2004.02.26 高円寺 稲生座 報告者 K.T.
出演 渡辺勝(vo.g.) 竹岡隆(Eb.)
2月21日の野澤享司稲生座ライヴを観戦して、ライヴ観戦意欲が少し戻ってきたように思えた。それでまた稲生座におもむくことにした。昼間はやたらと気温が上がって、2月とは思えないほどの暖かさであったが、夕方になって日が暮れて、戸外に出るとゾクゾクっと寒い。環七のバス停でふるえているところに関東バスのバスがきたので、つい乗ってしまう。この関東バスのバスは元KKKバスの国際興業株式会社のバスと同じ路線を走り、高円寺駅北口まで運んでくれるバスなのだから、元KKKバスの国際興業株式会社のバスではないからいやだなどとわがままをいって乗車拒否をしてはいけないのである。
稲生座は5日前とほとんど変わっていなかった。あたりまえだ。ただし、アップライトピアノの上は例のごとく売り物のCD置き場と化していた。CDを古い順に並べて、DISCOGRAPHY
をリアルに陳列展示しているのだとも考えられる。渡辺勝はもっぱらガットギターを弾いて歌う。竹岡隆は練達の御者のごとくフレットレスのエレクトリック・ベースをあやつり、うねりを加える。この日の演奏曲名は以下のとおりである。
1.闇に浮かんだ50の音
2.再会
3.東京
4.アムステルダム
5.ぐんじょうの空
6.土埃
7.OLD FRIEND
8.僕の家
9.僕の倖せ
〜中入り〜
10.赤い自転車
11.白粉
12.君をウーと呼ぶ
13.道草
14.帰り道
15.八月
16.花嫁御寮
17.truth
18.斜岩病院(エンディングテーマ)
19.亡命
■アンコール■
20.しゃれこうべと大砲
21.夜は静か通り静か
稲生座では“FADELES S”の収録曲が演奏される率が高いように思う。今回も“再会”と“赤い自転車”の2曲が演奏された。“FADELES
S”びいきの自分としては、うれしいことであった。
“僕の家”と“僕の倖せ”の堂々たる歌いぶりには圧倒される。昔つくった歌をなつかしんで歌っているという印象はまったくない。リアルタイムの“僕の家”であり、“僕の倖せ”である。
“亡命”は歌格が上がった? のか、本篇のラストに演奏された。こういう曲で客席に余情を残したままさっと切り上げるという終わりかたはずいぶん洒落ている、と感じ入った。もっともこれで終われないのが稲生座におけるならいではあるけれども。