2007.05.07

酒は百薬の長
酒は百毒の長
酒は飲むべし、飲まるるべからず
酒を使う
酒、人を飲む
酒に別腸あり
酒と産には懲りた者が無い
酒と煙草はのんで通る
下戸の建てた蔵はない
朝酒は門田を売っても飲め
朝寝酒は貧乏のもと
飲まば朝酒、死なば卒中

酒と朝寝は貧乏の近道
酒が無くて何の己が桜かな
酒はほろ酔い、花は半開き−つぼみ
酒は酒屋、餅は餅屋
酒は詩を釣る針
酒は知己に遇うて飲み、詩は会する人に向って吟ず
酒の上
一杯目は健康のため、二杯目は喜び、三杯目は心地よさ、四杯目は愚かさのため
酒に飲まれる
酒は天の美禄

その一 酒は百薬の長
解説 酒は適度に飲めばどんな薬よりも効き目があり、薬以上に健康のためになるということ。酒は適量ならば消化を助け、新陳代謝を盛んにし便通を整えてくれるようです。
感想 と言っても、あくまで適度に飲めばということで、飲み過ぎれば×ですね。何にしても「過ぎたるは及ばざるが如し」ということですが、お酒を飲んでいる相手や場所や雰囲気で、お酒がとてもおいしくて、ついつい飲み過ぎてしまうのが現実ですね。うーん、自制心の問題かなぁ。
その二 酒は百毒の長
解説 「酒は百薬の長とはいえどよろずの病は酒よりこそ起これ」で、酒には良いところが少しもなくて、毒であるということ。
感想 うーん、あまり良いお酒を飲んでいないか、飲み方が悪かった人の言い分なのではないのか、という気がしないでもないですが、確かにお酒も「適量」ならばOKですが、飲み過ぎれば×なんですよね。どこがその境目かと言われても、それぞれの人によって違いますから、飲むにしろ何にしろ、人任せではなく自分で気をつけないといけないですね。...と言いながら、無理っぽいなぁ、と思ってはいます。
その三 酒は飲むべし、飲まるるべからず
解説 酒は飲んでもかまわないが、酒のために酔いしれて本心を失うような飲み方をしてはいけない。酒は適度に飲むべきで、「酒が酒を飲む」ようになってはおしまいだ。
感想 確かに飲み過ぎて我を忘れてはいけないですね。とは言っても「我を忘れない」からということでいくら飲んでも良い、というわけでもないのでしょうね。ただ、適量とか適度とかの基準は、個人差があるし、ひとりの人間でも体調や精神状態によっても異なります。昨日の量は大丈夫でも今日はそれ以下の量でも駄目な時があります。「我を忘れる」ギリギリの状態というのは、廻りで見ていても判らないですし、ましてや本人が判断するのは難しい...いや不可能でしょうね。だって、限度量を超えた途端、判らなくなってしまうのですから...
