2003.02.06  高円寺 稲生座   報告者 K.T.

出演  渡辺勝(vo.g.)  竹岡隆(Eb.)

 野澤享司が4月5日に稲生座ライヴを挙行することになった。前回のライヴが2002年の2月初旬である。一年以上も間があいてしまったので、あれから店内のようすも変わっているかも知れない。そんなことを考えはじめるとだんだん心配になってくる。心配性なのである。そこで意を決して、下見に行くことにした。2月の6日、立春は過ぎ、日の暮れるのはずいぶん遅くなったものの、まだ春は遠いように思われる。赤羽発のKKKバスに乗って環七の渋滞の中、とろとろ眠っているうちに高円寺北口に到着する。
 稲生座はどこも変わってはいなかった。ずっと昔に時間が止まってしまったような空間がレンタルビデオ店の階上にあった。安心すると同時に、どこか苛立たしい思いもする。この日はたまたま渡辺勝が出演する日だったので、ついでにライヴも聞いてきた、というたらウソのように聞こえるかも知れないが、部分的には本当で、部分的にはウソであるよ。ちなみに、“周縁事態”の過去の記述を検証すると、2002年12月6日にK.T.は稲生座に来ているようだ。Web上でウソをついてはいけない。
 アップライトピアノは売り物のCD置き場と化していた。渡辺勝はもっぱらガットギターを弾いて歌う。この日の演奏曲名は以下のとおりである。

1.谷間に婆ちゃんの唄が谺する
2.草原情歌
3.少年少女のブルース
4.夏の名残
5.赤い自転車
6.東京
7.アムステルダム
8.亡命
9.あの道この道
10.僕の倖せ
   〜中入り〜
11.そして日々は
12.白粉
13.道草
14.帰り道
15.八月
16.君をウーと呼ぶ
17.花嫁御寮
18.truth
19.別れ来る
20.斜岩病院(エンディングテーマ)
■アンコール■
21.夜は静か通り静か

 “草原情歌”は前半は中国語のように聞こえた。後半は日本語であった。もとより中国の歌である。
 “亡命”は、文句なしにいい曲だと思う。瀬尾一三のようなクサいストリングスつきヴァージョンなんていうのも聞いてみたいような気がする。クサくなくてもいいのではあるが。
 “そして日々は”は1994年のアルバム“FADELES S”におさめられている曲。前回12月の稲生座ライヴのあとに、今度やってください、とリクエストした曲だっただけに、うれしかった。

 ベースの竹岡隆とのデュオ、ほかのライヴハウスでも聞けないものだろうか。稲生座では客席の環境の問題で聞く側が演奏に集中できない場合があり、つらかったりもするのだ。

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