2003.01.29  合羽橋 なってるハウス   報告者 K.T.

出演  渡辺勝(vo.g.pf.)  川下直広(Ss.Ts.vln.)

 インフルエンザが大流行する中、こんな寒い夜にわざわざライヴに行くこともないだろうという理性の悲鳴は聞こえてくるものの、人は時として合理性を欠いた行動に走るものである。家庭が必ずしも安住の地であるとは限らない、とでも言っておけばなんとでも説明はつく。トウチャン行カナイデ、と泣いて取り縋るいとけない娘を縁側から蹴落として家を出る。それにしても寒い。寒すぎる。JR鶯谷駅からなってるハウスに移動する途中、何度かコンビニに入って暖を取った。そうしないと路上で凍結するおそれがあった。
 当夜の演奏曲名は以下のとおりである。曲名のあとには、例のごとく渡辺勝の担当楽器を記しておいた。pf.はグランドピアノ、g.はガットギターである。川下直広は、1曲目の“立ち止まった夏”および2曲目の“白粉”の冒頭でSs.を使用した後は、すぐにTs.に持ち替えて、“白粉”の途中からはもっぱらTs.を吹いていた。そして、最後の“夜は静か通り静か”では、Electric violin を弾いた。
 
1.立ち止まった夏 pf.
2.白粉 pf.
3.冬の朝 pf.
4.あの娘はあの娘 g.
5.花嫁御寮 g.
6.夢 pf.
7.道草 pf.
8.僕の倖せ pf.
9.ぐんじょうの空 g.
10.東京 g.
11.帰り道 pf.
12.八月 pf.
13.truth pf.
14.いつも一緒に g.
15.埋葬 g.
16.斜岩病院(エンディングテーマ) g.
17.土埃 pf.
18.別れ来る pf.
19.夜は静か通り静か pf.

 “あの娘はあの娘”は、渡辺勝の自作リサイクル(?)曲。25年ほど前の作品だそうである。“Hello”(FLYING DOG FLD−10006 1977年)のころの軽快なポップナンバーに通じるような味がする。なお、この曲の場合、“娘”は“こ”と読むのが正しい。
 “埋葬”は早川義夫のURC盤“かっこいいことはなんてかっこ惡いんだろう”におさめられている曲。現在製作中の渡辺勝の新作カヴァー・アルバムにも収録されるらしい。前回12月17日のなってるハウスにおけるライヴでは、この曲の演奏中にピアノの弦をブチ切ったという事情もあったのだろうか、今回は自前のギターを弾きながら歌い、事無きを得た。
 “夜は静か通り静か”では、川下直広が Electric violin を弾いた。微妙に音程をずらし加減にして、独特の味わいを醸し出していたようである。


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