その四 酒を使う
解説 酒の勢いを借りて、気ままにふるまうこと
感想 どこにでも居ますねぇ、こんな人が。でも、この人たちはお酒が抜けると、全然別人のように大人しくなってしまうことが多いですね。普段は気が小さいけれど、お酒を飲むと気が大きくなるようです。もっとも、酒抜きの日頃から気ままに振る舞わねような人もそれはそれで迷惑ですけどね。
その五 酒、人を飲む
解説 深酒は人の正常な精神を失わせるということ。
感想 まぁ、これが俗に言う酒に酔う...というか酒に狂うということなのでしょうが、酔いが覚めると、それを酒のせいにされても酒も迷惑ですよね。酒は飲むものであって酒に飲まれるものではないということですね。でも、自分では飲まれていないつもりでも、飲まれていることがあるかもしれないから。気をつけましょう。
その六 酒に別腸あり
解説 体の小さい人でも、大酒を飲む人がいる。酒の量は、体格の大小に関係しない。それは、酒の入る腸は別であるからだというのであるが、アルコールは水と違って、胃壁から吸収される(ちなみに水は大腸で吸収される)。それで1リットルの水を飲むことができなくても、酒なら斗酒も辞せずということになる。
感想 だから、いくらでも飲めるんだよね。それにアルコールの吸収は飲んですぐに始まるから、飲んですぐに酔い始めるのも納得がいきます。
その七 酒と産には懲りた者が無い
解説 酒とお産では相当つらい苦しい思いをするのだが、やめたという者もない。値上がりはしても酒はどんどん売れるし、産児制限を叫んでも人口はどんどん増える。
感想 前の晩にかなり深酒をして、次の日の朝は二日酔いでよく言う言葉が「もう当分は酒を飲まないぞ!!」ですね。ところが、その日の夕方になると、「さぁ、今日は何を飲もうか。どこに飲みに行こうか。」となることが間々あります。ことわざ的にはちょっと昔のものなので、「産児制限」の下りは今の時勢には合いませんが、言葉の趣旨は理解できますね。20年ほど前に安部譲二さんという方が書いた「塀の中の懲りない面々」という本がミリオンセラーになったことがあります。これは再犯のベテランばかりが集められる府中刑務所の中の様子を書いたものですが、この再犯者たちと同様、酒飲みには「飲む」ということに懲りる人はほとんど無いようです。ということでこれは「酒と犯罪には懲りた者が無い」に変えた方が良いかも知れないですね。
その八 酒と煙草はのんで通る
解説 酒と煙草はむだなもので、飲まなくても過ごせるが、飲んだから貧乏するわけでもなく、さりとて飲まないから金持ちになるということもないから、飲むだけ得というもので、飲まぬ者は働きがないわけだ。同じ意味のことわざとしては「下戸の建てた蔵はない。」「御神酒(おみき)の上がらぬ神はなし。」というのがある。
感想 確かに禁酒したからと言っても、禁煙したからと言っても、その酒代や煙草代が浮くはずなのに、それでお金が貯まったという話は聞いたことがないですね。それならば、今まで通り、酒も煙草も嗜んだ方が得です。ただ、これはあくまでもお金の話であって健康を考えるとどうでしょうか。まぁ、「酒は百薬の長」とも言いますし、煙草を吸わなくても肺癌になる人は居るし、そのことを考えると、やはり同じ事なのかな、という気もします...もちろん、煙草を吸っていて肺癌になる可能性は、吸わないで肺癌になる可能性よりもはるかに高いですけどね。
その九 下戸の建てた蔵はない
解説 下戸は酒の飲めない者、上戸は酒の飲める者で、蔵を建てるとは財産をつくり上げることである。上戸は酒に金を使うが、下戸は飲まないのだから、酒代をためておいただけでも、ずいぶんお金が残るはずだ。ところがそうでもないらしい。「下戸は働きなし」というが、下戸は交際下手で出世がおそく、上戸は飲むだけ働き者だともいうのであろうか。とにかく、下戸が蔵を建てたとは聞いたこともない。だからと言って上戸が蔵を建てたという話も聞いたことがないが・・・
感想 前項と同じ意味のことわざで、酒を飲んでも飲まなくても結果は同じ事だということです。ここで酒飲みからすれば、飲んでも飲まなくても同じ事ならば飲んだ方が良い、という理屈になりますね。逆に酒を飲まない方からすれば、同じ事ならば無理をして飲まなくてもいいじゃないか、ということになります。どちらにせよ、ことわざなどと言うものは解釈次第というところですね。で、僕自身はもちろん飲む方を選択します。
