2005.09.03  青山 音楽室   報告者 K.T.

出演  野澤享司

 9月3日4日の二日間は狭山で“HYDE PARK MUSIC FESTIVAL 2005”という一大イベントがあるので、それ以外のライヴはセイセイシュクシュク(漢字表記不能)と自粛するのがあたりまえである。ところが野澤享司は音楽室でライヴを強行するという。無謀な企てだ。とても賛同できるものではないが、員数合わせ要員としておもむくこととなった。例のごとく台風が九州の南海上で渦を巻いている。しかしまだ前触れの雨雲も東京にまでは届いていない。それでも折り畳み傘を持参するのを忘れなかったのは、これまで何度もさんざんな目にあわされているからである。
 今回のライヴで使用されたギターは、常用のマーティンとエピフォンの2本であった。このところ音楽室では試弾会みたいなライヴが続いていたので、この組み合せには安心感が持てる。今回野澤享司がマーティンを使用した曲には印を附しておいた。無印の曲ではエピフォンを使用している。

1.Come Together 〜 それでも Lucy は空に
2.迷走
3.悲しみは Blues で
4.ノー・ノー・ボーイ
5.Whiskey River Blues
6.君想い唄おう
7.大地の鼓動
8.上を向いて歩こう
 ◆中入り◆
9.目覚めと喧噪
10.君の笑顔は
11.空中に遊ぶ空想家の夢(笛吹童子のバラード)
12.アルバートが唄ってる 2005
13.アコースティックなリズム&ブルース
14.セントトーマスから胎内回帰への旅
15.夕暮れ
16.追放の歌
17.大河の見る夢
18.遥かな海へ
 ■アンコール■
19.Over The Rainbow
20.Whistle Blues

 通常は後半に演奏されることの多い“Come Together 〜 それでも Lucy は空に”を最初に持ってきたために、その後の展開が読めない。迷走台風のように迷走するのかと思っていたら次の曲が“迷走”だ。冗談ではない。
 “ノー・ノー・ボーイ”はザ・スパイダースの曲である。なさけない内容の歌詞で、野澤享司がうたうとみごとにハマる。直後のMCで、グループ・サウンズにおけるリバプール・サウンドの受容と展開についての講義があった。コードの流れをギターで示しながらのツボをおさえた説明には説得力があり、まことにわかりやすい。
 “大地の鼓動”は、“迷走”でポカポカ叩いたあとしばらく放置されていたマーティンに持ち替えてすぐに演奏に入ったので、大丈夫かと思ったが大丈夫ではなかった。チューニングが狂っていて聞くに堪えない。大量のアスベストが舞い飛ぶ中でダイオキシンのシャワーを浴びるかのごとき“大地の鼓動”であった。
 “アルバートが唄ってる”は、あまり聞きたくない2005年ヴァージョンだった。
 “夕暮れ”は高田渡のうた(詞 黒田三郎)である。野澤流でねっとりとうたわれる。
 “大河の見る夢”は、ライヴで聞くのは久しぶりだ。今回のライヴでは、アルバム“FENDER BENDER 遥かな海へ”におさめられているインストゥルメンタルの4曲をすべて演奏した。これはめったにないことだと思う。

附記
この音楽室ライヴの翌日、東京は記録的な集中豪雨に見舞われ、あちこちで中小の河川が氾濫し、多くの家屋が浸水した。被害にあわれたかたがたにはつつしんでお見舞い申し上げる次第である。



 

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