熱血少年の小さな悩み


木の葉の里。
外れ。

演習場で今日も今日とて汗を流す一人の熱血少年。
太い眉毛と丸い目が特徴の彼は。

「ちょっとぉ! リー? 聞いてるの?」
太い丸太に向かい拳を撃ちこむ少年、ロック=リーの傍ら。
憤慨した調子で愚痴を零すイノは眉間に皴を寄せる。
「聞いてますよ、イノさん」
拳を撃ちこむ動作は止めない。
リーは律儀にイノへ言葉を返す。
「だいたいさぁ〜!! ナルトったら! あんな無邪気に変態マスクに笑顔振りまいてんじゃないわよーって感じ」
「仕方ないじゃないですか。カカシ上忍にも秘密なんでしょう? イノさんとナルト君の裏の任務のことは」
キレ気味のイノを宥めるリーの発言。

基本的にリーは表裏もなく、礼儀正しく。
熱血メーターが上がりきっていれば危険だが、それ以外のニュートラル時は好印象を受ける少年なのだ。
そのリーが何故?
学年も一つ上のリーが何故、ナルトとイノを知っているかといえば。

「そうよっ。リーにだって本当は秘密だったのに。特異体質なんだもんねぇ、厄介な」
地面を荒々しく踏み鳴らし、イノは顔を顰めた。
「僕だって驚きですよ。ナルト君の使う幻術が僕には通用しないなんて。変な特殊体質ですね」
握った拳を腰まで引き戻し、息をゆっくり吐き出す。

それからリーはイノへ顔を向けた。

ナルトとリーが同級生だった頃。
当時から修行馬鹿であったリーは、時間を忘れ鍛錬に明け暮れていて。
偶然任務帰りの血まみれナルトを目撃してしまったのだ。

当然ナルトは記憶操作と暗示を兼ねて幻術をかけたのだが、リーには効かなかった。
慌てたナルトがリーを拉致し、イビキに調べさせたところ。
この特異体質が発見され。
リー自身の持つ気質もイノとナルトを不快にさせなかったせいもあり。

奇妙な協力者、ロック=リーが出来上がったというわけである。

「サスケもキバもシノもシカマルも!! ナルトにベッタベッタしまくりよ……許せないわ」
額に青筋浮かべてイノが拳を振るわせる。
リーは毎度のことながら、イノのテンションの高さに内心舌を巻いていた。
「表向きのナルト君は目立ちます。仕方ないですよ……それに、火影を目指させているのはイノさんが強請ったからでしょう?」
穏やかに指摘するリーの言葉にイノが顔を引き攣らせる。
「そうでもしなきゃ……ナルトはとっくに里抜けしてるわよ。あたしの最大のライバル、イタチと共にね」
忌々しい。
そんな感情がありありと浮かぶイノの顔にリーは苦笑した。
「それはないと思います。僕はイタチさんを知りませんが、ナルト君は里抜けを誘うイタチさん消してでもイノさんを選びますよ、きっと」
リーが真顔で断言し、イノは顔を真っ赤に染める。


最初は鈍い自分だったので、まったく分からなかった。
イノが自分へ向ける妬みの目線。
ナルトが向ける静かな殺気。
とことん人の感情……恋愛感情に疎くて助かったと思っているリーである。

イノは。
ナルトと同じ(実力は別として)男としての立場である、リーが羨ましい。
男として目指すもの。
守りたいもの。
ナルトの抱える深い事情、九尾に関してリーはコメントを控えているが、ナルトとは穏やかな友情?に近い関係を構築している。
入り込めないイノはそれが羨ましいらしい。

ナルトは。
表向きの演技が災いしてイノとは犬猿の仲(表向きは)イノが愚痴を零せるのは、イノの師匠(主に拷問及び薬の)森野 イビキかリーだけ。
イビキ・リー共にイノには恋愛感情ゼロ。
寧ろリーにとっては妹感覚である。
それなのにイノと普段接触がもてるリーが妬ましい、らしい(リーが面と向ってナルトに言われたことはない)。


それが証拠に。
「ナルト君、気配を消して現れないでください。心臓に悪いんですから」
胴体視力が優れている自分だから見えた残像。
眼の端にナルトの姿を捉え、リーは普段と同じ様に声をかけた。
「偶然見かけたからな」
無表情のままリーとイノを見る。
そんなナルトからリーにだけ向けられる静かな殺気。

 ほら、こんなにもナルト君はイノさんを気にしている。

リーから見れば微笑ましいことこの上ない。

「ナルト〜v」

 ガバアァッ。

ピンクのチャクラを放出してナルトに抱きつくイノ。
既に見慣れた風景にリーは動じることもなく。
小さな恋人達を見守る兄貴分の気持ちで、二人の邪魔をしないようにそっとその場を後にした。
「……なんかな」
不服そうに口先を尖らせるナルトにイノが首を傾げる。
「?」
「アイツ、年々あーゆう態度だよな」
気配の遠ざかるリーを示してナルトは言葉を漏らした。

ナルトとイノを知っても相変わらず。
自分の忍道を究めるのに熱心で余計な干渉はしてこない。
普段は礼儀正しいし自分の邪魔もしない。
変わったヤツだと言う認識しかなかったのに。

つらつら考え、数秒ばかり意識を飛ばしたナルトの目の前。ドアップ。
「妬いてるの?」
キラキラ・ウルウル。
イノが乙女全開でナルトを上目遣いに見上げる。
「……」
ナルトはすいとイノから目線を外し、瞬身の術を使い逃走した。

取り残されたイノが向う先はやっぱりリーのところで。
逃げたと思ったのに再度現れたイノに延々愚痴を聞かされ。

次の日の任務で。
眼の下に隈を作ったリーが、フラフラになりながら任務をこなす姿が目撃されたとかされなかったとか。



 そして下忍サイドの協力者はなんと!リーなのですv
 彼は私のお気に入りキャラ〜♪
 別の話で好きキャラのシカマルやシノや紅さんなんかを出しているのでここでは一切出てきません(笑)
 NARUTOは好きキャラが多いから書いてて飽きませんv
 ブラウザバックプリーズ