２００５．１２．１１ 東武動物公園 Sound cafe ON AIR 報告者 K.T.
出演 野澤享司
Guest 金谷あつし with あべとしひこ
東武動物公園行きの電車にはよく乗る。たとえば世田谷の桜新町から東武動物公園行きの電車に乗ることがある。しかし渋谷でおりてしまう。神保町で東武動物公園行きの電車に乗ることがある。しかし大手町か三越前でおりてしまう。動物の毛アレルギーであったりするという事情もあるので、終点まで行くのはむずかしい。だいたいそのあたりには用がないのである。ところがその東武動物公園という名称の駅の近くの埼玉県宮代町の“ON
AIR”というお店で野澤享司がライヴをやるという話がもちあがった。そういう無謀な企画があるのなら行ってみたい。９月の上旬に、なってるハウスの客席でＭＳ氏にわけはこれこれこういうわけと話をしたら、ＭＳ氏の車に便乗させていただくことになった。そういうわけで、カーナビのご託宣に従って東北道を法定速度でぶっ飛ばし、厳寒の宮代町にやってきたのである。
午後７時を過ぎて、まずゲストの金谷あつし with あべとしひこの演奏がはじまった。金谷あつしというヒトは、７０年代の前半にエレックレコードからレコードを出していたピピ＆コットというグループにいたヒトだという話だった。エレック盤は買ったことがなくて、その筋に関してはほとんど知識がないのだが、ピピ＆コットというグループ名は聞いたことがあるような気がする。それで、１曲目は泉谷しげるがうたっていた“春夏秋冬”であった。これは有名なうただ。ひょっとしたらこのうたがエレックを代表するうたなのかもしれない、と考えた。ライヴの頭でこのうたをうたうと、いきなりエレック魂が炸裂するのではないか。そんな思い込みにとりつかれた耳で聞くと、なにか儀式的な演奏であるように思えた。その後の３曲は、おやじぼやき節といった内容で、味わい深いものであった。
今回の野澤享司の演奏曲名は下記のとおりである。ギターは例のごとくマーティンとエピフォンの２本で、マーティンを使用した曲には＊印を附しておいた。無印の曲ではエピフォンを使用している。
１．迷走＊
２．悲しみは Blues で
３．Over The Rainbow
４．君想い唄おう
５．Whiskey River Blues
６．夕暮れ
７．大地の鼓動＊
８．I walk with my brothers & sisters＊
９．What a Wonderful World
10．生活の柄
11．Come Together 〜 それでも Lucy は空に＊
12．君が気がかり
13．上を向いて歩こう
14．ほろ酔い気分で
15．ワルチング・マチルダ 〜 それでも明日は
16．あの日のままで
17．遥かな海へ
◆追加◆
18．明日への航海＊
19．Fender Bender Locomotion＊
今回は高田渡ナンバーが２曲に増えた。ふだん演奏している“夕暮れ”に加えて、“生活の柄”が演奏されたのである。フィンガーピッキングではなく、ラフなストローク奏法のギターにのせて、ゆったりとうたわれた。
１１曲目に“Come Together 〜 それでも Lucy は空に”を演奏して、それで本篇はおしまいということになりそうになったが、客席からの抗議があり、演奏が続行された。延長戦ではしみじみとしたうたモノが続き、しみじみと聞いていたら、“ワルチング・マチルダ”からそのまま“それでも明日は”に移行するという高度な技を出した。油断ならない。
“遥かな海へ”には、あべとしひこが参加して、堅実なスライドギターをつけた。
追加の２曲は、ライヴ終了後に来店したヒトへのサービスで演奏されたモノである。そういうこともあり、また、今回もＭＣの時間をたっぷり取っていたので、長時間のライヴとなった。野澤享司のすばらしさをこれでもかこれでもかと堪能させられた一夜であった。
●附記●
当日の天気は曇りで、雨は降らなかったが、東京では初雪が降ったということである。キョーレツに寒かったのだ。