その十 朝酒は門田を売っても飲め
解説 朝酒を礼賛したことばで、朝酒はどんな工面をしてでも飲む価値があるということ。門田は屋敷の入り口にある田で、その家の最もよい田。酒飲みにいわせると「五割の金を借りてでも、朝酒は飲む価値がある」という。
感想 朝酒は確かに良いですね。朝食のおかずを肴に...というよりもご飯を食べる代わりにいっぱい飲むというのは、その後に何か重要なことが控えていない限り、とてもリラックスできて最高の気分が味わえます。ただ、夕方から飲むのと違い、とにかく飲んでいる時間が長くなります。まぁ、状態としてはとにかく何もない時に飲みますから、朝から晩まで...そして夜中までというパターンになることがほとんどですね。当然のことですが、その分、飲む量も半端ではなくなります。で、後は爆睡というところでしょうか。一度、試してみられるのも一興かと思います。ただし、不幸にもこの朝酒に嵌ってしまっても責任は持てませんけどね。
その十一 朝寝酒は貧乏のもと
解説 「早起きは三文の徳」というように、朝早く起きて、せっせと働けば自然に生活も楽になるが、朝寝をしたうえ、朝酒を飲むようでは貧乏はまぬがれない。朝寝、朝酒、朝湯 は身代をつぶす。
感想 朝酒はとても良い、と言った後で今度は、朝酒は止めた方が良い、という話です。朝酒はもちろん、朝寝も、朝湯も確かに良いものです。だからと言って働かないから戒めるようなことわざを作らなくても良いとは思います。休みの時には、これもありかなって思います。リラックスをするのであれば、これはこれでOKだと思います。
その十二 飲まば朝酒、死なば卒中
解説 お酒は朝酒ほどうまいものはないし、死ぬときは、苦しまずにいける卒中がいいという意味。
感想 随分と乱暴なことわざですが、それほど朝酒は旨いということですね。それにしても死ぬならば卒中とはねぇ。昔は脳卒中と言えば、そのまま意識が無くなって死んでしまうことが多かったようですが、最近は、医学の発達により結構助かるようになりました。それに、死に至らず麻痺が残ったりすることもあるので「死なば卒中」というのもそぐわなくなりましたね。時代が移り変わるとことわざも変わらざるを得ないでしょうね。
その十三 酒と朝寝は貧乏の近道
解説 誰でも大酒を飲んで朝寝をして仕事をしなければ、当然のことながら貧乏になるということ。
感想 大酒飲んで、朝寝をしていて、仕事をしなければ、消費はあるのに収入がないので当然のごとく貧乏になりますね。まぁ、当たり前と言えば当たり前なんですが、これがまた、大酒・朝寝・仕事せずというのは結構魅力のあることばかりです。これら+貧乏 をとるかと言われると迷うところではありますねぇ。できれば、前者−貧乏であれば申し分ないのですが...世の中、そうは甘くないですね。
その十四 酒が無くて何の己が桜かな
解説 どんなに綺麗な桜が咲いていたとしても、酒がなければ花見もおもしろいものにはならない。
感想 以前は「花より団子」という諺があるように「桜よりも酒」という意味でとらえていましたが、良く考えてみると、別に桜を否定している訳ではないですね。桜それ自体の良さは認めた上で、花見というものは酒があって始めてきちんとしたものになると言っています。単純に「桜+酒=花見」という数式が成り立ちますね。納得です。ただ、花見の宴が進むと「桜+酒=花見」から「桜+酒−桜=花見」つまり「酒=花見」に数式が変化するのも確かです。
その十五 酒はほろ酔い、花は半開き−つぼみ
解説 酒は目一杯酔うよりもほろ酔い加減の時が良く、花は満開よりも半開きやつぼみの方ががよいということ。
感想 確かに、飲み始めてしばらくして、そろそろ酒が全身を廻りだし、リラックスし始めるぐらいが一番気分が良いですね。それからしばらくすると、話も進みますが、酔いも進みます。そして、目一杯酔うと、後は... 中途半端と言うよりも、お酒の飲み方もご飯の食べ方と一緒で、腹八分目が良い...要するにほどほどにということらしいです。でもなぁ、旨い酒は止まらないからなぁ。
その十六 酒は酒屋、餅は餅屋
解説 ものごとにはそれぞれ専門分野というがあり、それぞれについてはその専門家に任せるのが一番良いということ。
