●有馬記念(第53回グランプリ)(G1)●
     12月28日中山10R 芝2500m、国際、定量、指定

     12月27日更新
     変更点 9R→10R、JRAプレミアム
08 スクリーンヒーロー 57 デムーロ 13 ダイワスカーレット 55 安藤勝
10 マツリダゴッホ 57 蛯名 09 メイショウサムソン 57 武豊
× 06 エアシェイディ 57 後藤 × 11 ドリームジャーニー 57 池添

【 過去7年経歴 】
回数 年、日程、条件 変更点 当日変更 1着馬名
46回 01年 5中8芝25、混、定、指 馬齢→定量、奉祝競走 枠連万馬券 マンハッタンカフェ
47回 02年 5中8芝25、混、定、指 馬単・3連複発売 6R⇔7R シンボリクリスエス
48回 03年 6中8芝25、混、定、指     シンボリクリスエス
49回 04年 5中8芝25、混、定、指 3連単発売   ゼンノロブロイ
50回 05年 5中8芝25、混、定、指   5R⇔6R ハーツクライ
51回 06年 5中8芝25、混、定、指     ディープインパクト
52回 07年 5中8芝25、国、定、指 国際化 祝日施行、取消 マツリダゴッホ
53回 08年 5中8芝25、国、定、指 9R→10R、JRAプレミアム    
 
【 考察 】
 年末の大一番となったが、今年からこれまでの9R施行ではなく、「10R」施行という大きな変更を受けて行われる。
 過去の有馬記念で「新馬券発売」といった全体が絡む変更ではない、単体での大きな変更というと、1着賞金が増額された00年、定量化した01年、国際化された昨年といったところが考えられるだろう。

  上枠連
下馬連
上1着馬
下2着馬
本年G1連対歴 過去1年中山重賞連対歴
00年 4→7 テイエムオペラオー JC、宝塚、天皇賞秋、天皇賞秋  
7→13 メイショウドトウ JC2着、天皇賞秋2着、宝塚2着 オールカマー
01年 4→1 マンハッタンカフェ 菊花賞  
4→1 アメリカンボス   AJCC、中山記念
07年 2→4 マツリダゴッホ   AJCC、オールカマー
3→7 ダイワスカーレット 女王杯、秋華賞、桜花賞  

 この3回はすべて翌年に変更を受けており「1回限りのレース」となっているが、来年は「JRAプレミアム」から外れる有馬記念もそうなることが既に確定。

 そして、連対馬を見ると一目瞭然なことが。

 ・ 過去1年中山で勝っていない(出走歴がない)その年のG1馬
 ・ 中山で重賞勝ち歴のあるG1未勝利馬

 このどちらかしか来ていない。
 今年の出走予定馬で該当するのはともに2頭。

 前者は、エイシンデピュティ(宝塚記念)、スクリーンヒーロー(JC)。
 後者は、エアシェイディ(AJCC)、エアジパング(ステイヤーズS)。

 2着歴まででOKなら頭数は一気に増えるが、過去3回を見ると勝ち歴を求めているので今回は割愛したい。

 これで解釈に迷うのが前年1着馬のマツリダゴッホ。
 「今年」という見方ならかろうじて後者に入るが、ハンデ戦で使われる「ハンデ対象期間」という見方なら両方を満たしてしまう。
 これはどちらとも解釈できるので迷うところだ。

 そして、見て気になることが。
 00年連対馬が揃って出走した01年は両方が失速した。

 昨年の連対馬が揃って出走する今年。
 「歴史は繰り返す」のなら、人気となるであろう両馬が失速するというシナリオが待っていることになるのだが……。
 
 一方、危険な人気馬としても考えられるJC馬スクリーンヒーロー。
 過去10年で「同年JC1着」の肩書きを持って出てきた馬は5頭。

 99年2着 スペシャルウィーク 天皇賞春、天皇賞秋
 00年1着 テイエムオペラオー 天皇賞春、天皇賞秋、宝塚記念
 03年着外 タップダンスシチー
 04年1着 ゼンノロブロイ 天皇賞秋
 06年1着 ディープインパクト 天皇賞春、宝塚記念

