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ちょっぴり専門的なMMORPGの話
自分の頭の固さに、改めて思い知らされた。
韓国産MMORPGについて、ちょっと文句をたれようかなと、
ぐちぐちと考えていたときのことだ。
今まで、2年間で7本の韓国産ゲームをやってきた。
現在、ちょっと困ったことになっている。
「ひたすら時間を消費しても成果が上がらない
超廃人仕様のリネージュ2から、
現在のゲームは脱却して、快適になっているよ。」
という趣旨で、既に2本書いてしまった。
さすがに3本目は、コレが通用しないだろう。
何でこんなに心配をしているかというと、
7本のゲームが全部、「ディアブロ型」だからなのだ。
はっきり言って、一個のシステムに乗っかったゲームで、
ガワを変えただけ、という評論が成り立ってしまうのである。
もちろんいろんなアプローチはしてるんだけど、
根幹の感触が同じなのよねぇ。
クリックして移動して、ひたすら敵を倒して強くなって……。
ゲームってもともとそうじゃないかといえばそうなんだろうけど、
システムが全部同じゲームが延々出続けている、そうだなあ、
格闘ゲームブームと同じ状況が韓国で起きている、という感じなのだ。
日本だと、格闘ブームでも、ドラクエがあったり、FFがあったりという
それ以外のの流れがあり、「主流」以外もしっかりしていたと思うのだけれど、
一つのシステム、一つの方法論で、他のものを作らない、
そのことに対する、制作者というか、韓国ゲーム業界に、
現在強い不満があるんである。
「リネージュ2」はそこから一応脱却を計り、
遊びの幅をひろげようとしてるけど、
モンスターレース(これなんかは既に「A3」で実装済み)だったり、
小手先の追加要素で、「プレイの幅が大幅に広がる!」というものじゃないし、
それでも多分今年はそれにみんな習ってしまうんだろうなあと。
一個の成功例に、何の疑問も持たずに乗っかっている
だけのような気がするんだよね。
ずっと、ずっと同じゲーム、薄い世界観だけをウリにして、
ゲームの大筋の変わらないゲーム。
MMORPGは確かに、ほとんど制作者が手を出さなくても通用するゲームだ。
基本的なルールさえあれば、
あとは数千人いるプレイヤー達が人間模様を描いてくれる。
それならば、確かに楽しいゲームだろう。
しかし、しかしホントにソレで良いのだろうか?
基本構造が全く変わらないまま、つぎつぎとゲームを作るだけで、
ホントにソレで成り立つのかなあ?
「全く新しいゲームを!」という主張で、何個か取材をしたんだけど、
ホントにかたくなにディアブロ型で、
多分それ以外を作る技術(プログラム技術)がないのかなあと。
韓国は、「オリジナル」ということで、
世界に始めて評価されたのが「リネージュ」で、まだ6.7年という
「若い」ゲーム業界だ。
日本もゲームと言えばシューティングしかなかった時代があったけれど、
あのころはプログラムも単純で、だからこそ様々なアイデアがどんどん生まれた。
しかし、「リネージュ」はそれなりに複雑なプログラムだ。
韓国ゲーム業界は、ここからスタートしているため、
他のプログラムが作れなかったんじゃないかと、僕はにらんでいる。
プログラムを最初から作るのは、膨大な技術と地力が必要だ。
しかもそれでは、現在主流を占めるディアブロ型のゲームに勝てる保証はない。
そのために、冒険はほとんど行なわれない。
テキストアドベンチャーゲームか育成ゲームのテンプレートを使い回す
日本のエロゲー業界に近いかもしれない。
シナリオや世界観に凝りまくる気骨のあるメーカーも多いとは思うけどさ。
何でこんな事を考えていたかと言えば、
例によって「スターウォーズ」だ。
このゲーム、UOのスタッフが作っているのである。
ゲームの感触は、EQとは全く違うものだ
。
人は、自分の価値観に従い、職人に、商人に、戦士に、パイロットになれる。
究極的には戦うことに目的が集約されてしまうEQやFF、
すべての韓国産MMORPGとは違うのである。
ここらへんは、次にレビューを書くときに触れてみたいけど。
全く違うベクトルのMMORPGが海外に生まれているのに
、
他の国に比べて桁違いにMMORPGのタイトルが多い韓国は何をしているのか?
ホントに彼らには斬新なものを作るのは無理なのか?
とか、ぐちぐち考えていたわけですよ。
でね、はっと気がついたの。
バスケのゲームや、スノボー等のアクションゲーム。
決して高い技術ではない、メガドライブ並のゲームだけど、
MMORPGではない手法で作られている作品達。
全部僕が韓国で取材したじゃん。
少ないけど、チャンと違うゲームを作っている人達はいる。
これは、海外取材をしないときが突かないくらい今はまだ小さな動きで、
それに触れていながら、気がつかない自分はいかに頭が固いのか。
韓国の制作姿勢はともかく、自分の経験を活かしていない部分に、
ちょっとブルーになったんだよね。
決めつけは良くない。
まあ、そんなことはいっても、他の流れとはいっても、
韓国のゲームショウで一番元気が良かったのは
「みんなのゴルフ」のコピーで、しかも韓国では4本目じゃないのかな。
まだ未成熟だからなんだろうけど、
ほんとに同じものばっかり作っちゃうんだけどね
。
そんな韓国のゲーム業界も、「ワールドオブウォークラフト(WoW)」という
“黒船”によって、揺れています。
厚みのある世界観、
とても高いプログラム技術によって作られた作品。アメリカ産です。
いままでのアメリカ産のMMORPGとは違い、
きちんとすべてのメッセージを韓国語に翻訳した作品だ。
なんと、いきなり韓国業界で、第3位の人気ですよ。
ユーザーが求めているものと、メーカーが出しているもの
新しい作品があらわれて始めて、変化を迎えようとしています。
これで、韓国メーカーも多様な作品を生みだして欲しいと思う。
ただ、1から新しいプログラムを構築するってのは、
ほんとにできるのか、ちょっとわからんですよ。
日本の業界も含めて、興味を持ってみていきたいですな。