2005.03.13 早稲田 JERRY JEFF 報告者 K.T.
出演 クラヴーカ(Opening Act) 渡辺勝
とちぎポップ資料館に残された記録を調べてみると、2004年は渡辺勝のソロを聞いていないことが判明した。記録をさかのぼれば、2003年9月の新所沢ブロックヘッズが最後ということになる。こういう態度ではイカンと思い、Opening
Act は覚悟の上で JERRY JEFF におもむくことにした。
JERRY JEFF には新庚申塚から都電で行く。早稲田行きの電車に乗れば無事に
JERRY JEFF に行けるが、三ノ輪橋行きの電車に乗ると、終点まで行って鷲神社経由でなってるハウスに突入してしまうので注意が必要である。JERRY
JEFF のあるほうの終点の早稲田の手前には鬼子母神前という停留所がある。これは雑司ヶ谷の鬼子母神だ。一方の終点三ノ輪橋からしばらく歩くと、朝顔市でおなじみの入谷の鬼子母神がある。都電荒川線は鬼子母神マニアにとってはたまらない路線である。
当夜の演奏曲名は、以下のとおりである。曲名のあとには渡辺勝の担当楽器を記しておいた。key.は KORG の N5 というシンセサイザー、g.はガットギターである。
1.アムステルダム g.
2.赤い自転車 g.
3.春三月 key.
4.夢 key.
5.東京 key.
6.さくらんぼの実る頃 g.
7.OLD FRIEND g.
8.土埃 g.
9.鉄橋 g.
10.旅する亀 g.
11.Long Long Ago g.
12.風に舞う g.
13.ベアトリ姐ちゃん g.
14.君をウーと呼ぶ g.
15.白粉 key.
16.道草 key.
17.八月 key.
18.truth key.
●アンコール●
19.あなたの船 key.
20.夜は静か通り静か key.
今回のライヴは譜面台の位置と照明の角度に問題があり、歌詞を記した紙を入れたクリアーファイルが光って歌詞が見えにくいという悪条件の下で挙行された。ある程度大きな店なら、店側のスタッフが駆けつけてなんとかしてくれると思うが、JERRY
JEFF でそこまで望んではいけない。そういう事情で、渡辺勝はかなり窮屈そうな姿勢でギターを弾き、鍵盤を叩いていたように思う。
3月に入ったので“春三月”をうたう。ありふれたことかもしれないが、こういうかたちで季節感を出してくれるとうれしい。もとより“春三月”はたいへん好きな曲でもある。
“Long Long Ago”は、先月の稲生座では最初の“そう、ロングアゴー”の直前にジャカジャ〜ンと強烈なストロークが入ってすこぶる快味をおぼえたものだが、今回はジャンジャンジャンジャンジャン、としだいにフェイドインするような感じでストロークを入れていた。なお、この曲のエンディングに、表の早稲田通りを走る救急車のサイレンが重なって、ドップラー効果も美しく余情を増していたのは
JERRY JEFF ならではの味わいである。
“ベアトリ姐ちゃん”は先月稲生座で聞いてえらく気に入ってしまったので、また聞けてうれしかった。しかしよくよく聞いてみると歌詞はいかがわしくもヘンである。“うたは
トチチリチン トチチリチン チン ツ”といわれてもとまどうばかりだ。ふつうタ行の擬声語は三味線の音をあらわすと学校で習っているが、これもそうなのか。そのあとの、“うたは
ぺろぺろぺ うたは ぺろぺろぺ さあ 早く起きろよ〜い”に至ってはもうお手上げである。
アンコールに“あなたの船”をもってくるのは新機軸か。最後は例のごとく“夜は静か通り静か”で幕を閉じる。
★おまけ★
渡辺勝はこのライヴの翌日から東京名古屋京都とまわる off note の大所帯ツアーに参加した。そのツアーの3日目、3月16日の京都は磔磔におけるライヴをのぞいてみたので、ここにくっつけて書いておくことにする。この日の出演者は、当日会場で配布していた
off note のチラシによれば、下記のとおりである。
■出演:
鈴木翁二 うたとギター
オクノ修 うたとギター
with
渡辺 勝 ピアノとうた
関島岳郎 チューバとリコーダー、トランペットなど
中尾勘二 ドラムとサックス、クラリネットなど
船戸博史 コントラバス
honzi ヴァイオリンとアコーディオン
城間和広 ドラムス
橋本佳子 ドラムス
ウエッコ ギター
山田吉育 ブルースハープ
※薄花葉っぱ、小暮はな、水晶による新生ユニット[ウタタネ]も出演して数曲やります。
ただし、honzi は出演しなかったようだし、渡辺勝も“ピアノとうた”とあるからには何曲かはうたうのかと思っていたら1曲もうたわなかった。東京で1回のライヴで20曲も聞いているニンゲンがこんなことで文句をいう筋合いはないと思うが、自分が京都在住でめったに渡辺勝のうたを聞く機会がなくて、このチラシを見て渡辺勝のうたを楽しみにして磔磔におもむいていたとしたら、かなり立腹したのではないだろうか。そんなわけで、渡辺勝の担当は、チラシには“ピアノとうた”と書いてあったが、実際は、ピアノとエレクトリック・ギター、であった。
ライヴは、まずオクノ修のうたからはじまった。たんたんとフツーっぽい歌詞をうたっているようで、インパクトはあまり感じられないが、チラチラと凄みを見せるところがある。45分ほどの演奏であった。
次にウタタネが30分ほど。ソロやバンドで活動している若い女性を集めて組んだユニットだということである。売り方からすれば、逆モーニング娘。といったところかね〜、と思っていたが、歌声を聞いてみると、初代ネーネーズのような印象である。off
note の神谷社長が本卦還りしたというところか。メンバーはみな色とりどりのワンピースを着用して、はなやかである。しかしその姿で楽器を抱えているさまは、かしまし娘のようでもある。“少年”といううたでヴォーカルを担当した小暮はながよかった。CSN&Yにおけるニール・ヤングのようなところがあると思う。
最後に鈴木翁二が登場する。この人はすごかった。たたずまいが尋常ではない。好き勝手にうたっているとしか思えないし、世間的な価値基準に従えばうたがうまいとも思えないのだが、気がついてみると、しっかりと聞き入っていた。この世界にどぶどぶにひたっていると実にキモチいいのだ。もうちょっとサイケな音で、2時間ほどぶっつづけに聞いてみたいものである。1時間弱で終わってしまったのが残念であった。でも肉体的にはこれくらいが限界だったかもしれない。
そんなわけで、渡辺勝のうたが聞けなかったのは残念であるが、ライヴにはけっこう満足してしまったのであった。