『話題休閑・迷走列車前後』
モナティーが真剣に包帯を巻く姿はある種大変危険である。
「モナティーさん、そこは駄目ですよ」
見当違いの場所に止血帯を巻こうとするモナティーへ、スウォンが慌てて注意を促す。
「うにゅ!? ち、違いますの!?」
血の気のさっぱりなくなっている を前に、慌てふためくモナティー。
もうどうにでもしてくれ。
とでも言いたげな、 の態度。
広間の長椅子に横になり目を瞑っている。
「聖母プラーマにもお願いしたし、止血は大丈夫。身体から血が無くなって貧血を起こしているんだろう。モナティーのしたいようにさせておこう」
無茶と無謀が専売特許。
には良い薬になるだろう。
考えてトウヤがハヤトとリプレに耳打ちした。
「そうね。
ったら無茶するもの」
まな板の鯉ならぬ長椅子の 。
心配そうに眉根を寄せ、
の顔色を確かめながらリプレが口元に手を当てる。
「レイドもなーんか暗いしさ。アカネの話は要領を得ないし……モナティーは論外だもんなぁ。ローカスは教えてくれないしさ!」
結局岩場の上で何があったのか。
ハヤト達には説明されていない。
剥れるハヤトに、似たような態度で憤るジンガ。
ジンガ曰く『水臭い』らしい。
「
なら説明してくれるだろうけど、モナティーの玩具状態だしな」
ため息をついたハヤトの言葉をしっかり耳で拾上げ。
は昨日のウィゼルとの会話を思い出していた。
その日は秘密裏にカノンを呼び出し、スラムを避けて広場でまったり語り合う。
すると何処からともなくやって来るのはウィゼル。
「どうかしたかのう?」
深刻な話題を口にしていた
はウィゼルを見上げる。
「ウィゼルか。……実はフラットの後見人の元気が無くてな、困っている。理由を聞こうにも曖昧に言葉を濁して逃げる故、訳が分らぬ」
ローカス拾い事件以来、心ここに在らずなレイドの姿。
日に日に酷くなるその様子に子供達もリプレも口に出さないがエドスだってガゼルだって。
皆、皆が心配しているのだ。
「何事においてもそうじゃが、一人で出来ることには限界がある」
曲がった腰を己の拳でトントン叩きながら、ウィゼルが語り始める。
押し付けがましくない穏やかな語り口。
ついつい
とカノンは本来の目的を忘れ、先達の忠言に耳を傾けたのだった。
そうだな。孤軍奮闘しておっても何の解決にはならぬ。
レイドが抱えすぎているもの、そろそろ吐かせるか。
当面は見守るつもりだったが、ラムダが煽っていきおった。
遅かれ早かれ直面する問題ならば、早めに片付けるに越したことはない。
カノンから聞いた怪しい黒装束の話。
召喚術を操り始めたバノッサ。
呑気に金儲けに勤しむマーン兄弟に平和を謳歌? している城主とその周辺。
問題山積だな。
見当違いの場所をモナティーに紐で括られ、
は呻き声をあげた。
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