2005.12.26 高円寺 稲生座 報告者 K.T.
出演 渡辺勝(vo.g.) 竹岡隆(Eb.)
稲生座のライヴに行くのは一種の賭けみたいなところがあって、客席に喫煙者が少ないときには受忍の限度内ということになるのだが、多数の喫煙者が頻繁にタバコを吸うような状態だとたいへんな苦痛がともなう。今回は暮れも押し迫った12月26日だし、興業的にはキビシイあたりであるからまず大丈夫だと油断していた。ところが、一歩稲生座の店内に足を入れると、霞たなびく春の野辺、咲き乱れるぞ菜の花畑というありさま、喫煙者の一団がたむろしている上の客席には上がることができず、平土間で身を低くして肺をかばう姿勢を取らざるをえなかった。ライヴが終わって帰宅してから、肺を取り出してぬるま湯で洗ってみたものの、どす黒いままでヤニくささは取れないのである。
その件はまあいいとして、渡辺勝は例のごとく稲生座のピアノを弾くことはなく、すべての曲でガットギターを弾いて歌った。この日の演奏曲名は以下のとおりである。
1.冬の朝
2.鏡
3.立ち止まった夏
4.路傍
5.土埃
6.いつも一緒に
7.ベアトリ姐ちゃん
8.君をウーと呼ぶ
9.僕の倖せ
10.道草
11.哲人
12.アムステルダム
13.闇に浮かんだ50の音
14.あなたの船
15.東京
16.51番目の星の歌
17.truth
18.白粉
19.斜岩病院(エンディングテーマ)
■アンコール■
20.夜は静か通り静か
2曲目の“鏡”は新曲で、“昨日作った”ということであった。
3曲目の“立ち止まった夏”はコードストローク奏法によるアップテンポの演奏であった。また“闇に浮かんだ50の音”もコードストロークで力強くうたわれた。
リコーダーは今回も登場した。まず5曲目の“土埃”のイントロとエンディングで使用された。リコーダーを吹きながらギターを弾くのかと思ってはらはらしたが、リコーダーを吹くときはギターは弾かなかった。リコーダーの形状からすれば、ボトルネックのバーのように使用することも可能であろうが、演奏する際の姿勢を考えるとたいへんそうである。へたに体をひねると整骨院送りになりかねない。整骨院の先生がヘンな奏法マニアだったらもっとたいへんだ。リコーダーとベースの相性は良好で、サックスとのからみよりも安心して聞くことができる。“土埃”のエンディングに続いて“いつも一緒に”でもリコーダーは使用された。しかし“白粉”はリコーダーなしヴァージョンであった。
“ベアトリ姐ちゃん”は竹岡隆のベースに乗るといよいよハジケるようだ。異議ナシッ、と叫びたくなる。
今回のライヴでは正調マサル節の“あなたの船”を聞くことができてたいへんうれしかった。昨年12月にこの稲生座で斉藤哲夫のうたう“あなたの船”を聞いてクラクラしたことを思い出したりもした。
●附記●
終演後、稲生座の柴田エミさんから赤いリンゴをいただいた。多謝。おいしかったです。
今年はライヴに行っておみやげをもらうことが多かった。なってるハウスのリマ店長からは日本銀行券を模したお菓子をいただいたし、ON AIR の田代ともやさんからはCDを2枚もいただいてしまった。ありがたいことである。