もともとこのツーリングは、二泊三日ないし三泊四日のキャンプツーリングとして計画されていました。
新潟から長野に入ってまず一泊、
志賀草津道路を抜けたところで一泊、そして帰宅、と。
志賀草津道路の途中にもキャンプ場はいくつかありましたから、もしかしたらそこでも一泊。
なんてふうに考えていました。


…しかし、思い立ったのが9月の10日頃。
13日が仕事でつふれたうえに、15日は個人的イベントのためツーリングは難しく、
最後の頼みの綱だった22日は休みが取れなかった…(T_T)
次の三連休取れそうな10月まで待つなんてとてもとても…。
というわけで、台風一過の23日、高速をフル活用して、志賀草津道路を日帰りツーリンクしてくることにしました。

 


さて、当日。
朝4時に起きた私は、まず天気を確認しました。
外は快晴。今日の長野は晴れのち曇りの予報。
これならばいけそうだと、私は朝食を摂って出発の準備にかかります。
そして、午前6時30分頃、出発しました。
昇ったばかりの陽の光を背に受けて、朝の清々しい新鮮な空気の中を走るのは、ほんとに気持ちのよいもので…、って、何かちょっと冷たいな(^_^;)

 


燕三条ICから北陸道に入ってみると、
やはり思った以上に気温が低く感じられます。
まあ、それに備えて何枚か着込んできていますし、我慢できないほどでもないし、と、北陸道を快調に飛ばしていきます。

 


米山ICから見た日本海です。うっすらと佐渡島が写っているのがわかるでしょうか…。
午前9時30分過ぎ。
休憩のために米山SAに立ち寄ります。
こんなに朝早い時間にも関わらず、
SAは人であふれかえっていました。
このSAには展望台を兼ねた公園が併設されており、
そこからは真っ青な日本海が見てとれます。
海水浴のシーズン中にこれだけ水が綺麗だったら、
と、そんなふうにさえ思ってしまうほど蒼い海。
水平線の向こうには、佐渡島さえ見られました。
今日の天気がどれだけいいか、そして、空気がどれだけ澄んでいるか伺い知ることができます。
15分ほど休憩した後に、再び本線に戻りました。

 




妙高SAから見た妙高山です。
上越市内に入り、分岐点を超えて上信越道へ。
しばらく走っていると、
左手に妙高山がくっきりとした姿を見せているのに気づきました。
こんなにはっとりした妙高山を見るのは初めてのことです。
これは…!、と思った私は、再び休憩を兼ねて妙高PAに立ち寄りました。
そろそろ秋の気配を漂わせ始めた妙高山。
紅葉シーズンになれば、きっとこの山も行楽客で賑わうことでしょう。
これまで県内であることもあって見向きもしなかった妙高ですが、この時ばかりは、私もいずれ行ってみたいな、と思いました。

 

さて、ここでホットコーヒーで暖を取っていた私は、ふと東風がかなり強いことに気づきました。
この気温で長野まで向かい風はキツイかな〜、とかなり不安になったりして(^_^;)
その予感はPAを出たとたんに的中しました。
さして重装備でもないのに、県境まで上り坂が続くこともあってか、
アクセル全開でも時速100キロ出ません。
う〜ん、オレのボルティってば…(^_^;)
ここはところどころで対面通行になるため、
追越車線がなくなる度に、私の後ろにクルマの行列ができます。


お、お前らなぁ、ここは80キロ制限なんだぞ〜(T_T)!


…なんて思っている余裕なんてあるはずもなく(主に寒さのせいで(^_^;))、
「たしか峠の辺りに妙高・黒姫・飯綱の三山を見られるパーキングあったよな…」、
と記憶を頼りに必死で県境を超えていきます。


…ちなみに、この三山を見られるPAなど上信越道にはありません(爆)。


やっとの思いで長野県に入った私は、野尻湖PAで、休憩がてら高速を降りてからのルートを確認します。
調べてみると、次の信州中野ICで高速を降りてフルーツラインなる道を経由すれば、複雑なルート変更もなくR292に入ることができます。


…ところがどっこい(^_^;)


問題の次のICで表示を見落としてしまい
(実は中野の前に小布施と書いてあったのでそちらのインパクトが強くて…(^_^;))、
あれよあれよという間にICを通過、
やむなくリカバリーチェックのために小布施SAに入る羽目になりました。


…ま、道に迷うのは毎度のことさっ(←負け惜しみ(^_^;))♪


幸い、次の須坂長野東ICで高速を降りて、R403を西に向かえばR292に入れることが分かりました。
10キロほどの距離を余分に走ることになりますが、
こんな天気のいい日にツーリングしていると、一度も通ったことのない道を走るのだからそれもまた良し、と思えてしまうからゲンキンなものです。

