柿は七絶 |
柿には、七つの長所があって それを七絶(ななぜつ)という。 大昔の中国の植物図鑑(酉陽雑そ(ゆうようざっそ))に記載されており、 一に寿命を延ばす 二に日陰が多い 三に鳥の巣なく 四に虫知らず 五に柿もみじ 六に実のうまさ 七に落ち葉が見事 柿を食べると身体が冷えるというのは、石田三成が処刑される前に差し出された柿を断ったとうエピソードで有名だが、身体がのぼせている時には柿を食べると身体が冷えて健康を取り戻すということなのだ。 日陰が多いのは柿の葉が広くてやや厚手なことから、実際に日陰が多いのだから、これを長所というのは暑い時期は重宝する。インドでは、農地の所々に木陰を作るためなのか木が植えてある。日本の農村地帯での田圃や畑の柿の木も、暑い時期の休憩場所として植えられたものなのだろう。 鳥の巣がないというのは、よく解らないが確かに柿の木に鳥が巣を作っているのを見たことはない。かといって、いろんな木に鳥が巣を作っているのを見かけないのだからなんとも言えない。 むしろ、次の「虫がつかない」ということに関係があるのだろう。虫が付かないと言うのは鳥の餌がないということだから当然鳥が寄りつかないということだ。 柿の木は折れやすいということもあるから、大型の鳥は巣が作れないし、多くの柿の木が民家に近いということも鳥の巣がないということに関係してくるのだろう。 ただし、鳥の巣がないというのが長所なのだろうかとも思う。鳥の巣がなければ、木の下で休んでも糞を落とされる心配がないという程度のことなのだろう。 柿もみじというのは、紅葉が美しいと言うことのようだ。実がうまいというのはそのとおりなのだが、七つ目の 落ち葉が見事というのはよく分からない。別の訳では落ち葉が大きいとあった。 柿の葉寿司というのがある。これが私は大好きだ。なんといっても、奈良県で作っている柿の葉寿司が一番だ。最近では中国自動車道のサービスエリアでも購入できるようになっているのだが、古代中国には柿の葉寿司がなかったようで七絶のなかには入っていない。とにかく柿の葉には防腐効果があるとのことだが、おいしさもひとつの要素である。 熟す前の青柿からとる柿渋の活用も七絶に入っていないのは、中国と日本の柿の使い方に違いがあるのだろう。 こう考えれば、柿には七絶どころか十絶くらいあっても不思議じゃないのだが、別に私が特に柿を好んでいるということはない。 間違っても、柿が好物だなどと勘違いしないで欲しい。 好物は柿の葉寿司なのだ。 |