2003.02.03 新宿 URGA 報告者 K.T.
出演 izm 渡辺勝 with 森俊也(key.) 三上寛
当日の会場は、新宿歌舞伎町の北端、職安通りに面したコンビニの地下にある
URGA というライヴハウスである。このあたりは実弾飛び交う危険地帯であることから、出発前に防弾チョッキおよびヘルメットを着用したが、それでもなお不安が残る。先日狙撃された上州の親分は、自分の周囲に人員を配置してわが身を守ったと伝えられている。これを人間の盾作戦と呼ぶ。そこで戸籍上の配偶者に声をかけた。マサルさんのライヴにご招待したいぞ。しかし思惑を見すかされていたのであろう。簡単に拒絶された。ヤダヨ。ヒトリデ行キンシャイ。やむなく一人で家を出る。
明日は立春だというのに、日没後の外気は相変わらず冷たい。新宿駅から URGA
に行くよりは、新大久保駅から歩いたほうが移動距離が短いように思えて、ここもぶっそうなところと承知の上で新大久保で下車する。JRと西武鉄道の線路の下をくぐり、ホテル街に入り込む。街娼がそこここに立っているが、今日はつきあっているヒマはないのだ。目を合わせないようにして、職安通りまで一気に南下する。
URGA の開場時間にはまだ間があった。そこで上のコンビニで時間をつぶしていると、ごつい体つきのスキンヘッドの男が店内に入ってきて、ペットボトル入り飲料を買ってさっと出ていった。その身のこなしにシビレたぜ。圧倒的な存在感である。思わず“寛チャーン”と心の中で声をかけて、見送っていた。
ライヴは19時過ぎに始まった。最初に出てきたのが izm という名前の個人で、ギター弾き語りである。数曲演奏したようだ。
続いて渡辺勝が SIL,BALLAD UNIT でおなじみのキーボード奏者、森俊也を従えて登場する。渡辺勝はすべての曲でガットギターを使用した。当日の演奏曲名は、以下のとおりである。
1.冬の朝
2.夢
3.OLD FRIEND
4.チャーリーのバー
5.東京
6.アムステルダム
7.白粉
8.いつも一緒に
9.八月
10.逢いみての
11.truth
12.斜岩病院(エンディングテーマ)
客席より一段高いステージ中央の脚の長い椅子の上でギターを抱えて歌う渡辺勝の姿、これがまたカッコイイのである。ほれぼれした。ふだんはこういう角度で見ることはないので、えらく新鮮であった。すでに常連の間では周知のことなのであろうが、こんな発見もあった。“アムステルダム”と“東京”がしばしば連続して演奏されるのは都市名つながりといったところなのであろう、というふうにこれまでは単純に考えていたのだが、視覚でとらえてみれば、どちらも3フレットにカポという点が共通していたのだった。そのためにスムースに移行することができる。ピアノに向かってギターを弾くなってるハウスでは気がつかなかったことである。
森俊也の演奏は終始堅実控えめといった印象で、どこにもつながらない静謐な時間をたくみに作り上げていたように感じられた。
最後に登場した三上寛は、ペットボトル入り飲料(エビアンと推定される)で水分を補給しながらの轟音セミアコギター弾き語り、というべきか弾き叫びというべきか、なにしろパワー全開の強烈なステージであった。脳味噌をわしづかみにされてぐじゃぐじゃに揉みほぐされるような快感にただただひたるばかり、いわゆる“癒やし系”にはひたすら拒絶反応を示しながら、こういう音楽に出会うとキモチイイヨーといってうれしがるこの脳味噌は、もはや完全にイカレているのかな。