2006.12.10  代々木 My Back Pages   報告者 K.T.

出演  野澤享司

 2005年の歳晩にライヴを聞きに行ったところ、天井の低い換気の悪いスペースで複数の喫煙者が間断なく吸い続けるタバコの煙に苦しみ、ライヴハウスに恐怖心をおぼえるようになった。持病の聴覚障害に加えてそういう事情も重なって一年近くもの間ライヴからは遠ざかっていたのだが、この代々木の My Back Pages は、メインのメニューが串カツだということなので、それなら排煙設備もバッチリだろうと考え、チャージも1,500円だしゲストも予定されていないようだから、それなら行ってみようかという気になって、久しぶりに重い腰を上げた。結果として多量の喫煙者が集結したスモーキーな空間の中で何時間かを過ごすことになったわけだが、それがイヤだったらライヴに行かなければいいだけの話だし、外国には飲食店を含む公共のスペースが全面禁煙になっているところもあるわけなので、いざとなったらこの野蛮な後進国ニッポンから脱出するという選択肢だってある。
 今回の野澤享司の演奏曲名は下記のとおりである。ギターは例のごとくマーティンとエピフォンの2本で、マーティンを使用した曲には印を附しておいた。無印の曲ではエピフォンを使用している。

1.迷走
2.悲しみは Blues で
3.君想い唄おう
4.大地の鼓動
5.夕暮れ
6.Whiskey River Blues
7.上を向いて歩こう
8.セントトーマスから胎内回帰への旅
9.Come Together 〜 それでも Lucy は空に
 ◆中入り◆
10.大河の見る夢
11.Over The Rainbow
12.君が気がかり
13.Miss the Mississippi and You
14.遥かな海へ
 ■アンコール■
15.Fender Bender Locomotion

 今回のライヴは、開場が17時30分、開演が18時とのことであったが、そんなに早い時間にはじまるわけがなく、開演は18時30分近くまでずれこんだ。
 オープニングはインストゥルメンタルの“迷走”である。それぞれの弦の高低のバランスに乱れがみられる中での苦心の演奏であったようだが、聞く側からすればこれは相当な苦痛である。ましてチューニングに敏感なヒトならなおさらであろうと聴覚や音感にすぐれたヒトに同情してしまうほどであった。こういう演奏を聞いてサイケだとかアシッドだとかいってよろこんでいるヒトはまさかいないとは思うが、若いかたが誤解するかもしれないので、念のためここに記しておく。
 3曲目は“君想い唄おう”であった。ライヴにはすっかりごぶさたしていたので、知らない曲もあるのだろうなあと思って、記録者として緊張していたところに、聞き慣れないイントロが流れた。ますます緊張が高まったのだが、実際のところは左手のポジションが1フレットずれていただけで、歌詞を聞いたら、おなじみの“君想い唄おう”であるということがわかった。
 4曲目はマーティンに持ち替えて、これもまたインストゥルメンタルの“大地の鼓動”である。演奏に入る前に入念にチューニングをしているようにみえた。しかし演奏がはじまるのとほぼ時を同じくして、後方の厨房からジャーという大きな音が聞こえてきた。串カツをオーダーしたヒトがいたらしい。これでは 5.1ch サラウンドだ。なんだかわけのわからない“大地の鼓動”になってしまった。演奏中のオーダーといえば、これはもう行かなくなってしまった店の話だが、ライヴの途中で入ってきたヒトがカレーをオーダーしたことがあった。その店のカレーはにおいがキョーレツで、店内にあまねくカレー臭がただよった。しかしこれは飲食店の全面禁煙化が実現した後の課題であろう。ライヴ専業店には揚げ物炒め物ご飯物が最初からメニューにないところもあるわけであるから、串カツを揚げる音やカレーのにおいが気にくわないのならばその種の食べ物を供する店に行かなければいいだけの話である。他の客の迷惑を考えてその種のモノをオーダーしないでほしいなどというつもりはない。それができるくらいだったら、電車の中で携帯電話でしゃべっているヒトにいちいち文句をいっているはずである。
 “Whiskey River Blues”の挿入曲は、“Georgia on My Mind”ではなくて、“My Blue Heaven”であった。
 “Come Together 〜 それでも Lucy は空に”は、11分30秒ほどの演奏時間であった。前半はこれまでで、中入りに入る。前半は70分ほどであった。
 20分あまりの中入りをはさんで、後半に入る。13曲目ははじめて聞く曲であった。ジミー・ロジャースの“Miss the Mississippi and You”という曲にニホン語の歌詞がついた曲だそうである。
 後半は軽めに30分あまりで終了した。チャージ1,500円というのは妥当なところだろうなあといった印象のライヴであった。



 

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