2005.03.24 合羽橋 なってるハウス 報告者 K.T.
出演 渡辺勝(vo.g.pf.) 竹岡隆(Eb.)
Guest 有馬忍(vo.g.)
高円寺の稲生座ではおなじみの渡辺勝と竹岡隆のデュオが、再びなってるハウスに登場するということで、万難を排して、といいたいところだが、ヒマなもんで排するほどの難もなく、東武電車とJRを乗り継いで鶯谷でおりてその後は徒歩で歩いて合羽橋に至る。この日の演奏曲名は以下のとおりである。なお、渡辺勝は“ベアトリ姐ちゃん”と“君をウーと呼ぶ”でギターを弾き、それ以外の曲ではピアノを弾いた。竹岡隆はすべての曲でエレクトリック・フレットレス・ベースを弾いた。
1.立ち止まった夏
2.夢
3.白粉
4.哲人
5.夏の終りのラプソディー
6.ぐんじょうの空
7.夕暮れ ふたりが 残る道
8.鉄橋
9.旅する亀
10.Long Long Ago
11.風に舞う
12.ベアトリ姐ちゃん
13.君をウーと呼ぶ
14.東京
15.夏のスケッチブック
16.八月
17.truth
※5曲目の“夏の終りのラプソディー”のあと、渡辺勝(pf.)と竹岡隆(Eb.)の伴奏つきで、ゲストの有馬忍(vo.g.)が6曲歌った。
昨年9月にこの渡辺勝と竹岡隆のデュオがなってるハウスに初登場したときには、渡辺勝はすべての曲でピアノを演奏したので、ピアノの低いほうの音にベースの音がかき消されてしまったような印象を受けた。そして今回もまたベース苦戦のライヴであったように思う。渡辺勝がギターを弾いた2曲でも、稲生座で演奏するときよりもベースの音が相対的に小さくて、このデュオのすばらしさが最大限に発揮されたとはいいがたい。あるいは、渡辺勝がソロでうたっている横で、竹岡隆がベースを弾いている、というふうに分けて考えればいいのだろうか。
“哲人”という曲は、ライヴで聞くのははじめてだった。ミミズののたくったような自分のメモを判読すると“カシブチ調ワルツ”と書いてある。聞いていてそんな感じがしたのであろう。哲人と哲郎では一字しか違っていないので、なんらかの関連があるはずだ、という判断は単なるこじつけにすぎない。
有馬忍のうたをはさんで、再開後の1曲目に持ってきたのが“ぐんじょうの空”であった。LP盤“Hello”の中でもこの曲はゆったりとしたテンポでうたわれていたが、今回はそれよりもさらに時間をかけてゆっくりとうたわれたように思う。まちをのがれ、歩き続けて五十と余年、超俗の歌唱は深みを増して、今やおそるべき説得力を獲得した。
“Long Long Ago”のピアノ・ヴァージョンは、これまで聞いたことがなかった。ギターのときよりも自在にうたっているように思えた。コブシもしっかりまわっていた。
“ベアトリ姐ちゃん”は、だいぶこなれてきた感じで、2月の稲生座のときの底抜けのおバカさはやや薄れたようだ。うたいかたがちょっとエノケンっぽくなったのは、合羽橋にほど近い浅草六区の地霊の影響であろう。関係者一同そろってエノケン稲荷にお詣りする必要があるのかもしれない。