2003.05.21  合羽橋 なってるハウス   報告者 K.T.

出演  渡辺勝(vo.g.pf.)

 なってるハウスにおける渡辺勝のソロライヴは、昨年11月の三の酉の日以来ほぼ半年ぶりということになる。渡辺勝のピアノ弾き語りにどっぷりつかって悶絶するシアワセ、これはほかの店ではなかなか味わえるものではないのだ。ありがとう、なってるハウスさま、と謝辞を述べるとともに、なってるハウスのさらなる繁栄を祈念せずにはいられない。というわけで、右足で阪神甲子園球場の阪神×広島戦を蹴っとばし、左足でこまばエミナースのデヴィッド・リンドレーを蹴っとばし、暮れがたき初夏の日の暮れたばかりの言問通り、なってるハウスへ急ぎ行く。
 今回の演奏曲名は、以下のとおりである。曲名のあとに、例のごとく渡辺勝の用いた楽器を記しておいた。pf.はグランドピアノ、g.はガットギターである。

1.立ち止まった夏 pf.
2.夢 pf.
3.土埃 pf.
4.OLD FRIEND g.
5.パルチザン g.
6.君をウーと呼ぶ g.
7.道草 pf.
8.帰り道 pf.
9.逢いみての pf.
10.僕の倖せ pf.
11.東京 g.
12.アムステルダム g.
13.春三月 pf.
14.亡命 pf.
15.白粉 pf.
16.八月 pf.
17.花嫁御寮 pf.
18.truth pf.
19.別れ来る pf.

 5曲目に演奏された“パルチザン”は、レナード・コーエンの曲で、現在録音中の off note の2枚組CD“GLOBE IN THE BOTTLE”に収められるとのことである。このCDは、世界の反戦歌を off note 筋のシンガーたちがカヴァーするという企画モノで、全37曲入り、正坐して全曲通して聞いたらさぞかし肩がこるのではないかと懸念されるが、ごろごろと寝転がって聞くなどという軟弱な姿勢を許容するようなものではあるまい。いずれにせよ完成が待たれるところである。
 後半に入って、“春三月”からはすべてピアノ弾き語りとなる。“春三月”“亡命”“白粉”と物静かなたたずまいの曲を3曲続けてから、一転して“八月”“花嫁御寮”とテンションの高い曲を続けざまに繰り出し、さらにはこのところなおいっそう激しさを増した感のある“truth”で激情の奔流に聴衆をひきずりこむという荒技を見せておいて、最後に寂寥感漂う“別れ来る”でひっそりとおさめるという構成の妙、ヤラレタという感じだった。


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