2004.07.04 高円寺 稲生座 報告者 K.T.
出演 野澤享司 (PA担当 山本達也)
昨年来の聴覚の不調は相変わらずで、本来ならライヴ観戦に耐えられる脳ではないのであるが、諸般の事情で出席ということになり、元KKKバスの国際興業株式会社のバスを駆って薄暮の環状7号線をひた走り、高円寺に赴いた。
ライヴは20時15分ごろに始まり、休憩をはさまず全21曲、あわせて2時間10分ほどの長きに及んだ。曲目は以下に記したとおりである。
1.万川集海
2.I walk with my brothers & sisters
3.悲しみは Blues で
4.Over The Rainbow
5.君想い唄おう
6.迷走
7.大地の鼓動
8.あの日のままで
9.夢の続きでも
10.アルバートが唄ってる 2003
11.セントトーマスから胎内回帰への旅
12.時はいつも静かに
13.Come Together 〜 それでも Lucy は空に
14.たどりつく港を今日も
15.空中に遊ぶ空想家の夢(笛吹童子のバラード)
16.Whiskey River Blues
17.上を向いて歩こう
18.遥かな海へ
19.What a Wonderful World
20.Fender Bender Locomotion
21.Whistle Blues
梅雨時にふさわしく“万川集海”ではじまったが、このカラ梅雨ではいかがかと思われる。ライヴ当日も晴れて気温が高かった。
“悲しみは Blues で”は、ブルース・ハープを使用しないヴァージョンだった。
“夢の続きでも”は、最初に70年代のフォーライフ時代の弾き方を披露してから、2004年ヴァージョンに移行した。朝、目をさましたものの、まだ眠っていたいなどと身勝手なことをいうという、作者の現実逃避的性行が強く示された歌であると論評する向きもあるようである。
“セントトーマスから胎内回帰への旅”は軽快なインストゥルメンタルである。“セントトーマス”はソニー・ロリンズのテナー・サックスで知られるが、やはりテナー・サックス奏者である川下直広のぶっとんだ演奏もたいへん結構なモノである。野澤享司のギター1本の演奏は、精巧な箱庭を鑑賞しているかの如き興趣を生起せしむるものであるように思う。
“Whiskey River Blues”は、おなじみの“Georgia on My Mind”入り。リチャード・マニュエルすでに亡く、レイ・チャールズも鬼籍に入った今となっては、この“Georgia
on My Mind”を歌ってサマになるシンガーはほかに誰がいるだろうか。
“遥かな海へ”と“What a Wonderful World”は、稲生座のシバタ夫妻との共演であった。なかなかスリリングな演奏だったように思うが、自分の壊れた脳の処理能力をはるかに越えていたため、実際のところはよくわからない。シバタ(夫)氏は、パーカッションを鳴らすよりはエレクトリック・ギターを弾いているほうがよい、と以前から思っていたが、今回またその感を強くした次第である。