『話題休閑・蒼の派閥2後』




 エルカの絶叫に、モナティー・ ・クラレット・ジンガが揃って両耳を塞ぐ。

「う、嘘でしょう!? 召喚した本人にしかエルカを元に戻せないなんて! ねぇ、冗談でしょう?」
上擦った声音で口早に捲くし立てるエルカ。
フラット中庭でエルカを囲む四人は、両耳を押さえたまま揃って首を縦に振る。

「嘘よ……皆、エルカに意地悪するつもりなんだわ……そうなんでしょう?」
目尻に涙をうっすら浮かべるエルカに、四人が今度は首を横に振った。

「残念だが本当だ。召喚師に頼めば帰れるという問題ではない」
打ちひしがれるエルカに が代表して口を挟むが。
緑に輝く美しいメトラルの魔眼を浴びせられる。

これが 以外の人間ならば効いていただろう。
神様相手に流石の魔眼も威力を発揮できない。

「……魔眼、か。他の人間になら効くだろうが、僕には無効だ。能力は高いのに汝はどうしてそう敷居が高い?」
窘める の口調にエルカはそっぽを向いた。

「貴女がコテンパンにした召喚師が頷くなら、元の世界に帰れるでしょうけど。可能性は低いと思います」
「ボコボコにされたんじゃなぁ? 怖くて逆に召喚師が逃げ出すぜ」
事情を聞いたクラレットとジンガが互いに率直に意見を述べる。
エルカは下唇を噛み締め俯いて。
誰の意見にも耳を貸さない。

「リプレママが寝泊りできるよう協力してくれた。納得できないなら、出来ないで構わない。頭を冷やせ」
にしては冷たい態度だ。

モナティーはオロオロし出して、 とエルカの顔を交互に見る。
分りやすい の挑発にエルカは眦を槌上げた。

「頭を冷やせですって!? そっくりそのままその言葉を、アンタに返すわ」
「ここはメイトルパじゃない。リィンバウムだ。汝が汝の一族を誇り高いと主張するなら。界の秩序に従う礼儀は一族から教わらなかったのか? 汝の態度は無礼だぞ」

いきり立つエルカに はもう一度諭す。
明らかにエルカの顔色が変わった。
エルカは無言で草の上に座り込み、 達へ背中を向ける。

無言の拒絶。

「うにゅぅ、ますたぁー……」
自分も叱られた気分になってモナティーが情けない声を出す。
は微笑を湛えてクラレットとジンガに毛布と温かい飲み物を頼み。
自分は少し離れ、モナティーと一緒にエルカが頭を冷やすまで待つ。

「待つしかあるまい? 時間がエルカを冷静にしてくれるだろう」
分りやすい挑発も、意地の悪い発言も。
頭の回転の良いエルカにだからこそ通用する。
少したって落ち着けばエルカにだって己の状況は判断できるだろう。

「ますたーって凄いですの〜」
と並んで座り、モナティーが尊敬の眼差しを送る。
モナティーの賛辞に は応じず、黙って微笑むだけだった。



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 エルカが仲間に!! モナティーの突っ込み役(違)が漸く現れました。ブラウザバックプリーズ