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動物園に行こう!


ブリタニアには、動物園がある。
なかなか粋な計らいである。やるなオリジン(UOを出している会社)。
ご存じのない方には想像しにくいだろう。
ブリタニアにはさまざまな動物がいる。それを檻の中に納めているのである。
UOは歩いている生き物がそのまま向かってきて戦闘になるシステムを使っている、
アクションRPGでは普通に使われている手法だ。
これが生きている。

檻の中にいる生き物は、まんま「生きている」のだ。フィールド上の「野生」と全く変わらない。
おまけに檻の中はフィールドを切り取って張り付けてあるのだ。
再現度抜群である。
檻の中の北極には、アザラシと白熊が戯れ、砂漠にはサソリがのし歩く、
草原には見慣れた兎や山羊などがちょこんといる。
そんなにこったシステムではないし、他のゲームでも見た記憶があるような気がする。
でも、こいつがあるのはすごいことなんだ。
それは何か?

ネットワークだからなのである。
友人を連れてくることが可能なのだ。

初心者の頃、僕は「ジュナス」と「D」を「リオーネ」に紹介してもらった。
UO初体験。ブリタニアでの知人は、現実の友人であるリオーネだけだった。
道を行く人は、間違いなく「人間」なのだ。
「Hi!」
「おひさー」
僕の周りで、普通に「会話」をしている人たち。
いきなり話しかけて友人になるのが難しいのは現実と一緒だ。
僕はリオーネの後ろをついて回ることしかできなかった。
そして銀行前で、ジュナスとDを紹介して貰った。
おずおずと会話をした。敬語でね。
なんと言っても先住者達なのだ。第一印象が大切だ。
緊張していた。
「んじゃ私は寝るから、ライアンよろしくね」
リオーネの言葉を聞いたときは正直驚いたよ。
「ライアンどこ行きたい?」
オレも寝よう、という言葉を打っていた僕はあわててデリートを押した。
断るタイミングは既に過ぎていた。
「初心者が、とても見れないような強いモンスター見たいです」
この人達は会話からいくとベテランぽいし、少し甘えてしまえ、と思ったんだ。
二人は相談を始めた。
「動物園にしよう!」
「ライアン、行ったことあるかい?」
もちろん、あるわけがない。
「なんですか、それ?」
「モンスター見られるよ、しかも安全」
「そんなとこ、あるんですか? すげえなー」
「いってみようか」
「ぜひ!」

それから先は驚きだったよ。馬に乗っていく二人を必死に徒歩で追いかけて、
ムーンゲートと呼ばれる、ワープポイントをくぐった。出現位置は法則があるのだけれど、
「ここ違うや、もっかい入るよ」とくぐりまくる。
この一つとっても経験の差の大きさを感じたね。
そして到着したんだ。
感動した。ブリタニアの懐の深さと、遊び心に、感激したんだ。
「ライアン、見てみ」
「うおおおおおおおおおおおおおおおお!」
檻の向こうで、ハーピーと双頭の巨人エティンが格闘しているぅ!
大怪獣大決戦!
こんな化け物見たこともなければ、怪物同士が戦いをするなんて、知らなかった。
この日、僕は何度「おおおおおおおお!」という驚きのせりふを打ったか、分からないくらい、打ったよ。
そして思ったんだ。
「いつかきっと、オレもここに初心者を連れて来てみたいなぁ」


ゲームを始めて二ヶ月。きのう、初心者ではないけど、友人の「シャオラン」をついに連れていったよ。
感無量なんだよねぇ。今ではもう見慣れた生き物たちが、檻の中にいる。
シャオが喜んでくれる感触が、嬉しい。
ふと見ると、馬に乗った人が、初心者を連れてこっちに歩いてくる。
初心者の頭の上に、「すごい!」という文字がひっきりなしに出ている。
昨日は、今までのことを思い出したりしたよ。

僕はDやジュナスと同じTIBのメンバーになった。
ジュナともずいぶん親しくなった。出会い頭にエナジーボルトぶち込まれるくらい(一部誇張)仲良しだ。
Dにあったときは、初心者を連れていて、
「これから熊やりにいくんですよ!」
「がんばってね」
なんて会話をしたりもできる。
時間と、人のつながりのある世界、ウルティマオンライン。

やっぱり面白いね。このゲームは。