 コケたのがJCが初G1勝ちとなったタップダンスシチー。
 同じように初のG1勝ちがJCだったスクリーンヒーローにとって、これはマイナス材料。

 さらには、今年の顔ぶれに「その年の3歳クラシックホースがいない」という、定量戦化してからははじめてのことがおきた。
 過去は馬齢重量最終の00年があるが、ここと同じというのなら、どこかのG1のコピー決着。

 エイシンデピュティの回避に伴い、考えられるのは前年の有馬記念になる。

 一方、ここがラストランとなるメイショウサムソン。

 05年1着のハーツクライ以外は連対歴のない「年内未勝利」という点が気になる。
 とはいえ、ハーツクライは宝塚記念、JCともに2着という「ステップ戦なきG1での2着歴」を持っていた。
 
 宝塚記念では2着になったが、JCは6着と負けている。これがひっかかるが、04年2着のタップダンスシチー、06年1着のディープインパクトと同様に凱旋門賞出走歴を持っている。

 「渡仏」を評価するのかもしれないが、前述2頭は宝塚記念を勝っての遠征。
 負けたにもかかわらず遠征したサムソンがどうなるかは注目したい。

 そして、前年2着馬のダイワスカーレットについて。
 やはり年内のG1未勝利はひっかかるうえに、今年の2走はともに56Kと負担重量(55K)での出走歴が過去1年内にない。

 そういった馬が来たのは定量化されてからは過去3回あるがすべて3歳馬。
 古馬としては連対例がない。
 10R化初年ということで、初めてのケースを生み出す可能性はゼロではないだろう。

 ここまでタテ(有馬記念史)という形で見てきたが、今度は今年の流れで見たい。
 やはり「10R化」という大きな変更があるが、同様の変更として宝塚記念がある。

着、馬名 前走 備考 G1歴 備考
1着 エイシンデピュティ 金鯱賞1着 44回 天皇賞秋1着同枠(降着) 58K加算歴なし
2着 メイショウサムソン 天皇賞春2着 祝日 天皇賞秋1着 過去1年加算歴58Kのみ

 ともに翌年から10R化されるレースでの賞金加算。
 裏返せば、前走で「再現不能」なレースでの加算歴を持って挑んだ。

 該当するのは「Jpn」最終年となるステイヤーズS連対馬の2頭くらいしかいない。
 

 さて、切り口1つでいくらでも解釈できるレースとなった有馬記念だが、そろそろ結論を出したい。

 キーとなるであろう出来事として「エイシンデピュティの回避」、「当年3歳クラシックホース不在」の2点を挙げたい。

 エイシンが回避したことで唯一の「当年GT勝ち馬」となったスクリーンヒーロー。
 この馬に◎を入れたい。
 唯一の当年G1勝ちに加え、有馬記念開催日は1日11R設計。
 昨年までの1日10R設計から1R増やしてJCと揃えたこと、ならびに外国人騎手枠になったことに注目したい。

 相手上位には前年連対馬2頭をあげるが、ダイワスカーレットが○、マツリダゴッホは▲。
 下にこの秋の古馬G1をまとめたが、前年の2着枠馬が出走した場合、2着枠にいることを評価した。