 


そして、今度こそ須坂長野東ICで上信越道を降りてR402に入ります。
15分ほど街中を通ったあとで、いよいよR292へ。
この国道をまっすぐ登っていけば、志賀高原に着きます。
あれだけ高速を走ったおかげで慣れたのか、寒さもあまり気になりません。
秋の意外に強い日差しの下、
風光明媚な信州の景色の中を駆け上がっていきます。
もちろん、対向する何台かのバイクとピースサインを交わしつつ♪



 

R292に入ってしばらく行くと、こんなループがありました。その向こうには、北アルプスが見えています。
標高が上がっていくにつれて、眼下にだんだんと開けていく 市街の風景。
そして、そのはるか彼方には、北アルプスの山々が見えるようになります。
途中の電光掲示板に「気温8度(えっ(*_*)!)」などというとんでもないものが目についたりしましたが、
(二桁目が影になって見えなかっただけかな…(^_^;)?)
紅葉が始まる前の緑の中をゆったりと走るのは、とても気持ちよかったです。

 






向こうに、遠く日本アルプスが見えています。
そして、12時少し前。
志賀高原の最高点である横手峠に到着しました。
ここの駐車場は、既にクルマで埋め尽くされていました。
その片隅にバイクを停めると、
まずは一服がてら眼下の景色を堪能します。


…これはすごい…!


空気が澄んでいるうえに、標高2000メートル以上の高地にいるため、比較的近くにある小布施の街並みや長野市街はもとより、遠く日本アルプスの山々までがくっきりと遠望できます。





この辺りが雲海の端にあたります。



視線を転じれば、南の方にははるか地平線の彼方まで広がる雲海。
そのうえに突き出た、まさしく島のようにも見える山々。


…まさに、天上の光景でした。









これは怖かった…(^_^;)
この光景は、横手山の頂上まで上がると、さらに素晴らしいものになります。

駐車場の向かいにあるベルトウェイに乗ること約5分。
そこからさらにリフトで上がると、ようやく頂上に出ます。
(ちなみに、ベルトウェイとリフト合わせて有料です。このリフトがまた怖かったんだ…(^_^;))











雲海がちょうど下のレストハウスと同じような標高にあったためか、頂上から見ると、南東から北西にかけて、地平線全周のほぼ半分が雲海で埋め尽くされているのが分かります。


もう説明は不要ですね…。


その雲海から突き出るようにして、比較的近くは浅間山が、その向こうには八ヶ岳山麓や美ヶ原が、さらにその彼方に広がる山々が、地平線の彼方まで連なっているのが見てとれます。
(余談ですが、さらによく晴れた日には、ここから富士山が見えるそうです)
この雲海がなければ、今日とはまた違った素晴らしい景観が見られたのでしょうが、
青空の下に広がる雲海と、その上に顔を覗かせる信州の山々は、それだけで息を呑むほど素敵な景色でした。


まさに絶景です…(ため息)。



この頂上にもレストハウスがあり、一時間ほど景観を楽しんだ後で昼食を摂りました。
このレストハウスで売っているパンはここの厨房で作っているそうで、できたてのパンはとてもおしいかったです(^_^)

 

道路のすぐそばにまで雲海が迫っているのが分かりますか(^_^;)?
さて、昼食を摂った後で、私は駐車場まで降りて横手峠を出発しました。
R292を群馬方面に向かうわけですが、雲海が切れているのは南西の長野−小布施方面に限られているため、それはそのまま雲海の中に突入することを意味します。
ただ、近寄ってみて判ったことですが、雲海の縁の部分は常にそこに留まっているわけではなく、風に乗って刻一刻と流されては、山の稜線を超えたあたりで消えていきます。
R292はその稜線のこちら側(つまり、雲海が消えていく側)にあったため、さほど雲に悩まされずに澄みました。

 




…ちなみに、R292の途中から分岐する県道466と、そこから続く万座ハイウェーの方は、もろに雲海の中に突っ込んでいました…(^_^;)

この向こうに、万座ハイウェーへと分岐する県道466があります。


そして午後二時。
今日第二の目的地である草津白根山に到着しました。
この辺りは、有名なお釜をはじめとして、あちこちから火山ガスが噴出しているせいか、あまり草木が育ちません。
お釜の周辺は、まさに荒涼とした台地でした。
ただ、火山ガスの噴出している範囲が狭いからか、お釜から離れるにしたがって緑が増えていきます。
そして、R292の向こう側には、緑に包まれた山と、その隣にひっそりとたたずんでいる小さな池…。
その対比が、何とも印象的でした。

 

