2005.12.21  合羽橋 なってるハウス   報告者 K.T.

出演  渡辺勝(vo.g.pf.)  川下直広(Ts.)  

 浅草寺の羽子板市も終わり、12月も下旬に入った。あとは正月を待つばかりの合羽橋ではあるが、月例ライヴのほうは平常どおりの営業である。通人を気取るなら、ハレのライヴよりもかくのごときケのライヴに足を運ぶにしくはない。また個人的事情を述べれば、川下直広のテナーの音で耳を洗いたいと切望していた。諸般の事情でそういうことになってしまったので、歳晩の宵の町をトボトボと歩いてなってるハウスにおもむいたのであった。
 当夜の演奏曲名は、以下のとおりである。曲名のあとには例のごとく渡辺勝の担当楽器を記しておいた。pf.はグランドピアノ、g.はガットギターである。ピアノの上にのっかっていたアルト・リコーダーとソプラノ・リコーダー(いずれも渡辺勝が使用した)については後述することにする。

1.闇に浮かんだ50の音 pf.
2.鉄橋 pf.
3.OLD FRIEND pf.
4.土埃 pf.
5.路傍 g.
6.いつも一緒に g.
7.ベアトリ姐ちゃん g.
8.冬の朝 pf.
9.Long Long Ago pf.
10.ぐんじょうの空 pf.
11.星が生まれたよ g.
12.哲人 g.
13.アムステルダム g.
14.東京 pf.
15.truth pf.
16.白粉(インストゥルメンタル)
17.八月 pf.
18.君をウーと呼ぶ g.
19.51番目の星の歌 g.
20.白粉 pf.

 今回のライヴにおける渡辺勝のピアノは、和音をていねいに刻むという奏法で、テンポはおさえ気味であった。そうなるとヴォーカルもじっくりと聞かせてくれることになり、ほぼ2時間にも及ぶライヴとなった。こういうピアノでうたわれた“Long Long Ago”や“truth”といったところは、だいぶ印象がちがって聞こえた。
 リコーダーが最初に使われたのは、4曲目の“土埃”のイントロであった。渡辺勝は左手に持ったリコーダーをぴいぴいと吹きつつ、右手でピアノを弾くという大胆な演奏をはじめたのだ。昔日の野沢享司のように左手でトイピアノ右手でオープンチューニングのギターを弾きまくり、加えて首にかけたハーモニカホルダーのハーモニカを吹きまくるといった演奏形態だったりするとかなりにぎやかなことになるのだが、このリコーダーとピアノの同時演奏だと音数が限られていて、ひとつひとつの音に深遠な哲理がこめられているのだとおおげさなことをいっても信用されてしまいかねないようなところがあった。この“土埃”のエンディングでも、リコーダーが使用された。その後、6曲目の“いつも一緒に”のイントロ部分でもリコーダーが使用された。また17曲目の“白粉”は歌詞ナシのインストゥルメンタルで、リコーダーのみで演奏された。そしてラストの“白粉”を歌い終えてから、またリコーダーによる“白粉”の演奏があった。
 なってるハウスにおける“ベアトリ姐ちゃん”は、ギターヴァージョンとピアノヴァージョンがあるが、ギターヴァージョンのほうがよりハジケるようだ。今回はそのギターヴァージョンであった。
 “51番目の星の歌”は、先日おこなわれた劇団40CARATの12月公演でうたわれたものだそうである。
 リコーダーとサックスのからみということになると、いろいろとむずかしい問題があるようにも思われるが、今後どのように展開するのか大いに楽しみである。



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