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僕の心の傾向
夢を見た。
雪が降っている道を家に帰っている。
田舎の道だ。
畑の中の一本道。雪はもう深く降り積もっていて、
一面の銀世界。
空は暗い。夕暮れが近いのだ。
丘の上に位置するらしく、前には木々が影をつくり、
きついカーブの下り坂がある。
雪が積もるなんて滅多にない。
僕は浮かれて、スキーのように、雪の上を滑る。
アスファルトが露出するところではとまってしまうので、少し物足りない。
僕の前に、いつの間にか女の子が同じように滑っている。
小学生ぐらい、ピンクのジャンパーにジーンズ、毛糸の帽子。
危なっかしい足取り。
僕は彼女を追い抜いて、あわてさせないように注意して、滑る。
坂の下りがきつくなる。滑るスピードが上がる。
危ないな、と思う。
女の子が、小さく悲鳴を上げる。
止まれないのだ。
この先には大きな道路がある。このままのスピードだと、
車のたくさん通る道に飛び出してしまう。
僕はあわてて、女の子を後ろから押さえる。
女の子はしりもちを付いた。
突然大きな声で女の子が泣き出す。
安堵と、そしてどうにも思い通りにならなかった苛立ち、
すべてを僕に叩き付ける、人に聞かせるための泣き声。
その声を聞いて、彼女の親が走ってくる。
女の子は僕の腕から逃れようと嫌々をしながら、ますます声を張り上げる。
僕は、必死に言い訳を考えながら、女の子の親が走ってくる足音を聞く。
裁かれる恐怖におびえながら。
と、いうところで目が覚めた。僕はとてもいやな気分だった。
夢の中でさえ、なんと不器用な人間なんだろうか。
人と巧く関係を結ぶことができないのを強調するようなエピソードだ。
うまく立ち回れない自分、
恐怖感を与える前に女の子に対して何かをしなかった自分、
そして「何てことはない」と笑い飛ばせない自分。
どうしていつもこうなんだろう。
夢の中の、ただのシュミレーションなのに、僕は不機嫌になり、
どうすればいいかを考える。
世の中にはうまい人間がいる。強い人間がいる。
女の子を巧く扱うことも、両親に対して何の負い目もなく対面できることも、
もちろん女の子の苛立ちに共感することをしない人間もいるだろう。
そのすべてができない。
思えばこんな経験ばっかりしてるような気がしてくる。
なんとまぁ、端的に僕という人間の心をうつしだした話だろう。
と、思ったところで不意に僕の心に光が射した。
これ、雑文にしよう。小説にだって転用できるエピソードだ。
布団から起き出し、いきなりノートにメモを始めた。
朝5時。二度寝で起きるのが辛くて非常な苦労をするちょっと前のことであった。