キャンバーボルトに関する考察


ある日、時々閲覧させてもらっているブログで足回りに関する話が出た時に「調整式アッパーマウントとキャンバーボルトは根本的に違う」というコメントがありまして。
どういう事かとネットで検索してみましたが、ほとんどヒットしない。(キャンバーボルトについて語る人なんて、ほとんど居ません・・・笑)
なので今回は、それを自分なりに検証してみました。
もしかしたら私の考えは間違っているかもしれませんので、あまり本気にしないでくださいね(^^;

まずはサスペンションの構造を復習してみましょう。

これは一般的なストラット式フロントサスペンションです。
ストラット式の場合、ストラット(ダンパー)の中心とロアアームとナックルのジョイント部の中心を結んだ線がキングピン軸となります。
ステアリングを動かすと、サスペンションはキングピンを中心軸として回転します。
この図を見ながら、キャンバーボルトを使用するとどこが変化するか想像してみましょう。
キャンバーボルトだとナックル部のみの角度が変化します。なのでキングピン位置は変わらずにストラットケースの角度とタイヤの接地面がずれそうです。
そうすると二つのキングピンオフセット(地面上とスピンドル上)が変化するのではないかと推察しました。

次にモデル図を作って検証してみましょう。

赤い点線がキングピン。キングピンと地面の接点とタイヤの中心との距離が地面上キングピンオフセットとなります。
正確にはタイヤの接地面の中心との距離なのですが、そうすると図式化が難しくなるので、タイヤは地面に垂直に接地した状態で考えます。
タイヤを動かすと接地面の中心が分かりづらくなるのでストラット側(車体側)をずらしました(^^;
このようにキャンバーボルトの場合だと、地面上キングピンオフセットが大きくなるようです。(そのかわりスピンドル上キングピンオフセットは小さくなるようです)
ちなみに、調整式アッパーマウントですとキングピン、ストラットケース、ナックルが同時に動きますので、地面上キングピンオフセットはほとんど変化しません。

基本的に二つのキングピンオフセットは小さいほうが良いとされ、地面上キングピンオフセットが大きくなった時の弊害は
・ブレーキング時の制動安定性の低下
・コーナーリング時の外力のモーメントの増大(保舵力の増大)
・加速時の直進安定性の低下
等が上げられます。
またキャンバーボルトですとタイヤとダンパーが平行ではなくなりますので、タイヤからの入力の角度がダンパーの上下動の方向とずれることにより、ダンパー取り付け部やナックル取り付け部などに無理な力が掛かり、故障の原因となる可能性もあります。
FFの場合、駆動力と制動力の両方が前輪に掛かりますので、キングピンオフセットは極力小さいほうが良いという事です。

とはいえ、私のようなヘタレの場合、変化はほとんど感じませんでしたが(笑)

足回りのセッティングに拘っている方は、このあたりも注意した方が良いかもしれませんよ・・・というお話です。


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