焦点が合わなかった「 ボックステンゴール 」

製造年代:1928〜1934年
製造元:Zeiss Ikon
レンズ:Frontar ≒105mm F11  1群1枚
焦点調節:≒30m、4m、1m切り替え
       クローズアップレンズ入替式
絞り:F11、F18、F25
       打抜穴プレートのスライド式
シャッター:B、≒1/50の2種 ギロチン式
       レリーズソケット付き
フィルム:120
画面サイズ:6×9p
巻き上げ: 赤窓送り
ファインダー: 縦用、横用 各1
三脚取付穴: 縦用、横用 各1、Lサイズ
構造: 板金加工

2、単玉なのに非常によく写る訳を考えてみる
                                                                  
  A単玉レンズは非写界深度が非常に深い
  B大口径レンズを使用しているが、絞りがF11までしかない。
  C絞りをレンズの後ろに設置している。
    同じ単玉のベストポケットコダックはレンズの前に絞りを置いている、結果は結果は後ろの方がよいよう、
    戦後のイタリアカメラや、フジペットなど皆、後ろに絞りを置いている。
  D焦点調節ができる
    なお、この焦点調節は4m(Gr=グループ?)と1m(Portr=ポートレート?)の時にスライド式の
    (1mでも)クローズアップレンズ?を絞りの後ろに滑り込ませる方法になっている。
     ボックス上部の焦点調節装置引きバー

3、F値

  @絞りの変更は、打ち抜き穴を開けた絞り引きバーを上下させて行う。
    そのバーの表示がF18とF25になっており、同シリーズの後の機種ではF16とF22となっている。
    F11からF18は一絞り半あり、わざわざ半絞り増やす必要はない。
この型の絞り解放F値は、本当はF11ではなく、F12.5に違いない。
  A戦後の同シリーズ最後の機種ではF9のレンズが付き、絞り切り替えはF11とF16になっている。
    実際の撮影で、ASA100フィルムを使った場合、この1/50程の単速シャッターでは、快晴の屋外でF16になり、
    それ以上は必要ない絞りとなる。

4、使用フィルム

      背面の押し型で54/2とあり その /2 は120フィルム使用の意。
因み   因みに、54/15は116フィルム、54/14は129フィルム仕様。
      おもしろいのはボックスの中に Zeiss Ikon Film 6×9cm BUと書いてあり、
ツアイスはフィルムも売っていたのであろうか?

5、ボックステンゴール (120フィルム仕様6×9サイズ)のタイプ(8種類)
  
  その他種々の型式については「クラシックカメラ専科No21 片山良平氏著 BOX-TENGOR族をめぐる3つの?」を参照。

  レンズについては「クラシックカメラ専科No76 城靖治氏著 単玉レンズ「フロンタール」の不思議」を参照。

Model 年代 No 写真 特徴
1923年〜     Goerz時代のオリジナル
下記とほぼ同一手提げ取っ手の形状が異なる
レンズは2枚貼り合わせ
(1926年) (ゲルツ、エネルマン、コンテッサネッテル、イカの四社が合併してツアイス・イコンとなる)
1926年
  〜
1928年
    ファインダーが縦用、横用が縦に並んでいる。
巻き上げノブが下側。
1928年
  〜
1934年
54   ファインダーが左右に並んでいる。
巻き上げノブが上側。
クローズアップ?レンズ付き。
1934年
  〜
1938年
54   黒エナメルの前枠。
5角形の前面プレート。
ダイアモンド型の巻き上げノブ。
1938年     リリースボタンが上部に移動
1939年 55   円形巻き上げノブ。
二重撮り防止装置付き。
1950年〜 55   レンズコーティング
前枠 梨地クローム
1952年
  〜
1956年
56   レンズがF9となる。
シャッターレバーへ変更。

1、実機の状況

  試写第1回目結果:全ショット8枚共 ボケボケ!
  調査結果、なんと焦点距離が違っている。レンズが5mm前方で遠方と合う。!

  通常スプリングカメラなどは、無限遠位置をスペーサーで調整している。その後、清掃などで、
  所有者が外したりして、焦点の合っていない中古カメラは多々ある。
  しかし、このカメラは固定焦点のプレス加工品であり、0.5mm以下なら加工のバラツキも考えられる、
  この差の5mmは大きすぎる。
  後の調査により、レンズの焦点距離に大きなバラツキがあることが判明した。

  レンズを5mm前方に出して第2回目の試写を行う。 非常によく写る。 ただし、四隅の光量落ちが大きい。
  これは、レンズと絞りの位置関係が適切な位置から  焦点を修正した分だけ大きくなってしまった為と思われる。
  次回はレンズと絞りを最初の関係位置にセットして写してみようと思う。

  
2,同型機を調査

  同じ型のボックステンゴールを安価で入手できたので、比較してみる。

      
         今回入手のもの     実機(レンズを前に出す為のスペーサーを取り付けてある)

  前機とほとんど同じ状態であった! ピントグラスで確認すると、レンズが4mm前の位置で無限遠と合う。
  (4mのクローズアップレンズを入れ込んでほぼ無限遠、1mのレンズを入れ込むと3m位で焦点が合う。)

  ボディーの寸法に両者の違いはなく、精巧にできている。
  同型機なれど、Bシャッターを止める金具が付いているため、全くの製造同ロットではない。

  Zeiss Ikon の品質管理?  抜き取り検査?  クレームの有無?
  どうなっているの?昔の1930年の話しとしても、全く信じられない!!!

  さらに、調べてみる  (最初の実機を A、今回入手したものを B とする)

  2つのフロンタールレンズの焦点距離調べるためを、レンズを取り外し、ブロニカに取り付けてみると、
  無限遠のレンズ位置が約3ミリ異なる!( A の方が大きい)
  
  レンズを取り付けているプレス品のマウントの高さが異なる( A が約10mm、 B が約12mm)
  よく見ると、マウントに番号が付いており、 A は6番、 B は7番になっている。
         
  これは、各レンズ一枚毎の焦点距離の違いを、異なる寸法のマウントに組み付けることによって、調整していることを表す。
  
3,修正
  第一回目の修正は、レンズのみをスペーサーを介して前へ出した。(上記写真参考)
  結果は焦点の合ったきれいな写真は撮れたが、レンズと絞りの距離が大きくなった為に、周囲に「けられ」を生じることとなった。
  第U回目の修正方法はレンズと絞りの前方ボックス構造(サイドのネジを外す
  ただし接写用レバーの取り扱いを注意)全体を下記写真のように四隅にスペーサーを咬ませ、前へ出すこととなった。

                             
  

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