていく、なるほどね、社
会人の道楽野球は、こういう側面もグーだね。
 話を戻そう。ウルティマって何?というものがまだひいた視点で楽しめなかった時期だと思う。りんに親
しげに言われた時、瞬間的にひいている自分を発見したんだ。
 それから4ヶ月がたった今、本当にUOの人達と顔を合わせる機会が来たんだ。
 実を言うと、僕はすでに、ジュナスとミサ、もっちの、ゆずきといった人と顔を合わした体験がある。
オフ会は3回目なんだ。でも今回は特別なんだよ。
 おーじろーとりんが来るというんだ。
 今回企画されたオフ会は13人という大人数が集まることになっていた。
 参加者は、D、ジュナス、ボバさん、くぬさん、もっちの、りん、おーじろー、シャオラン、リオーネ、
きのもん、ふむ、ミサ 、そして僕・ライアン。
 この中で僕が一番楽しみにしていたのは、おーじろーとりん、このふたりに会えることだった。
 5ヶ月前、僕は全くの初心者、そしてライアンは何も満足に出来ない未熟な戦士としてブリタニアに降り
立ち、毎日のように冒険を重ねていった。僕の傍らに一番長くいた友人、それがおーじろーとりんだった。
 非常に厳密に言えば、僕とおーじろーがりんを追いかけていたと言うことなんだけど、僕らは一緒に強く
なり、色々な話を、色々な体験をした。僕達は常ではなくても、「僕達」であることが多かったし、「パー
ティ」を組むことが多かった。今でも一緒に冒険していて一番安心の出来るパーティーだ。
 彼らと一緒に、本当に色々なことをした。あほな企画をやってみたり、能力を比べあって一喜一憂してみた
り、身の内話をしたりすることも多くなった。
「会ってみたい」と思うようになったんだよ。おーじろーや、りん、じゃなくって、そのむこうにいる、「彼ら
」に。
 しかし、ネットではすぐに会える彼らではあるけれども、現実には「距離」がある。おーじろーは静岡、りん
は栃木、何かチャンスがないと出会えない。付き合ってる彼女じゃあるまいし、艱難辛苦を乗り越えてなん
としてでも会いたい、とまではいかないよなぁ。
 Dが来るのに合わせて、彼らも東京に来る!
 この話は、僕をわくわくさせた。連日のように掲示板に情報を書き込んだよ。一週間、会えることが本当に
楽しみだったんだ。
 顔も見たことのない彼らに不思議と恐怖感はなかった。やばいオタクだったらどうしよう? なんて心配は
なかった。・・・向こうにはあったかもしれないが、トホホホ。
 四ヶ月という時間はそういう時間だったんだよ。冒険をし、会話をする。これだけ一緒に過ごした彼らには、
安心感があったんだ。
 もちろん他の人に会うこともすごく楽しみだった。家がりんの横にあった縁で、ギルドメンバーになり、
一緒にいろんなトコに行くようになった、ふむ。物静かな我らが先輩、D、おーじろーの友達のきのもん、
掲示板ではいろんな話をしている、くぬさんとボバさん。
 じゅなと、みさ、もっちのとの再会も楽しみだ。
 リオと、しゃおは現実での友達の延長だし、時々食事もしたりする。
 僕にとって、すでに見知った人が半数を占めるオフ会だ。なんの不安もなく、わくわくする感じばかりが持
ち上がっていく。前の日は、布団の上でにやにや笑いながら寝返り打ったりしてたよ、楽しみでさ。

当日!
 