感想 なんでもそうですが、やはりその道のプロに任せるのが一番確実性が高いですね。それはそうなんですが、この諺にはちょっと引っかかります。酒屋さんは確かに酒を売りますし、酒の知識も豊富ですから、任せておいてもそう悪くは無いのですが、酒屋さんによっては、趣向の違う人もいますので、そこのところを見極める必要があります。また「紺屋の白袴」とか「医者の不養生」とかいうように、プロだけど自分のことは何もできない人も居るようなので、プロというのも時と場合によるようですね。
その十七 酒は詩を釣る針
解説 酒を飲むことによってとてもリラックスができて感性が豊かになり、詩歌も生まれる、引いてはいい事を思いつくということ。
感想 昔、中国の唐の時代に三大詩人と言われた李白、杜甫、白楽天が居りましたが、この3人が揃いも揃って大酒飲みだったようです。酒の飲み方はそれぞれ違うようですが、結局は一杯飲んで後世に残るすばらしい詩を詠んでいたようですね。お酒を飲んでこんな良い感性を得られればいいでよね。そうするに、一人でお酒を嗜む方がいいでしょう。人数が居ると詩どころではなくなるなぁ、と思うのは凡人の証かも知れないですね。
その十八 酒は知己に遇うて飲み、詩は会する人に向って吟ず
解説 酒を飲む時はよく知っている人と一緒の方がよく、詩作のときは同じ趣味を持つ人でないと興が湧いてこないということ。
感想 ある程度お酒が入って酔いが回ってからだと、居酒屋でも隣に座っている知らない人とでもうち解けることができますが、最初からだとちょっとねぇ、というところがあります。同じように何かの趣味をする時には、同じ趣味を持つ人たちと一緒でないと盛り上がりに欠けますね。趣味の種類にもよりますが、それに興味のない人たちからはオタク扱いの対象となりますからね。
その十九 酒の上
解説 酒にまぎれる、その様。酒で理性を失う様子。
感想 ようするに、飲み過ぎて理性が吹き飛んでしまった様子を言っているようです。飲んでいる最中にいろいろなことをしでかしても、酔いが覚めてから「あれは酒の上でのことだから...」という言い訳を良く聞きますが、あれは酒を冒涜していると思いますね。飲んでいようといまいと同じでないとね。「酔いに任せて」というのも節度を持つ必要がありますね。
その二十 一杯目は健康のため、二杯目は喜び、三杯目は心地よさ、四杯目は愚かさのため
解説 お酒の一杯目は血液の循環を良くしたりするので健康に良く、二杯目は旨いお酒を飲んだ喜びを噛み締め、三杯目でほろ酔い気分で心地よさを味わい、四杯目で酔っぱらってとんでもないことになり後で後悔するということ。
感想 まぁ、飲むのならば三杯目までということなのでしょうね。もちろん、この三杯は盃にとか、グラスにとか、ジョッキにとかいった具体的なものではなく、要するにお酒を飲むのならば飲み過ぎないように「ほどほどに」飲むという戒めではあるようです。できるかなぁ…
その二十一 酒に飲まれる
解説 酒に酔いつぶれて自分の本心を失ってしまうこと。
感想 この言葉は良く使いますね。「飲んで〜飲んで〜飲まれて〜飲んで〜」という歌もあるぐらいに日常茶飯事のことなのですが、お酒を飲んでいるつもりがいつの間にか飲まれてしまっているという状態を現していますね。同じように「雰囲気に呑まれる」という言葉もありますから、何にしてもそれらに簡単に流されてはいけないということらしいです。
その二十二 酒は天の美禄
解説 「禄」というのは元々、官(行政)に仕える者に支給される手当とか俸禄の意味で、お酒は天から賜った俸禄であるということ。
感想 お酒の美味しさを禄(お金)に...しかも美禄ということで、良い給料に例えたことわざです。飲むお酒にも飲む人にもよるのでしょうが、確かに旨いお酒を飲んだときにはそう思いますね。ただ、飲んだ後の支払をするときには後悔するときもありますが…
その二十三 酒盗人は色にあらわれ、伽羅盗人は香にあらわれる
解説 お酒を盗んで飲んだ人は顔に出るし、伽羅(香木)を盗んだ人はその香で見つかってしまうということ。
感想 隠れて何かをしても、それがばれてしまうということですね。「嘘つきは泥棒の始まり」とも言いますが、隠し事はいつかはばれてしまうという戒めですね。みなさん、お気を付け下さいね。
以下続く
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