『話題休閑メスクルの眠り2その後』




戦いの時と同様器用な指使いを発揮し、ガゼルが石を丸く加工する。

見詰める の瞳はドコか嬉しそうに輝いていた。

反対に眉間に皺を寄せた『頑固親父』と化しているトウヤ&ハヤト。
腕組みをしてウンウン唸る。

「親から貰った身体に穴を開けるのは良くないぜ?」
考え直せ! 言いたい事は間接的に。
ハヤトが剥れた顔で を睨む。

はハヤトの言葉などどこ拭く風。
右から左へ適当に聞き流す。

「召喚術の重要性は、現在の生活に密着している部分にあります。サイジェントの街を例にとって説明すると……」
ガゼルと の横では、クラレットが に頼まれたリィンバウムのアレコレをレクチャー中。

トウヤとハヤトと の部屋は雑然としていた。

メスクルの眠りを治療する薬をシオンに作って貰い。
実はシルターンのくの一。
要は暗殺者の卵だったアカネが仲間に加わり。
騒動も一段落したフラットを待っていたのは。
の『ピアスを開けたい』発言である。

まず、いの一番にトウヤとハヤトが反対した。
地球の、しかも日本の小学生が耳にピアスを開けるなど言語道断である。
補足すれば は性別が男(と、フラットの面々は思い込んでいる)なのだ。

 大学生くらいのモテ男なら兎も角!
 ピアスは駄目だ、ピアスは。

トウヤ・ハヤト共通の認識である。

「今後の展開によっては必要なのだ。不要になれば穴は塞ぐと申しているではないか。多少は妥協しろ」
ぶつくさ文句を連ねる自称お兄さんコンビ。
ジロリと殺気を込めてねめつければ、トウヤとハヤトは揃って口を閉じた。

「いいじゃねぇか、別に。お前等目くじら立てるなよ」
石を加工し金属の台に取り付けピアスを作成しながらガゼルが口を挟む。

「けどさ、ガゼル。俺達の世界じゃピアスをするのはごく一部で」
言葉尻を濁すトウヤの左斜め前。
クラレットが召喚術の実用性と今後についてレクチャーを続ける。

そろそろクラレットの瞳が据わり始め杖でも取り出し、召喚術をトウヤとハヤトへぶち放ちそうだ。
察してトウヤも口を真一文字に結ぶ。

「この石、名前とかは分らないけど高そうな石だぜ。普通とは少し違う感触がする」
が持ち込んだ所在の分らぬ石。

盗んだものではないと は言うし、 の気質を考えて盗みはやらないとガゼルは判断。

いつか話してくれるだろう。
こう考え、深く を追求しないことに決めた。
ガゼル、トウヤやハヤトより遥かに『お兄さん』である。

「説得して譲って貰った品だからな」
ぶーたれるトウヤとハヤトを横目に はマイペース。
ガゼルの褒め言葉に嬉しそうに口元を緩めた。

「水を浄化する召喚獣や、巨大な船を運ぶ召喚獣等。最早生活に欠かせない存在となりつつある召喚術は、世情を左右する巨大な力なのです」

目が笑っていない笑顔を浮かべ。
クラレットが杖片手に講釈を続ける。
クラレットの笑顔に全員が慌てて背筋を正した。


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 でもサモナイキャラってピアスの人少ないですよね?? ブラウザバックプリーズ