2003.07.21  合羽橋 なってるハウス   報告者 K.T.

出演  渡辺勝(vo.g.pf.)  川下直広(Ts.)

Guest  有馬忍(vo.g.)   

 今年は7月21日(月)が“海の日”だそうである。それで世間はお休みモードであった。山手線の電車がなかなか来ないと思っていたら休日ダイヤで運行されていたのだった。ややこしいことではないか。そういえば、4月29日の“みどりの日”が近い将来“昭和の日”に改称されることはもはや確実らしいが、その“昭和の日”も、4月の第4月曜日ということにしたら、連休が増えてますますおめでたいことであろう。いや、それよりも11月3日の“文化の日”を“明治の日”に改称するほうが先か。しかし、旧天皇誕生日に由来する祝日の日付は動かせないものなのかも知れないな。“建国記念の日”に至ってはなおさらであろう。こうなったらいっそのこと“紀元節”“昭和節”“明治節”なんていう復古調の呼称を採用し、各メディアを総動員してその祝日の意義の周知徹底を図っていただきたいものである。
 さて、その“海の日”の演奏曲名は、以下のとおりである。曲名のあとに、渡辺勝の担当楽器を記しておいた。pf.はグランドピアノ、g.はガットギターである。川下直広は、アンコールの“花嫁御寮”を除くすべての曲でTs.を吹いた。

1.立ち止まった夏 pf.
2.夢 pf.
3.土埃 pf.
4.チャーリーのバー g.
5.砂とシャベルの日々 g.
6.君をウーと呼ぶ g.
7.春三月 pf.
8.白粉 pf.
9.道草 pf.
10.あなたの船 pf.
11.八月 pf.
12.truth pf.
13.別れ来る pf.
14.友よ(川下直広ソロ)
15.夜は静か通り静か pf.
 ◆アンコール◆
16.花嫁御寮 pf.

 6曲目の“君をウーと呼ぶ”のあとに、ゲストの有馬忍(女性)が5曲歌った。

 今回は川下直広のサックスによるツッコミ(渡辺勝がボケていたというわけではない)が冴えわたって、スリリングな演奏が展開された。特に“チャーリーのバー”においてこれでもかこれでもかと繰り出されるフレーズの哀切さには、鬼神も慟哭したであろう。
 “あなたの船”は、しばらくライヴでは聞いていなかったように思う。夏の終りごろのべたべたとした潮風が肌に感じられるような、深い歌声に陶然としてしまった。夏季限定というわけではないと思うが、たしかに夏向きの曲という感じはする。しかし、もっと頻繁にライヴで歌ってほしい曲である。
 “友よ”は、川下直広のサックスのみで演奏された。ある年代の人にはおなじみの岡林信康の曲である。最初は息に余裕が感じられたが、だんだん苦しげな息づかいになり、最後のほうに至っては息も絶え絶え、首から上は紅潮し、音もいきなり高音域に突入するというすさまじいパフォーマンスを見せてくれた。岡林信康が“夜明けは近い”と歌ってから30年あまりが経過した今日、川下直広のこの演奏を聞いて、改めて夜明けへの道のりの遠さを思わずにはいられなかった。 


back