旅 の 喜 怒 哀 楽



はじめに
ゆきみの旅のあれこれは かおるサンの「旅はトラブル・とらばーゆ」と
くみちゃんの「くみちゃんの雑記帳」に投稿して載せていただいています
このページには その投稿からもれた「小ネタ」を載せたいと思います
更新はほとんどないかもしれませんが お付き合いいただければ幸いです




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私は海外旅行をする時、ほとんどの宿を日本から予約していきます。安い、名もない宿ですから、日本の観光局などでホテルリストを手に入れて、電話とファックスと手紙で予約するわけです。


スペイン、セビージャのある宿を予約した時のことです。
いつものように電話とファックスで予約・確認をしました。しかし、宿につくのが午後になるので、一応確認を取っておこうと、当日の朝トレドから電話を入れました。
予約のときに対応してくれたのはおじさんで、やさしく「午後着でも大丈夫だ」と言ってくれたのですが、この日電話に出たのはものすごく感じの悪いおばさんでした。
いきなり「あんた達の部屋はもうない」ときました。「今夜の予約だから、ないはずがない」と食い下がると「今すぐ来い。」と言うではありませんか。
トレドからマドリードを経由して、セビージャまでは4〜5時間はかかります。そう説明すると「今すぐ来られないなら、今すぐお金を払え。無理なら予約のときにお金を払ってくれたらよかった。」と言うのです。ファックスで予約確認するときにカード番号はいらないと言っていたのに…
トレドの駅の公衆電話から怒鳴りまくっていた私に友人が言いました。「無理だから、他のところを当たろうよ。今電話すれば空いているかもしれないよ。」
結局、これが怪我の功名で、予定していた宿よりもずっと便利な場所のホテルが取れたのです。部屋も快適だったし、値段もそこそこでした。
それにしても、英語なんて全然ダメな私が、あんな場面でよく英語で喧嘩できたものだと驚きます。
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フランスで長距離列車に乗ったときのことです。
私達はユーレイル・パスを利用していたのですが、その列車は特別料金が加算されるもので、途中で車掌さんがその分を徴収に回ってきました。
追加料金を払う時に「この列車は、他の列車とどこが違うのですか」と聞いたところ、小柄で感じのいい中年の車掌さんがにっこりして言いました。
「この列車は、急行で、バーが付いていて、その上僕みたいな素敵な車掌が乗っているんだよ。」
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 楽.


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ヨーロッパにまだ国境があった(苦笑・今もあります)、大昔のお話です。


Kiちゃんと私はドイツからフランスへ列車で国境を越えようとしていました。
私は免税手続きの必要なお土産を持っていたので、国境駅で列車が停車した時、車掌さんに「税関はどこか」と尋ねました。すると「このまま席で待て」との答え。いずれ、税関の係員も乗車して来るのかと思い待っていました。
ほとんど初めての海外旅行で事情がよくわからない私は、まわってくる係員全てに「税関に申告するものがあります」と言い続けました。しかし、ドイツの警察官も、ドイツの出国審査官も、フランスの入国審査官も、皆一様に「ここで待て」と言うばかり。
そして、出発時刻があとわずかに迫った頃にフランスの警察官が乗ってきました。焦りつつ「税関に申告するものがあります」と言うと、彼は目の前の駅舎を指差して「あれが税関だ」と一言。私はKiちゃんに「目的地の駅で待っていてね」とスーツケース(20kg…ごめんねKiちゃん)を託し、ハンドバッグとお土産を手に列車を飛び降りました。
税関での手続き中も、もう発車するか、もう発車するかとドキドキしていたのですが、私が申告を終えてまた乗り込むまで、とうとう列車は出発しませんでした。そして私が席に着くや否や動き出しました。
私を待っていてくれたのでしょうか。
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パリでタクシーに乗った時のことです。
タクシーの運転手さんに「サン・ラザール駅までお願いします。」と言うと、「どこ行きの列車に乗るのか。」と聞かれました。「カーンです。」と答えると、「カーンへ行くなら列車はリヨン駅から出るはずだ。」と言うではありませんか。
出発前にトーマス・クックの時刻表で調べたので、私の持っている情報は正しいはずです。しかし現地の人(しかもプロ)がこうもキッパリ言うからにはもしかしたら… 道も混雑しているし、時間の余裕もないし、とても両方の駅へ行ってみることなどできません。
半べそになりながら、「ノルマンディー地方のカーンという町へ行くんです。」と言うと、「えっ、南仏のカンヌかと思ったよ。ノルマンディーのカーンへ行くなら確かにサン・ラザール駅からだね。」と、運転手さんは車を飛ばし始めました。そして「君の発音が悪いんだよ。」とキツイ一言。
「ちょっと言ってごらん。はい、カーン(Caen)。はい、カンヌ(Cannes)。」 タクシーが駅に着くまで、ずっとカーンとカンヌの発音練習をさせられました。
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 哀.


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いとこのK兄ちゃんはかれこれ15年近く香港に住んでいます。


中国料理で高級というとつい北京ダックを想像してしまいますね。
以前香港に遊びに行った時、K兄ちゃんの案内で北京ダックを食べに行きました。美味しくいただいていると、K兄ちゃんが「日本人は北京ダックばかりありがたがるけど、本当は富貴鶏のほうが美味しいんだよな」と言うのです。
確かに北京ダックは美味しいけれど、もっと美味しいものがあるならそっちのほうがよかった…と一行のうち特に食いしん坊のくみちゃんはリベンジの決意を固めたようでした。

さてその三年後、くみちゃんと私は「今度こそ富貴鶏」の決意も新たに香港チェプ・ラク・コク空港に降り立ちました。今回は、食べたいものに合わせて日程を決めるというなんとも餓鬼道一直線な旅。
さっそく富貴鶏を予約する(二日前に要予約)ことにしました。電話をかけてくれたK兄ちゃんに「ちゃんと富貴鶏って言った?広東語でなんて言うの?」と確認すると、「よくわかんないけど、鶏を食べたいって言っといたよ。予約が必要なのは富貴鶏くらいだからね」と、なんとも頼りない答え。
きぃぃぃぃっと頭から湯気を立てた私たちでしたが、ふと良い考えが浮かびました。「ホテルのフロントの人に広東語で教えてもらおう」
まあ、「コンシエルジュに予約しておいてもらおう」でないところが、つくづく貧乏旅行が染み付いた私たちなのですが。
さっそく手帳に「富貴鶏」「乞食鶏」と漢字で書いてフロントに突進しました。どうやらフロントの人はこの料理を知らなかったらしく、二・三人が頭を寄せ合って「ふーふぉぁいがい」または「いーはーがい」と教えてくれました。発音チェックもしてもらいました。
それから大急ぎで、もう一度レストランに電話しました。電話をするのはもちろんK兄ちゃんですが。そして彼が電話口で「ふーふぉぁいがい」と言っているのを確認して、ほっと胸をなでおろしたのでした。


  とても美味しいお料理でした。お勧めです。
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