2005.09.08  合羽橋 なってるハウス   報告者 K.T.

出演  渡辺勝(vo.pf.)

 台風が去り庭には二羽ニワトリがいた。かわいそうにハリケーン“カトリーナ”にさらわれてニューオーリンズから飛ばされてきたのか。ニホンのケーサツは“カトリーナに巻き込まれて”と発表するかもしれないが、“巻き込まれて”はケーサツの方言だからどうかゆるしてやってほしい。いずれにせよ南部訛りの英語を話すニワトリには用はない。刃物のようなモノで首に切りつけて、サムゲタンを作って二羽いちどきに食ったら汗がドバドバッと流れたからまた大洪水だ。それで夕涼みがてら鶯谷からテクテク歩いて合羽橋に行ったのだった。
 当夜の演奏曲名は、以下のとおりである。曲名のあとには渡辺勝の担当楽器を記すのが通例だが、今回は全曲ピアノを使用したため、記載は省略する。

1.“とどかずの町で”より
2.立ち止まった夏
3.鉄橋
4.あなたの船
5.逢えてよかった
6.ヤナギノウタガ聞コエル
7.夏のスケッチブック
8.チャーリーのバー
9.帰り道
10.君をウーと呼ぶ
11.僕の倖せ
12.アムステルダム
13.東京
14.道草
15.白粉
16.逢いみての
17.さくらんぼの実る頃
18.八月
19.truth
20.夏の終りのラプソディー
21.亡命

 1曲目は、映画“とどかずの町で”で使われた曲だそうだ。ピアノのみでうたは入らない。
 2曲目の“立ち止まった夏”ではじめて渡辺勝の声がスピーカーから出た。それがたいへんな音量で、想定していたレベルをはるかに越えていたのに加えて、スピーカーは2本ともステージの奥のほうに置いてあるのだ。客席がすべてステージのほうを向いているのならそれでもいいが、今回もまた客席はピアノのほうを向いていたので、ピアノの音は正面から聞こえ、うたは左側から大音量で迫ってくる。これはキモチ悪いなあと思ったが、そのままの音量で最後まで行ってしまった。今回はピアノのタッチが繊細であっただけに、いささか残念であった。
 “道草”から“さくらんぼの実る頃”までの4曲はいずれも短い曲で、小品集のようなおもむきであった。これだけ短い曲が続くのはあまり例がないのではないか。
 このところ“truth”の次に演奏される曲がまったく読めず、何がでてくるか毎回楽しみにしているのだが、今回演奏されたのは“夏の終りのラプソディー”であった。台風の翌日ということもあり、ちょっと季節につきすぎているのではないかというところもあったが、軽いタッチの演奏で、いい雰囲気だった。
 ラストに“亡命”をもってくるのは、なってるハウスではこのところの定番のようだ。聴覚や会場内の音のバランスに問題がなければ、解放感に満たされてキモチよく終わることができただろうと思う。



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