「…っ!」
 アゼルの執拗な攻撃に、刹那の気力も体力も限界だった。
いや、刹那だけじゃない。おそらくそこにいる全員がそうであろう。
「まずい、な…。あと一撃でもくらったら…」
 刹那は少しずつ仲間のほうへと移動しながらつぶやく。
「…! そこかっ!」
 あともう少し、というところでアゼルに見咎められ、攻撃を放たれる。
『ここまでか…!』
 もう動く気力すら残されていない刹那は固く目を閉じた。
「………?」
 一向に衝撃がない。恐る恐る目を開けると、自分の前に立ちふさがった影があった。
「大丈夫か、刹那!」
 目に映るのは自分が知る姿の彼ではなかったが、そこには確かに高城ゼットがいた。
ずっと自分を助けていてくれた影が…。
「くっ…」
 ゼットがバランスを崩し、膝をつく。
「高城っ!」
「…まだ僕のことをそうやって呼んでくれるんだね…セッちゃん」
「たとえどんな姿だったってお前はお前だよ!」
「ありがとう…」
 ゼットが笑う。穏やかな笑顔で。
「あとは…まかせたよ、セッちゃん…」
「たか…じょう…?」
 ゼットが刹那にもたれかかるようにして倒れる。
「高城!おいっ!」
 刹那が激しく肩を揺さぶると、わずかに反応を返した。
だが、力の消耗が激しく、もう目を開けることもままならないようだった。
「高城…ありがとな」
 いつも自分を助けてくれて…。ずっとそばにいてくれて。
「あとは…俺がやる」
 刹那はゼットの身体を静かに壁際にもたれかけさせ、立ち上がる。
「…俺の中に父さんの血が、大魔王ルシファーの血が流れているなら…。力を貸してくれっ!」
 魔の力を宿し、漆黒に染まったはずの堕天使の翼。
だが、刹那のそれは白く輝き、まばゆい光に包まれていた。
「やっぱり…君はすごいよ、セッちゃん…」
 その光こそが、本来の力。奇跡を呼ぶ光…。
「今度は俺がお前の盾になってやるよ、高城…」
 翼の輝きに負けないくらいの笑顔で刹那は言った。


ひさしぶりのタカセツ。イメソンは「残酷な天使のテーゼ」 エヴァ。
最近のボンボンの展開を瀬戸的にアレンジして(しすぎだろう)みました。
個人的には刹那の翼は白だと思うです。悪魔羽根なのに。
ありですか、こういうの。(きくなよ)