お釜は、正面の山の向こうにあります。
さて、駐車場にバイクを停めると、私はお釜の方へと向かいました。
ここも今日は観光客であふれています。
そして、お釜に近づくにしたがって濃くなっていく硫黄の匂い…。
ここには二十年ほど前に一度来たことがあるはずなのですが、これほど硫黄の匂いが立ち込めていることは、すっかり忘れていました。

 






目指すお釜には、思った以上に近くまで寄れました。
水温が高いせいか、立ち昇る湯気が絶えることはありません。
写真からイメージするよりも、意外なほど小さなお釜。
けれども、エメラルドブルーの神秘的な色は、写真などよりもはるかに綺麗で…。
そして、その周りには、草木が一本もない、月面を思わせる岩だけの世界。
その事実は、この乳青色の水(…あるいはお湯)が、実は生き物にとって猛毒であることを如実に示しています。


一枚ではとても収めきれなかったので、合成してみました。

弓池です。
お釜を後にした私は、今度はR292を挟んで反対側にある弓池に向かいました。
こちらは、お釜と違って緑のあふれた、静かな趣きのある池です。

風もなく、池面には周囲の山々と青空が、とてもよく映えていました。

周りの木々も、ほんのりと色づき始めています。
それは、下界よりも少しだけ早く訪れる秋の気配にも見えました。






雲海襲来(^_^;)!
一時間ほど経ってから、私は草津白根山を出発しました。
何しろもう夏とは違います。
日没前に関越道に乗って新潟県に戻るためには、そういつまでもここにいるわけにはいきません。
それに、気温が下がってきたせいか、今まで山の向こう側にしかなかった雲海の列端が、すぐそばまで迫っていました。

R292はその中に続いていましたから、どの道逃れることはできなかったのですけれど…(^_^;)

 





雲の向こうに、草津市街地が見えます。
しかし、いざ中に入ってみると、雲の中というのは予想外に視界が利くことがわかりました。白根山から草津にかけてのR292はワインディングの連続ですから、あまりスピードが出せません。
そのため、50メートルも先が見えれば、走るのに苦労することもないわけです。
幸い、雲はさほど厚いものではなかったので、すぐに雲海の下に出ることができました。
もちろん頭上は雲海ですから、下は完全な曇り空です。
しかも、雲海が日光を遮っているため、かなり気温が低かったりして…(^_^;)

 



20分ほど(…かな(^_^;))走ると、草津の市街地に出ました。
ここも二十年ほど前に来たことがあるのですが、今改めて走ってみると、街並みが意外と狭苦しく思えます。もっとも、二十年もの月日が流れていれば、同じ街でも大きく様変わりすることでしょう。
そんな街並みの中に、そのとき泊まったホテルを見つけたときは、やはり懐かしかったです。

 


草津を抜けて、R292から県道55に。
この県道55は、軽井沢を発して栃木県の日光まで続く「日本ロマンチック街道(全長約350km)」の一部を成しています。適度なワインディングもあり、山間部を縫って走るとても緑豊かな道…のはずなのですが、何しろこの時は、時間が切迫していたうえにとても寒くて、そんな情緒を味わう余裕なんてなかったりして…(^_^;)
結局、県道55からR353を経由して、続くR145で寒さに耐え切れず、途中のコンビニに駆け込んで休憩したりしてました。
この時点で午後5時。
もう、高速ナイト・ランは覚悟のうえです。

 


で、その結果、沼田市街に入った時点で日没を迎え、沼田ICから関越道に入って群馬−新潟県境を超えたときには、夕焼けも終わりつつありました。
(ちなみに、この時ばかりは関越トンネルがオアシスに思えました…中が暖かくて(^_^;))
新潟県内に入っても寒さは相変わらずでしたが(実はしばらく向かい風も強かった…)、高速道路の下に広がる夜景がとても綺麗で、ついついわき見が増えてしまいます。
さすがに大都市ではないため「無数の星を散りばめたような」というわけにはいきませんが、交通量が少ないのでクルマを気にせずに走ることかできたため、夜景を思う存分満喫しつつ高速ナイト・ランを楽しむことができました(^_^)


…疲れていたうえに、途中で立ち寄ったPAの周辺がやたらと暗かったため、夕食を食べて本線に戻ろうとしたときに思わず方向を見失ってしまい、”火星はどっちに出ている?”と星で方角を確認したなんてこともありましたが…(^_^;)


そして、午後9時少し前。
ようやく帰宅することができました。
この秋最初の長距離ツーリング。紅葉にはまだ早い時期でしたが、澄んだ空気と、素晴らしい景色をたっぷりと楽しむことができた、いい一日でした。


秋はまだまだこれからです♪


総走行距離:477.7km


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