レース名 変更点 枠連 1着馬名 前年連対枠入り馬
42回スプリS   7→8 スリープレスナイト 1着同枠エムオーウイナー→着外
2着同枠タマモホットプレイ→2着同枠
138回天皇賞 9日→8日 7→4 ウオッカ 不出走
33回エリザベス JAI組込 8→7 リトルアマポーラ 不出走
25回マイルCS 祝日、6日→5日、JAI組込 4→8 ブルーメンブラット 2着(1着同枠)スーパーホーネット→2着
28回ジャパンC 取消、JAI組込 8→5 スクリーンヒーロー 1着同枠コスモバルク→1着同枠
9回JCダート 東京ダ21→阪神ダ18
定量規定変更(3歳56K)
取消、JAI組込
5→3 カネヒキリ 1着ヴァーミリアン→2着同枠(3着)
1着同枠メイショウトウコン→2着
53回有馬記念 9R→10R、JRAプレミアム     1着マツリダゴッホ
2着ダイワスカーレット

 その後は宝塚記念を負けながら渡仏歴のあるメイショウサムソンに加え、今年が最後となる「古馬Jpn」勝ちを直前の賞金加算歴に持つ、エアシェイディ、エアジパングからは今年からグレード別定戦化し、来年からGUとなるAJCC勝ちのエアシェイディ。
 最後に、1回限りとなった11R2400m神戸新聞杯勝ちに加え、同じく1回限りとなった「2日目」朝日CC勝ちのドリームジャーニーをあげたい。

【 買い目 】 馬連 08-6.9.10.11.13、10-13 計6点
 

【 結果 】
1着 ○ 13 ダイワスカーレット
2着 -- 14 アドマイヤモナーク
3着 × 06 エアシェイディ
-----
5着 ◎ 08 スクリーンヒーロー
12着 ▲ 10 マツリダゴッホ

【 再考 】
 「何でもあり」を疑っていたし、予想でもそれは示唆していた。

 レース当日は国営放送を見ていたが、そのときにあった話で終わりを悟った。

 「ファン投票1位馬(ウオッカ)の不出走は37年ぶり」。  「牝馬が勝てばトウメイ以来37年ぶり」。

 数字が揃ってる……。アカン!、ダイワが勝つ競馬だ……。
 
 とはいえ、枠連ゾロ目万馬券という終わってみれば納得だが予想時では考えていなかった結末でした。
 
 まず、勝った○ダイワスカーレット。
 負担重量での出走歴を過去1年内に持たない馬で来れるのは3歳馬しかこれまではなかったが、今年の出走馬で負担重量過去1年内未経験というのはこの馬だけというのをもう少し見てもよかった。

 そして、「前年の2着枠馬が出走したら2着枠」ということでこの馬の2着を考えたが、「枠連ゾロ目」で1着枠=2着枠とすることは考えもしていなかった。

 この馬は昨年の有馬記念2着後は枠連ゾロ目で大阪杯を勝ち、セン馬開放元年の天皇賞秋で2着。

 勝ったのは枠のゾロ目だけという点、さらには、スリープレスナイト、ウオッカ、ブルーメンブラット……と今秋のG1で牝馬が勝ち続けた流れを再認識しておけば、最後まで「強い牡馬は出てこない」という見方は出来ただろう。

 一方で2着のアドマイヤモナーク。
 43回京都大賞典2着で目がくらんだが、この馬も最後のJpn格付けとなったダイヤモンドSを勝っているうえに、前走のJCも1着同枠。
 
 それで買うのなら、小倉記念→朝日CCを連勝した×ドリームジャーニーを上にしてますが、「Jpn勝ち→Gで2着」はモナークだけ。
 でも、そこまでは狙えません。

 最後に印をつけた上位馬について。

 ◎スクリーンヒーロー。
 危惧していたタップダンスシチーの再来が正解。
 初G1がJCで有馬と連勝というのは無理だったようです。

 ▲マツリダゴッホ。
 ハンデ対象期間でみると、連対枠双方を満たしてしまい、前年のコピーか枠のゾロ目以外は買う必要がなかったようです。
 そして、4.5歳での連覇というのはやはりダメでしたね。

 △メイショウサムソン。
 負けての渡仏はマイナス材料というのが正解。

 こうしてみると、危惧していたことだけが当たったという、どうしようもないグランプリでしたね……。
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