 ついに当日となった。僕はりんを迎えに上野にでる約束をしていた。りんとの待ち合わせは、上野の動物園
出口で、午後2時。上野にぼくがついたのは、1時15分・・・・早すぎる、早すぎるよ、トホホホ。外は大
雨、ひたすら本読んで待ってました。
 そして二時! び○こをひきひき、りん登場! 
 りんはオフ会の前に、足首をひねってしまっていて相当苦しかったんだ。それでもオフ会のために、わざわ
ざ東京にでてきてくれたんだよ。足を引きずりながら歩いているりんは相当大変そうだった。それなのに僕は
時間の調整のために、「ピカソ展」に引っ張り回してしまいました。
 ピカソの絵、いわゆるピカソの「あの絵」って、女性のみなんだねー。なんだか思い入れよりも鬱屈が感じ
られる描き方だったよ。りんとそんなことを話しながら歩いてた。りんは大変そうだったけど、おもしろかったよん。
 最初あったばかりの時さ、りんは敬語で話しかけようとしてたんよ。「だめだー」とかおもったのよ。無理矢
理親しげに話しかけてため口に持っていったよ。ぼくは本来あんまりこういう強引さとかは嫌いなんだけど、
「らいあん」だったからなのかね、すんなりできたよ。意図的に演じている気安さで、現実のぼく自身が影響を受
けているのを自覚したよ。
 そしてしゃおと合流。面白いね。初対面なのに、ぽろぽろ会話がでてきて話せる。まぁ俺のせいでちょっとヘ
ビーな方向に話が行っちゃったけど、(注:ディープじゃない)りんもしゃおもそういう話にものってくれて、
僕は会話ってやつを満喫できたよ。
 その後、ジュナへのホワイトデーのお返しの天津甘栗と、Dへの貢ぎ物、「両さんの人形焼き」を買った。ダサ
ヘボを狙ったのは意図的だけど、スマートな買い物ができないのは僕の悲しい性なのである。とほほ、へぼへぼ。
 そんでみんなと合流なんだけどさ、やっぱり何回かはりんに「らいあん」と呼びかけられるわけよ。それ以上に
人目も憚らずに、「りん、りん」ってフィンガー5みたいに呼びかけていたのは俺の方だけど、いやきっついわ
「らいあん」って名前。この小太りの頭悪そーなおっさんの、どこをどうとったら「ライアン」なんでしょーか?
とっほっほ。まあでもライアンという名には思い入れもあるし、払わなければいけない代償だよね、うん。
 んで合流。いやあ、あの店地下にあるのね。もっちのが通りかかってくれなかったら、わからなかったかも。
んでも、Dと飲むのに、「メフィスト病院」の前とは、やるな、ミサ、ジュナ。分かったのは俺一人かもしんない
ネタだがにやにやしちゃったよ。
 魚料理中心というのは面白かったよ。豪華だった。食べまくってたのは俺くらいで、ほかの人たちは話し盛り
上がる盛り上がる。ここらへんはジュナのレポートの方が面白く描写してあるよね。
 やっぱ初対面の人の印象が強かったから、その人の印象だけ書き出すね。くぬさん、ぼばさんは、学生さんだ
ったよ。若かったなぁ、しみじみ。肌とか髪のつやとかが違うのよ。とほほほ。あんまはなせないのが心残り
だったよー。今度としさんとももっかいやろうね。一番印象強かったのはふむだな。松田勇作系というか、
「くたびれ系」の美青年。ちょっとはにかんだ硬い笑顔がいい感じだ。りんは野生児っぽいよね、わはははは。
朴訥なんだけど、芯が強そうな感じ。中西圭三っぽいな。Dは「とぼけたにーちゃん」という表現が似合う、
丸い目と長い首の印象があるね。何となく育ちが良いっぽい印象あるけど、どうなんだろ?
 今回一番意外だったのがおーじろー。いやあ、体育会系の元気のいい「お父さん」なんだよ。同い年なんだ
けどね、笑い声が豪快でよー。遅れてきたんだけど、俺を指さし開口一番「お、ライアンだ!」
うぐあぁ! 隣の一般人が一斉にこっち見たよー。
 んで二次会といえばきのもん、きのもんと言えば二次会だったね。はじけてるぅー。いやあ、マジで酔っぱらっ
てると知ったのは、グラスを割ってからだったよ。
 カラオケ終わって3次会、なんか暗いっぽい地下の飲み屋さんでてきとーにつまみ喰いながら、ちびちび飲んで、
やっぱりいっぱい話せたのはおもろかったね。ゲームの話なのは確かなんだよ。でもやっぱり違うんだよね。我が半生記。
お互いの身の上話なんだよ。ゲームの。あはははは。こんな体験したことあるかい? 
「俺のもともとの生まれはユーなんよ、そこで木こりばっかしててよー、あの時は200GPが大金でさー」だって。
 これがまた面白いんだよねー。なんだろね。人の生きてきた話ってのはどんなに平凡に見えてても面白くって、
ゲームであるのにそれと同じ体験ができるのって多くはないよね。
 初期のウィザードリーとかの体験記にはこれと近い物があるんだけど、今現在のキャラクターが深まる、そして
現在を共有してるってのはすごく奇妙な感覚だよ。
  いやあ、正直さ、ゲーム上の半生記とか「俺小説!」ってのを意気揚々と語る人たちいるんだけど(含む俺)
これがつまんねーのよ、いい加減で思いこみが激しい設定でまくり、「この世で最高」とかすぐ出て来ちゃうし。
 ところがウルティマは違うんだよね、厳然としたルールとかけてきた時間ってもんがあって、それでいて人の
ふれあいという偶然が物語を生み出すんだ。

 そうなんだ。3000人が入れるシャードが4つもある日本で、そこで出会った友達と、今距離を超えて
ここにいていろんな話をしている。ネットゲームは膨大な時間が必要になる、電話代だってかかる。そんなに
長くできるものじゃないとも思ってる。そんな僕の人生に訪れた奇跡みたいな遊びの時間に、こうした楽しい
人達と出会って、朝まで話すなんてなんて幸運なことなんだろう。
 午前七時半、徹夜明けのぼんやりした頭で、僕はそんなことをかみしめながら家路を歩いていたよ。
 もう少しだけこういう時間がもてる。なんて幸せなんだろうね、いまは。




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