2005.02.17 高円寺 稲生座 報告者 K.T.
出演 渡辺勝(vo.g.) 竹岡隆(Eb.)
2月15日のなってるハウスにおける全員男ライヴの翌々日に開催されたこの渡辺勝と竹岡隆のデュオの公演には数多くの女性がつめかけ、とちぎポップ資料館の館員がひそかに調査したところによれば、入場者の半数近くは女性であったようだ。これはたいへんけっこうなことである、とここには書いておこう。
渡辺勝は例のごとく稲生座のピアノを弾くことはなく、すべての曲でガットギターを弾いて歌った。この日の演奏曲名は以下のとおりである。
1.赤い自転車
2.チャーリーのバー
3.あなたの船
4.土埃
5.さくらんぼの実る頃
6.道草
7.Long Long Ago
8.鉄橋
9.アムステルダム
10.東京
11.ベアトリ姐ちゃん
12.君をウーと呼ぶ
13.僕の倖せ
14.白粉
15.八月
16.路傍
17.夏のスケッチブック
18.truth
19.いつも一緒に
●アンコール●
20.夜は静か通り静か
竹岡隆のあやつるフレットレスベースの音は、キモチよく伸びて聞く者に解放感を与える。ベースの弦の微妙な音のゆれと渡辺勝のコブシが響き合い絡み合うときの喜びは何物にも代え難い。“八月”の終盤では、渡辺勝はギターを弾く手を止めて、ベースだけをバックにうたった。緊張感をはらんだその絶妙の呼吸は、みごととしかいいようがない。
今回のライヴで特記すべき曲はといえば、エノケンの名曲“ベアトリ姐ちゃん”であろう。エノケンの歌唱にはどんな曲でもある種の暗さがつきまとうように思えるのだが、渡辺勝の“ベアトリ姐ちゃん”は、元気いっぱい底抜けに明るいうたいぶりで、朗朗たる歌唱が最後まで続いた。これにはおどろいた。
考えてみれば渡辺勝のレパートリーにはエノケンものが何曲かある。“逢いみての”“別れ来る”“アイ・ラブ・ユー”といったあたりがすぐに思い出されるが、まだほかにもあるのかもしれない。
そんなわけで、帰りの電車の中で、“渡辺勝エノケンをうたう”なんていうタイトルのCDができないものかという妄想にとりつかれて、選曲をはじめてしまった。上記の曲のほかに、“洒落男”“恋はやさし野辺の花よ”“ダイナ”“砂漠に陽が落ちて”などが入り、さらには“ラブ双紙”“法界坊”“無茶坊弁慶”といったあたりのヘンな曲を加える。ボーナストラックにはCM曲の“渡辺のジュースの素”を採用する。これだけ入れて30分前後であろうか。この企画、off
note の神谷社長をおだてて、ぜひとも実現させたいものである。